I023 五十嵐貴久

作家番号： I023	作家：五十嵐貴久	Igarashi Takahisa
	国籍：日本	生没年：1961-
東京都出身の小説家。成蹊大学文学部卒業。

管理番号	書　　名		メ　　モ
I023-001	シャーロック・ホームズと賢者の石		日本版シャーロック・ホームズパスティーシュ

		Ver. 2.17

管理番号：I023-001	42 シャーロック・ホームズ・ノベル			出版社：光文社
書名：シャーロック・ホームズと賢者の石				ISBN978-4-334-07656-6 C0293
季刊「ジャーロ」　2006年春・夏・秋・冬号			カッパ・ノベルズ
		価格：819Yen	ページ数：241P		本のサイズ：新書
初版発行：2007/6/25		購入：2007/8/15	表紙イラスト：石川絢士

　もし今回のパスティーシュが面白いとしたら、それはすべて原点であるシャーロック・ホームズ物語の力によるものです。わたしがしたことは、ちょっとだけ違う角度から光を当てるという作業だけでした。楽しんで読んでいただければ幸いです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　著者のことば　より

　作者の言葉から伺えるのは、シャーロック・ホームズへの愛。それとそこはかとない自信。
　それもいいじゃないか。面白ければ。
　さて、この本は4つの短編と、巻末にシャーロッキアンの名も高い日暮雅通さんによる、過去のホームズもののパロディ、パスティーシュの歴史が解説としておさまっています。

　　彼が死んだ理由 ─ ライヘンバッハの真実
　悪名高きモリアーティとはほんとうは何だったのか。ある意味で正統なパスティーシュというより「イフ」ものでしょうか。本当はこうだったかもしれないね、というやつ。展開は面白いけれど、納得がいかないなぁ。

　　最強の男 ─ バリツの真実
　モリアーティ教授との格闘でホームズの命を救ったのは、かの東洋の神秘、バリツでした。これは柔術なのか武術なのか、諸説いろいろあります。しかしこれが、あの『なんでもあり』なのだとするとどうなのか。
　ガスタンという男がホームズを組み伏せ、のちにこの武術を伝授します。さあ、彼は何者？

　　賢者の石 ─ 引退後の真実
　ニューヨークで静養するホームズとワトスンに託された依頼は、なんと賢者の石を発見したらしいアメリカの学者からのものでした。これを賢者の石と信じるドイツ人の手から、息子を救って欲しいという。前半の国際情勢を反映した舞台構成とか、後半の切れのいいアクション、最後にホームズが教授の息子に付けた呼び名など、面白いところはたくさんあります。でも、賢者の石というオカルトでまず引いてしまいました。
　オカルトには相変わらずなじめない鐵太郎です。(笑)

　　英国公使館の謎 ─ 半年間の空白の真実
　幕末の動乱の時二本松藩の藩士の息子であった武田敬之助（たけだ・けいのすけ）は、のちにアーネスト・サトウの知己を得て英国公使館の日本語書記官となりました。ここで謎の殺人事件が起きます。町から呼び寄せた、本来いてはならないはずの娼婦が、公使館の中で惨殺されたという。謎の医師、謎の庭師。消えた犯行場所。
　ここで歴史の秘密がひとつ、ある男の前歴がひとつ、明らかになります。

　おもしろい、と言っていいでしょうね。内輪ネタ、楽屋オチすれすれなのがちょっとどうかなとは思いますが。　　(07/11/6)