M082 諸兄邦香

作家番号： M082	作家：諸兄邦香	Moroe Kunika
	国籍：日本	生没年：1963-
本名：田中立恒（たなか・りつこう）。東京生まれ。東京大学法学部卒。証券会社勤務ののち、著述・翻訳業に転身。辞典類や学習書の執筆を手がける。

管理番号	書　　名		メ　　モ
M082-001	シャーロック・ホームズ　大人の楽しみ		120年目を記念したホームズ紹介本

		Ver. 2.17

管理番号：M082-001	42K シャーロック・ホームズ研究書			出版社：アーク出版
書名：シャーロック・ホームズ　大人の楽しみ		100回読んでもまだ面白い		ISBN978-4-86059-051-1 C0098
		価格：1500Yen	ページ数：246P		本のサイズ：130×190SC
初版発行：2006/12/20		購入：2007/8/13	表紙イラスト：

　表紙カバー内側の言葉は、

　　　えっ、これでも名探偵!?
　　　ホームズはコカイン中毒だった。
　　　ホームズは依頼人を恐喝していた。
　　　ホームズは童貞だった!?　．．．etc

　　　マニアも知らなかった姿を一挙公開！
　　　思わず作品を読み直したくなる、大人のための副読本。

　とのこと。そう、これはシャーロック・ホームズをネタにしたいわゆる「暴露本」ですね。見開き2ページごとにいろいろなネタを挙げて、面白おかしくホームズを紹介しています。
　まずは、ホームズ誕生。彼の生まれた時代、背景、彼の外観。大地主のお坊ちゃまが大学中退、とか、興味のない事件は断る気まぐれな一面も、とか。
　次は、ヴィクトリア朝ロンドンの暮らし。取り巻く人々。探偵術。

　ホームズを愛する作者の思いは伝わります。ネタもいろいろ面白い。
　新しい切り口も楽しい。
　新しい新参のホームズ・ファンへのいいガイドになるかも。

　でもね、失礼ながら、今までの多くのシャーロッキアン、ホームジアンの膨大な量の研究を考えると、全てを読んでから書けなどとは言いませんが、もう少し研究して書いて欲しかった。
　せめて、日本で有名なホームズ研究家数名でいいですから、もっと読んでつきあわせてから書いて欲しかった。
　たとえば、ドイルがナイトの称号を得たのはボーア戦争擁護によるもので、複雑な感情を抱いていたというのはいかがなものか。ドイルが擁護したのは、戦場で命令に従って命を投げ出して戦った兵士であって、戦争そのものではない。（出典を確認する必要あり？）
　モリアーティ教授の描写について、あれほど貶める必要があるのか。
　ホームズの拳銃の腕前についても、ちょっと気になる。あきらかにホームズの射撃は、ワトスンの描写を見る限り、ごく特殊な例を除けばうまいとは言えない。逆にワトスンの方が名人芸を見せている。
　ホームズがイギリスとアメリカがもう一度ひとつの国家にと無邪気に言った外交辞令の言葉を、合併を望んでいた爆弾発言と盛り上げるとは、筋違いもいいところではないか。愚かな国王といって当時の英国国王を批判したからと言って、王政反対とは飛躍もいいところ。

　いや、まあ、重箱の隅をつつくマニアにはなりたくないよなぁ。(自爆？)　　　　　(07/10/16)