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| 管理番号 | 書 名 | 翻訳者 | メ モ | |
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| B086-001 | ベイカー街の女たち | 駒月雅子 | ハドスン夫人とワトスン夫人が謎を解く！ | |
| B086-002 | ベイカー街の女たちと幽霊少年団 | 駒月雅子 | ロンドンの街角で起きた悲惨な事件 | |
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| 管理番号：B086-001 | 42 シャーロック・ホームズ・ノベル | 出版社：KADOKAWA | |||||||
| 書名：ベイカー街の女たち | ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿１ | ISBN978-4-04-108028-3 C0197 | |||||||
| 原題：The House at Baker Street（2016） | 翻訳者：駒月雅子 | ||||||||
| 角川文庫 ハ35-1 22100 | 価格：1000Yen | ページ数：464P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：2020/5/25 | 購入：2020/8/8 | カバーイラスト：いとうあつき カバーデザイン：西村弘美 |
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 ホームズ、ワトスンが下宿（というか、賄い付きアパート？）として長年住みつつ探偵業にいそしんできたベーカー街221B番地の部屋の家主は、ハドスン夫人と呼ばれています。彼女の容姿も、年齢も、家族も、なにもわかりません。ドイルが書かなかったのです。 であるから、こんなパスティーシュも書かれました。 ハドスン夫人のファーストネームを、有力説の一つである「マーサ」とし、夫を戦争で、たった一人の息子を急な病で失い、夫の遺産であるいくつかの下宿屋を経営しつつ年を取っていたある日、諮問探偵だという不思議な青年と、彼が家賃を折半するために見つけてきた元軍人の青年が彼女の生活に入り込みます。そして。
であるから、ワトスンがメアリーという伴侶を得て下宿屋を去り、妻と共に自分の診療所に一家をかまえたある日、わたし、ハドスン夫人はホームズが追い返した依頼人を自分の部屋に導くことができたのでした。 というのも、この依頼人の若い女が、ホームズに相談したいことがあるはずなのに、その内容も自分の名前すらも話そうとせずくどくど言い訳するばかりだったから。ホームズがさじを投げるのも当然のこと。 しかしわたしは、たまたま話し込みに来たワトスン夫人のメアリーと共に、この女性が気になったので、しおしおと帰宅しようとする彼女を捕まえ、居心地のよい台所に招き入れてお茶とケーキを勧めたのでした。そして聞きだしたのは、彼女の不逞に関する脅迫の手紙の話。彼女にはまったく心あたりがないのですが、彼女の夫は清廉潔白を口にしつつ「火のないところに煙はない」と信じる石頭で、釈明すら許さない人。思いあまってここに来たのだけれど、どう話せばいいのかすら考えられなかったらしい。 こうなったら、とわたしはメアリー・ワトスンと共になんとか彼女を助けようと探偵捜査を始めたのでした。 ひとことで言ってしまうと、脇役に徹していたあのけなげな女性、ハドスン夫人を表に出して探偵として活躍させてしまおうという物語。それはそれなりに良い思いつきでしょうね。 そのために、ほとんど説明のない脇役だった彼女に詳細な経歴を与え、外観を与え、控えめながら積極的なところもある性格を与え、メアリー・ワトスンとの友情を与え、ワトスン博士をジョンと呼び、ロンドン中を嗅ぎ回る積極性を与え、推理能力を与え、ホームズから学んだ推理力を与えたというわけ。 長年シャーロッキアンの端くれだった身として、設定上や、歴史的背景や、ハドスン夫人というキャラクターなどに聖典との乖離を感じて不満があります。こりゃあんまりだと思えるところがあちこちあります。 二十年前だったらホームズものを馬鹿にするなと憤然としたでしょう。 今はなぜか、苦笑い程度で受けとめています。年取ったんでしょうか。(爆) 二人の目的は、最初に二人の「依頼人」となったローラ・シャーリー夫人を始めとして、何人もの女性を脅迫し、時には破滅させ、あげくは殺している男、あるいは男たち、もしくは組織の犯罪を暴くこと。ベイカー・ストリート・イレギュラーズの少年たちや、ホームズが利用したことがある謎の情報屋ラングデール・パイクなど、さまざまな魅力的なホームズ譚の登場人物を登場させ、当時の時代背景や実在した人物などをちりばめ、物語は進みます。 そして現れたのは、なんとホームズが「あの女性」と呼び、女性としてはただ一人敬意を払う人、アイリーン・アドラー。なんと彼女も、被害者の一人だったらしい。 クライマックスは、二人の女が武器を持った凶悪漢と対峙するスリリングな場面。なかなかにリアル。 そして、弱いものへ時に邪険になるホームズが、わたしワトスン夫人に自分の非を認めるシーンがエピローグ。
読書メーターの記録より 読了：2020/10/26 |
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| 管理番号：B086-002 | 42 シャーロック・ホームズ・ノベル | 出版社：KADOKAWA | |||||||
| 書名：ベイカー街の女たちと幽霊少年団 | ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿２ | ISBN978-4-04-108029-0 C0197 | |||||||
| 原題：The Women of Baker Street（2017） | 翻訳者：駒月雅子 | ||||||||
| 角川文庫 ハ35-2 22468 | 価格：1280Yen | ページ数：480P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：2020/12/25 | 購入：2021/11/24 | カバーイラスト：いとうあつき カバーデザイン：西村弘美 |
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 プロローグとして描かれるのは、病室で痛みと薬のために朦朧となっている「わたし」が見た、他の患者への殺人、らしきもの。そして物語は1889年10月30日から始まります。それは、わたしことミセス・マーサ・ハドスンが経営するベーカー街221Bの下宿に、ホームズがダートムアの冒険から帰還した日。そして前回の残虐な ベーカー街の家に帰宅したわたしは、ワトスンを待っていらいらしているホームズに出くわします。親友の戻るのを待っていたホームズが落胆する前で、わたしは腹部に激痛を感じ、気を失ってしまいます。気がつくと、セント・バーソロミュー病院の特別病棟の病室。わたしの今冬の直後にベーカー街を訪れたワトスン夫妻の手配で、急遽ここに入院したのだという。なんと、ワトスン博士自身がわたしを抱きかかえて運んでくれたのだそうな。 メアリー・ワトスンによると、わたしは腹部の閉塞症と診断されて緊急手術を行い、一命を取り留めたのだそうな。前回の冒険のあとの気ぜわしさ、心労で半ば無視していた体調不良の原因は、思ったより深いものだったらしい。  という情勢の中で、今回マーサ・ハドスンが遭遇した事件は病棟内の患者たちの謎の死。 死亡率自体が高かった当時、病室で患者が死ぬのはある意味当然でしたが、入院したてで夢うつつだったわたしが見た、誰かのベッドに何者かがかがみ込み、その直後にそれまでたてていた寝息がぴたりと止まったシーンが忘れられません。 病室（右図）の誰かが、わたしの正面左のベッドにいた誰かを殺したに違いないのですが、それが現実なのか夢なのかも怪しいところなのでした。 さらに見舞に来たメアリーが言う、十年ほど前からロンドンの街角から少年たちが20数人も忽然と消えているという話も気になるところ。それが、親しくなったベイカー・ストリート・イレギュラーズのリーダーであるウィギンズが気づいた事だとなると、ただ事では済まないかもしれない。ウィギンズは当たり前のことで騒ぐような少年ではないから。 それを、メアリーはジョン（と、わたしはワトスン博士を呼んでいます）がホームズと共にバスカヴィル事件にかかりきりの間に、少しずつ調べていたのだそうな。 かくして、またも事件に巻き込まれ、捜査を開始することとなった二人 そこであぶり出された恐るべき真実と、人の思い。 少年たちを親から奪い、育て、操り、年長になれば殺していたおぞましい人のこと。
19世紀末のロンドンにあったのかもしれない、陰惨な事件でした。 実はこの年、1889年というのは、「緋色の研究」は刊行されていましたがそれだけで、メアリー・モースタン（旧性）が登場する「四つの署名」の発表はは翌年になります。またこの二冊では、まだシャーロック・ホームズという人物は英国には知れ渡っておらず、この史上初めての諮問探偵のことがその人物像を含めて人口に膾炙するのは、短編「ボヘミアの醜聞」（ストランド・マガジン 1891年7月号）から始まる物語が毎月雑誌に掲載され、それらを12編集めて1892年に最初の短編集「シャーロック・ホームズの冒険」が刊行されてから。 この1889年という時期にホームズのことを多くのロンドンっ子たちが知っており、隠れファンがいるという設定はちとおかしいんですよね。そうである必要があるらしいことはわかるけど。 そんな事を含め、いろいろな設定を見るにつけ、そうまでしてホームズ世界を使わなくたっていいのになァと思える話でした。 かといって、ホームズの看板なしには作れない話でもありますし。 うーむ、評価しにくい作品だな。（2022/04/30） 読書メーターの記録より 読了：2022/1/5 |
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