C033 クリス・クレアモント

作家番号： C033	クリス・クレアモント	Claremont, Chris
	国籍：アメリカ合衆国	生没年：1950/11/30～
アメリカンコミックス「超人ハルク」、「Xメン」などのストーリー・スタッフとして有名な人

管理番号	書　　名		メ　　モ
C033-001	暁のファーストフライト		始めて太陽系調査船の指揮を執る女性少尉

		Ver. 2.23

管理番号：C033-001

12 新スペースオペラ

出版社：早川書房

書名：暁のファーストフライト			ISBN4-15-010865-X C0197
原題：Firstflight　（1987）		翻訳者：斎藤伯好
ハヤカワ文庫SF862　ク6-1　早川文庫2786	価格：560Yen	ページ数：427P		本のサイズ：文庫
初版発行：1990/1/30	購入：1990/5/2	表紙イラスト：友部善仁

　近未来のアメリカ。アメリカ空軍の宇宙船にNASAの科学班が同乗して恒星間宇宙を飛び回る時代。
　実現可能な効率のいい超光速航宙手段が発見され、実用化されて以後、近傍の恒星系に探査船を飛ばすことはできるようになったものの、太陽系内にはこの機関はあまりに近すぎて使えず、星系内に海賊がはびこる奇妙な状態になってしまったのでした。
　主人公は、序盤では公式にも非公式にも少尉またはニコルとしか呼ばれない任官したてのニコル・シェア。絶対に合格できないように作られたシミュレーション・テストで失敗し、失格だと思い込んで落ち込んでいたところ、太陽系内の航路の観測記録を取る宇宙船のコマンダーに任命されます。目的地は冥王星。
　乗り組む船は＜ワンダラー＞。航宙士として同期生のポールが、ミッション・コマンダーとしてベテランのキャサリン・ガルシア少佐が搭乗するのだそうな。
　他の乗組員と共に、ベン・チアリというトップの上級保安官（シニア・マーシャル）が乗り組みます。
　出だしの処女航海（ファーストフライト）パーティでいきなり悪態をついてイヤミをいい、暴れ出した退役アメリカ空軍少佐ダニエル・モーガン君が、なにやら後を引きそう。

　てなわけで始まる宇宙活劇です。
　泣きの場面も多いし、悪いヤツとの最後の対決もパターン通りで、展開は悪くない。最後の場面もうまく決めています。
　でもね、往路での無聊を慰めるためのあれこれや、数少ない乗組員が一生懸命カップルを作ってセックスに励む場面とか、宇宙海賊との遭遇戦とか、太陽系外から来た男女の区別があってこちらの言葉を話してくれるエイリアンとの接触とか、無重力なので巧みに船内をクロールで泳ぐ様とか、反物質ミサイルが爆発すると超新星ができるんだとか、無重力で格闘してあおむけに押さえ込むところとか、引っかかるところが多い。なんとかならんか。こっちはSF歴数十年のおあにいさんだぜ、ヲイ？
　面白い流れに乗れそうになるたびに、脳内ツッコミできる場面がどんどん出てきて引き戻されてしまった。
　そうかあ、あの時代はこんなのが流行ったのか。うんうん。
　ふうむ。でももうちょっと萌え要素があるマンガ絵のジャケットにして、ミリタリー色をもっと鮮明にして、訳文と内容をもっとアップデートして、セリフの言葉遣いに手を入れ、恋愛潭をもう少し刈り込めば、今でも使える設定じゃないかな。

　軍人の女性が、戦闘時でも女言葉で命令するという訳文にだんだん腹が立ってきた頃の作品って事もあり、久しぶりに手に取ったけど、読んで楽しめたとはいえませんでしたね。設定は面白いと思うけど。　　（2010/07/30）