C051 マイクル・コーディ

作家番号： C051	マイクル・コーディ	Cordy, Michael
	国籍：アメリカ合衆国	生没年：1960～

管理番号	書名		備考
C051-001	メサイア・コード(上下)		イエス・キリストの遺伝子　アクション・ミステリ

管理番号：C051-001・002		41 ホラー･怪奇･サスペンス
書名：メサイア・コード(上)			発行　1997年
原題：The Messiah Code		ハヤカワ文庫NV1090　コ14-1　5697
翻訳：内田昌之	価格：￥700	ページ数：365P	装丁：文庫イラスト：石川絢士
初版発行：05/8/31	購入：05/9/3

書名：メサイア・コード(下)			発行　1997年
原題：The Messiah Code		ハヤカワ文庫NV1091　コ14-2　5698
翻訳：内田昌之	価格：￥700	ページ数：313P	装丁：文庫イラスト：石川絢士
初版発行：05/8/31	購入：05/9/3

　「ダ・ヴィンチ・コード」というベストセラーになった小説があります。
　ジャンルとしては、なんといっていいのだろう、歴史・宗教・ミステリ・伝奇・サスペンス、といったところでしょうか。
　とはいいながら、実はまだ「ダ・ヴィンチ」はちゃんと読んでいないのですよ。1/4ぐらい立ち読みしただけ。世の中の「ベストセラー」とやらにアレルギーがあるアマノジャクなものですから。(笑)
　さてその、「ダ・ヴィンチ・コード」の系統にあるサスペンスがこれ、「メサイア・コード」なのだそうです。しかしこれは、「ダ・ヴィンチ」の向こうを張って現れた派生、というわけではない。何しろ発行年度が1997年、つまりあちらより早い。

　もともとはこの本は1997年に「The Miracle Strain」という題名で出版され、日本名「イエスの遺伝子」の題名で1998年に徳間書店から出ました。これを「ダ・ヴィンチ・コード」のヒットに触発されて「The Messiah Code」に改題して2004年に出版したとなると、ちとあざとくはないかなぁ？(笑)
　柳の下のドジョウが何匹もいるはずもないでしょうに。

　まあ、内容はなかなか優れものだと思いますよ。

　遺伝子がキーワードです。
　人間のDNA、ヒトゲノムの解読は、2003年4月に完了したそうです。
　ですから、人間のDNAは、いまや謎ではなく解読を待つ暗号に過ぎません。
　この暗号を読み取る装置が常備された世界で、この物語は進行します。これに、宗教とカルトが絡んできます。
　医学では治療不可能な難病に侵された娘を救うために、父親である科学者が求めたものは、他人の遺伝子に作用して治癒する能力とその原点であるDNAの調査でした。そして最終的に求めたものは、キリスト教の根源であるイエスという人物が持っていた（に違いない)治癒能力と、そのDNAでした。かくして、キリストの遺物を捜し、そこからイエスの遺伝子を得ようとするプロジェクトがスタートします。
　この、「冒涜」に対し、キリストの再来を信じる地下組織は、主人公たるトム・カーター博士の暗殺を試みます。
　暗殺者は、元々がグラマーで魅力的な美女ながら、あえて手術で女を隠し、容姿を醜くし、肉体を鍛え上げた女戦士。
　虚々実々の駆け引きと息詰まるサスペンス、小気味よいアクション。クライマックスはロールプレイングゲームさながら。
　たしかに面白い。

　とはいえ、（と茶々を入れますよ、）歴史上完璧な他人への治癒能力を持った聖人が、イエス・キリストただひとりであったとしたところは、しょせん欧米のキリスト教文化の尻尾ですなぁ。世の中広いのです。西欧文化だけがすべてじゃありませんよ。
　そのあたりをすっ飛ばしてアクション・ミステリと考えれば、まあまあ面白いといっていいのではないかな？　(05/9/27）