トップへ戻る 読んだ本の分類		作家番号： F027 ブライアン・フリーマントル Freemantle, Brian 国籍： イギリス 生没年：1936〜 　イギリスの冒険・サスペンス小説作家。多作であり、ある一定の水準には必ずあり、決定的な駄作は少ない、とのこと。ただし、まだ読んだことはない。

管理番号	書名		備考
F027-001・002	シャーロック・ホームズの息子(上・下)		ホームズの息子がWW1前夜、諜報活動した話

管理番号：F027-001	42 シャーロック・ホームズ・ノベル			出版社：新潮社
書名：シャーロック・ホームズの息子(上)						発行　2004年
原題：The Holmes Inheritance			新潮文庫　フ-13-51
翻訳：日暮雅通		価格：￥667	ページ数：353P			装丁：文庫 イラスト：滝野晴夫
初版発行：05/10/1		購入：05/10/6

管理番号：F027-002	42 シャーロック・ホームズ・ノベル			出版社：新潮社
書名：シャーロック・ホームズの息子(下)						発行　2004年
原題：The Holmes Inheritance			新潮文庫　フ-13-51
翻訳：日暮雅通		価格：￥667	ページ数：365P			装丁：文庫 イラスト：滝野晴夫
初版発行：05/10/1		購入：05/10/6

エスピオナージュの名手であるフリーマントルが、ホームズ・パスティーシュを書いた、と言うことはかなりニュースなのだそうな。ジョン・ガードナーによるモリアーティ教授ものと比較されてどうか、とあとがきにあります。すると、なかなかの作家であるらしい。 　あとがきを読む限り、はずれではなさそうなので手に取りました。 　題名通り、主役として正面に立つのはホームズの息子です。ホームズがモリアーティと戦った後でスイスの宿で療養中に成した子である、という。母親は、出産と同時に死に、失意のホームズは赤子を兄マイクロフトに預けて放浪の旅に出て、成長するまで子と対面しなかった、とのこと。 　かくして息子セバスチャンは、ヨーロッパ各地でユニークな教育を受けた24歳の青年として登場します。時は第一次大戦前夜。 　ホームズ自身が「聖典」の「最後の事件」でこの時代にドイツのスパイを捕らえる任務に就いたのは、熱狂的ファンならずともご承知かと思います。 　政府の秘書官として隠然たる地位を占めるマイクロフト・ホームズが、迫りくる戦乱の匂いの中で、若き海軍大臣ウィンストン・チャーチルの個人的要請で愛する甥をアメリカへ送り出すことになる。理由は、避けられぬ戦いの中でアメリカがどちらの立場になるのかの見極めと、ドイツを支援するアメリカ実業家組織の解明。 　困惑する父シャーロック。謎の暗号。傍若無人なチャーチル。 　物語は、アメリカへの船旅から始まり、急展開します。最後のどんでん返しもなかなか見事。 　面白いスパイ小説です。舞台背景も、大変面白い。 　しかし、ホームズの看板を借りる必要があったのか？ 　ライヘンバッハ事件のとき、ホームズの無二の親友にして伝記作家とされていたワトスンは、客観的に見て、情けないツンボ桟敷におかれ、ある意味でかなりの屈辱を味わったはず。しかるに、その数倍の屈辱を味あわせてまで新しい秘密を築き上げたとは、情けなやシャーロック。ちがうかね？ 　大西洋の両側でスリルとサスペンスが進行しますが、これがホームズである必要があるのか？ 　ホームズをサブキャラに追いやって、ホームズ・ファンたちがこぞってその後継者にエールを送るとでも思っているのか？ 　ご意見は多々あるでしょうが、ぼくは納得がいきませんでしたねぇ。　　(05/10/26)