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| 管理番号 | 書 名 | メ モ | |
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| G018-001・002 | シャーロック・ホームズの新冒険（上・下） | ホームズ譚登場から100年目に編まれたパスティーシュ | |
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Ver. 3.04 |
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| 管理番号：G018-001 | 42 シャーロック・ホームズ・ノベル | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：シャーロック・ホームズの新冒険（上） | ISBN4-15-073910-2 C0197 | ||||||||
| 原題：The New Adventures of Sherlock Holmes（1987） Original Stories by Eminent Mystery Writers |
翻訳者：高橋 豊/山本俊子 | ||||||||
| ハヤカワ文庫HM ト1-10 2651 | 価格：440Yen | ページ数：304P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1989/7/31 | 購入：1989/7/30 | カバー：菊地信義 | |||||||
| 書名：シャーロック・ホームズの新冒険（下） | ISBN4-15-073911-0 C0197 | ||||||||
| 原題：The New Adventures of Sherlock Holmes（1987） Original Stories by Eminent Mystery Writers |
翻訳者：斎藤数衛/坂口玲子 | ||||||||
| ハヤカワ文庫HM ト1-11 2652 | 価格：440Yen | ページ数：304P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1989/7/31 | 購入：1989/7/30 | カバー：菊地信義 | |||||||
 サー・アーサー・コナン・ドイルが1887年、「ビートンのクリスマス年鑑」に「緋色の研究」を発表してから百年を記念して、サー・アーサーの息女デイム・ジーン・コナン・ドイルの承諾を得て編集・刊行されたのが、このパスティーシュ。正統派です。この時代のホームズ大好き作家たちが一生懸命書いたのだろうな。 221番地B（1887年～1987年）と題されたホームズがいたあの家を描く小さな詩から始まり、本編へ。 悪魔のような機械 The Infernal Machine ジョン・ラッツ ガトリング砲という、悪魔のような兵器にまつわる事件がホームズに持ち込まれます。イギリスにガトリング砲を売り込もうとしている依頼者が、売り込み先のクライヴ卿が殺された原因をこの兵器だと決めつけられた濡れ衣を張らしてくれと言うもの。クライヴ卿を殺したものは、いったい何だったのか。 ネタは面白いのですが。ガトリング砲が開発されたのは1862年ころ、日本の戊辰戦争(1868-69)で活躍(？)した歴史もあり、ホームズの時代にこれを驚くべき悪魔の新発明というのは時代に合わないような気がしますな。 最後の乾杯 The Final Toast スチュアート・M・カミンスキー その日2221Bに返ってきたホームズはホームズではなかった、という幕開け。ホームズに化けた偽ホームズを装うホームズ、というややこしい姿で登場したホームズは、両親が演劇関係だというチャールズ・チャプリンというベーカー街不正規軍の一員が集めた情報を披瀝します。自分の偽物を募集する企てがある、と。 そこから始まるホームズをおとしいれる二重三重の罠。 幽霊の部屋 The Phantom Chamber ゲイリー・アラン・ルーズ 引退したインド勤務の士官ファーリントンの妻が相談に来ます。大叔母のレディ・ペネロープの邸宅に、幽霊が出ると。 招かれて行ったその邸宅も、どうも怪しい。しっかりした手紙をよこした大叔母が、すっかり体を壊して付き添いの人に頼り切りになっているのですが、そこでファーリントン夫人が見たものはなんだったのか。 まだらの紐の復活 The Return of the Speckled Band エドワード・D・ホック 「まだらの紐」事件のときロイロット博士に橋から川に投げこまれたジプシーの青年ヘンリー・デイドが、ホームズを訪ねてきます。彼はジプシーの生活から抜け出て普通の村人になろうとしているのですが、それに怒った弟がロイロット博士がかくしていたもう一匹の毒蛇をけしかけて彼を脅しているのだそうな。 ヘンリーが蛇の毒で死んで、事件は一転します。ただの脅しではない、これは殺人事件だ。 すばらしきホームズ The Adventure of the Unique Holmes ジョン・L・ブリーン 厚化粧をして街に出る夫を心配する妻と、水とグリセリンで失敗したという男から同時に依頼され、ホームズは面白がります。夫とは俳優であり、ミスとグリセリンとは映画関係である、と喝破しますがそれからの展開はワトスンには訳がわからない。 その訳がわかったのは、しばらく経ったあとで妻に誘われてとある映画を見てからのこと。なるほど。 シャーロック・ホームズと「あの婦人」 マイケル・ハリスン Sherlock Holmes and “The Woman”：An Explanatory Memoir by Dr. John H. Watson, MD. レディ・ド・バースという女性が死んだ1929年、ワトスンは過去を思い返します。アイリーン・アドラーという名で記録したことがあるこの女性の正体、ボヘミア国王ということにしたブルガリや皇太子のこと、そしてそれから。 「ボヘミアの醜聞」として残した記録の背後にあったものはいったい何だったのか。
芝生の影 ──シャーロック・ホームズのある冒険 バリー・ジョーンズ The Shadows on the Lawn: An Adventure of Sherlock Holmes この話は、どこか別なパスティーシュ集でも見たことがあります。 ピーター・ウェインライトという少年の死を知ったのは1884年4月23日のことだった、というのが発端。高圧的な牧師の、進行性筋萎縮症にかかった息子がピーター。この先、2年の命かと言われています。この少年が病床で見たシルクハットをかぶった痩せた紳士とその家族らしい影。それをきいて恐れと激怒にかられる父の牧師。過去に何があったのか。 ピーター少年が見た影とはなにか・・・という疑問に対しては、できすぎた偶然というとこじつけが過ぎるような。 ガワナス誘拐事件 The Adventure of the Gowanus Abduction ジョイス・ハリントン この作品が書かれる頃の「現代」が舞台。ぼく、ジョン・コナン・ワトスンは、かつてのルームメイト、多芸多才で気難しい、二年間も音信不通のダイアナ・アイリーン・アドラーから送られてきたらしい封筒に入っていたものは、ただのエロ雑誌と、ダイアナの指輪。謎の差出人の住所、ニューヨーク市のガワナス運河に行ってみると、インド人富豪の息子の誘拐事件に巻き込まれまることに。 サスペンスたっぷりで洒落た文体なのですが、いかんせん物語が小さすぎる。謎が浅すぎる。軽すぎる。 うーん。  ここまでが上巻。 ワトスン博士夫妻の家庭生活 ローレン・D・エルスマン Dr. and Mrs. Watson at Home: A Comedy in One Unnatural Act とある日のワトスン夫妻を描写した軽い喜劇。ワトスンの奇行とホームズに振りまわされる様子をちくちく虐めるメアリ。で、ワトスンがホームズに呼ばれて去った後．．． 二人の従僕 The Two Footmen マイクル・ギルバート 1894年の秋、つまりホームズが「空家の冒険」事件で復活したのち多忙を極めている頃、それから8年前に起きた事件を回想する形で語られます。依頼人は、ハドスン夫人の姪、メアリ・マカリスター。コービイ荘園で起きた強盗殺人事件で殺されてしまったメアリの婚約者、臨時雇いの従僕テレンス・ブラックの汚名を晴らして欲しいと言うもの。 当時のホームズは自分を信頼しきってはいなかったんだろうな、と述懐するワトスンの思いが面白い。 シャーロック・ホームズとマフィン Sherlock Holmes and the Muffin ドロシイ・B・ヒューズ マフィンとは、パン菓子のこと。ミセス・ハドスンの下宿で今働いている10才くらいの女中の名前でもあります。 この物語ではミセス・ハドスンは厳しい女主人で、雇い人にはガミガミと口やかましく給料は安いため、人がどんどん入れ替わっていたのだという。そのマフィンが持ち込んだお話がこれ。 失われた王家のダイヤモンド、というネタは面白いのですが、当時ロンドンではありふれた存在でありホームズも見慣れていたはずの下層階級の利発な子に、奨学金を与えて将来は教師か科学者か医者になれるかも、というのは現代人の発想ですね。 奇妙なコンピューター The Curious Computer ピーター・ラヴゼイ ギャングのボス、ジョージ・ハーマーが情婦のシリコン・リルに、最近ロンドン警視庁に導入された「ホームズ ──内務省重要事件調査機構──」というコンピューターについて愚痴っています。いままでばらばらだった犯罪に関する情報が、一元化され整理されてあらゆる方法で検索できるようになれば、おれたち犯罪者はたまったもんじゃない。 じゃ、どうする。シリコン・リルの提案で彼は、このコンピューター・システムに侵入するプログラムを作成するのですが、その結果どうなったのか。 才人ラヴゼイの洒落たギャング・コメディなのですが、ホームズのパスティーシュとしてはどうなんだろうな。 しつこい狙撃者 The Adventure ot the Persistent Marksman リリアン・デ・ラ・トーレ 競走馬を飼育しているバレット・デズモンド少佐が、何度か狙撃されたのでなんとかして欲しいと依頼してきます。 捜査を進めるホームズは、屋敷の主人デズモンド少佐の言葉に疑いを持つのですが。
ジャックが建てた家 The House that Jack Build エドワード・ウェレン アイリーン・アドラー（Irene Adler）のアナグラムであるアデール・ネリ（Adele Nerri）の謎を見破ったホームズの炯眼から始まるさまざまな謎、謎、謎。 で、だ。この話の意味はさっぱりわかりません。シュールレアリズム的な展開の果てに、作者は何を言いたかったのか。 読んだ感想としては、つまらんの一言ですませます。すいません。 ワトスン、事件を解決す The Doctor's Case スティーヴン・キング ホラー作家で有名なスティーヴン・キングが書いたパスティーシュ。90歳を超えたワトスンの回想の形です。 レストレイド警部に完璧な密室殺人だからすぐ来てくれと言われて目を輝かせて現場に着いたホームズですが、死んだハル卿の邸宅に着いたとき出てきた猫を見るなりくしゃみ鼻水。なんとホームズは猫アレルギーだったという。 そのため、決定的な場面で犯罪のトリックを見破ったのはワトスンだった、という顛末は面白い。 とはいえツッコミたい。この状況の中では許しもあっていいじゃないか、と考えることはホームズ譚に何度もあったのですが、レストレイド警部を巻き込んではいけません。警部である彼が重大犯罪の場で法を曲げては、警察官を辞職しなければならない。作家の考えは間違っていると思う。 作家の意図はわかるが、ここはレストレイドを騙してホームズとワトスンだけで決断すべきだったよね。 あとがきとして、ジョン・ガードナーが、モリアーティ教授が支配していたというロンドンの犯罪組織について解説しています。さまざまな犯罪者それぞれの名前をひとつひとつ上げて丁寧に説明しています。 シャーロッキアンの研究論文と言った方がいいな、これ。 総じて良質のパスティーシュです。ちょっと捻れたものもあったけど。 こういうパスティーシュが好きなのですが、なかなか良いものが見つからないもの。まァしかたないか。 アタリを見つけられればそれだけで幸せなのですよ、ぼくらにとってはね。 （2018/10/19） 読書メーターの記録より 上巻読了：2018/10/5 下巻読了：2018/10/8 |
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