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読んだ本の分類
作家番号： H086 エドワード・D・ホック Hoch, Edward D.
国籍： アメリカ合衆国 生没年：1930/2/22〜2008/1/17
　ニューヨーク州生まれ。1955年に雑誌にサイモン・ヨークものの第一作「使者の村」を刊行して作家デビュー。以後50年以上にわたり短編ミステリの第一人者として活躍した。
　サイモン・ヨーク、怪盗ニック・ヴェルヴェット、レオポルド警部、サム・ホーソーン医師など、多彩なキャラクターを使って謎解きミステリを量産した。
エドワード・D・ホック
管理番号 書　　名 メ　　モ
H086-001
H086-002		 怪盗ニック全仕事（１）
怪盗ニック全仕事（2）		 価値のないものだけ盗む奇妙な怪盗の物語
ページのトップへ 　　Ver. 3.01　
管理番号：H086-001 20 現代冒険小説 出版社：東京創元社
書名：怪盗ニック全仕事（１） 　 ISBN978-4-488-20114-2　C0197
原題：The Complete Stories of Nick Velvet：VOL.1　（1966-1971） 翻訳者：木村二郎
創元推理文庫 Mホ4-13　20114 価格：1160Yen ページ数：448P 本のサイズ：文庫
初版発行：2014/11/28 購入：2015/9/7 カバーイラスト： 佐久間真人
カバーデザイン： 中村聡
「怪盗ニック全仕事（１）」 エドワード・D・ホック　ニック・ヴェルヴェットは変わり者です。年は四十近く、本名のニコラスをニックに変えて朝鮮戦争に行き、戻ってきて泥棒になりました。それも、まことに奇妙な泥棒に。
　盗むものは金ではない。自分のためでもない。ほかの泥棒が盗まない異常なものを、依頼され、最低二万ドルの手数料で盗むのです。郵便局の屋上からメルクリウス（マーキュリー）像を、中性美術館からステンド・グラスを、監督やコーチや野球道具一式を含めて大リーグの野球チームを。
　恋人であるグロリアは、彼を世界を飛び回るセールスマンだと信じています。
　・・・これが基本設定。年代的には最初の。

　このシリーズは、この設定を元に文庫本にして30ページ弱の短編15編で、この洒落た怪盗の冒険をまとめたもの。年代的には1966年から72年までに雑誌発表されたもので、それ以後は後続の巻に入る予定。
　盗んだものは、斑の虎という評判を取った珍しい虎。とある富豪のプールの水。おもちゃのネズミ。とある会社のロゴマークの一部。二ヶ月前に終わったショウの切符。教会のオルガン。負けっ放しの大リーグの野球チーム。湖の怪物。笑うライオンの石膏像。囚人の監房にかかったカレンダー。メリーゴーラウンドの木馬。ティラノサウルスの尻尾の化石。とある裁判の陪審員12人と補欠の1人。革張りの棺。七羽の大鴉。

　価値がないもの、といいますけど無論依頼主にとって価値があるもの。そして一人にとって価値があると言うことは、他の人にとって価値があることもある。だから言葉として価値がないというのは、矛盾があると思うけど、お話的に面白いのでいいんじゃないかな。
　洒落たうまい落とし噺ですね。楽しめました。
　続編が出ています。最後は第6巻まで出るんだそうな。次も読んでみようかな。　　（2016/1/8）
ページのトップへ 　　Ver. 3.02　
管理番号：H086-002 20 現代冒険小説 出版社：東京創元社
書名：怪盗ニック全仕事（2） 　 ISBN978-4-488-20115-9　C0197
原題：The Complete Stories of Nick Velvet：VOL.2　（1972-1977） 翻訳者：木村二郎
創元推理文庫 Mホ4-14　20115 価格：1300Yen ページ数：464P 本のサイズ：文庫
初版発行：2015/8/28 購入：2015/9/2 カバーイラスト： 佐久間真人
カバーデザイン： 中村聡
「怪盗ニック全仕事（2）」 エドワード・D・ホック　「価値のあるものは盗まない」頼まれ盗賊であるニックの顛末を描く、短編の名手エドワード・D・ホックの作品集です。
　価値のないと言っても、一般的には、という前提がつきます、むろん。そうでもなければ、二万ドル、時には三万ドルもの金を払って依頼しませんよね。その点が、読んでいてちょっと引っかかるのです。ある意味で価値があるのだとしたら、その価値を認める人は他にいてもおかしくないよね、と。
　まァそんなことを言ったらお話にならないのですが。(笑)

　今回ニックが盗むよう依頼されたものも、多種多様。
　マフィアのボスが狩っている虎猫の件。空の部屋から盗む何かの件。技術的ミスでくもった映画のフィルムの件。ニュー・イオニアという小さい国のシンボルであるガラスの王冠（どう考えても価値ありそう）の件。昔のサーカスのポスター（ある人のコレクションなのでその人にとっては価値があるはず）の件。安物のカッコウ時計。自分自身が盗まれたあげく殺人事件に巻き込まれて結局失敗した件。軍の高官のゴミを盗む件。死んだ判事が寄贈したハクトウワシの銅像の件。古い価値のないペニー硬貨の件。ヴェニスにある安物の鏡を盗んで殺人事件になる件。おぞましいコレクションを見せびらかす海軍提督と雪を盗む件。木の卵、かがり玉を盗む件。シャーロック・ホームズがタバコを入れるために使っていたペルシャ･スリッパを盗むためにスイスまで行く件。最後は何も盗むなという依頼。
　ひとつひとつ、面白い落とし噺になっていて、読んでいて楽しい。

　しいて難点をいえば、十年来のガールフレンドであるグロリアは、見た目がいいらしいがやはり間抜け。むやみに結婚を迫ろうともしない、ニックにとっては都合がいい女なのだろうけど、これだけいっしょに住んでいて恋人の事を何も知らず騙されたままの女と一緒にいて楽しいんだろうか。
　ま、これも短編シリーズをえんえん続けるためには仕方ない設定なんでしょうけどね。

　で、ある意味で面白かったと言うだけで終わった感じ。うーむ。　　（2016/3/19）