I038 市川哲也

作家番号： I038	市川哲也	いちかわ・てつや
	国籍：日本	生没年：1985/10/31～
高知県生まれ。太成学院大学卒。　2013年「名探偵の証明」で第23回鮎川哲男賞を「受賞しデビュー。デビュー作をシリーズ化したミステリで好評を博す。

管理番号	書　　名		メ　　モ
I038-001	名探偵の証明		老いた探偵の復活劇

		Ver. 3.04

管理番号：I038-001

46 ライト・ミステリ

出版社：東京創元社

書名：名探偵の証明			ISBN978-4-488-46512-4　C0193
英題：The Detective 1　（2013）
創元推理文庫 M い-10-2　46512	価格：840Yen	ページ数：336P		本のサイズ：文庫
初版発行：2017/12/15	購入：2018/1/1	カバーイラスト：西川眞生カバーデザイン：西村弘美

　主人公はオレ、名探偵の屋敷啓次郎(やしき・けいじろう)。警視庁の巡査長である武富竜人(たけとみ・たつひと)刑事の協力を得て、80年代には天才的な名探偵として名を轟かせていたもの。
　それから数十年経った2012年の年の瀬。還暦を過ぎたオレはすっかりうらぶれ、売れない探偵としてすっかり自信をなくして貧乏に甘んじています。そんなオレの前に現れたのは、新たな名探偵として名前を知られるようになった蜜柑花子(みかん・はなこ)。金髪の髪をボブにして、大きな眼鏡が目を引く美少女。
　テレビのトーク番組に出演し、

『勘と運と想像力。名探偵に必要なのは、それ』　（P58）

　と、かつてオレが公言していた名ゼリフを気だるげにいう。
　いまや名探偵として時代の寵児となっている彼女への、オレの思いは複雑。

　かつてコンビを組んでいた武富の励ましで、ようやく奮起して名探偵として復活しようかという気になったとき、奇妙な脅迫状が舞い込みます。

『蜜柑花子を別荘に呼べ。呼ばなければ災難がふりかかる。日にちは12月29日だ』　（P73）

　かくしてオレは、武富と共に吊り橋が唯一の交通路という山奥の別荘に行くことに。
　そこで起きた、いまの名探偵蜜柑とオレ、かつての名探偵屋敷啓次郎を嘲弄するような殺人事件。
　この事件の背後にあったものはなんだったのか。
　オレは名推理を披露できたのか。
　そしてオレを取り巻く感情。悪意。陰謀。
　かつて別れた妻は、なにを思っていたのか。

　ほう、なかなか面白い展開ですね。読んでいて飽きさせない。

　でも、思った。これは、名探偵という「格式」の職業が存在するパラレル日本のお話じゃないかな。
　毛利小五郎という名の知れた探偵が当たり前のように登場する『名探偵コナン』の世界のような。
　演劇の世界みたいで、なんか、リアリティがない。
　アイドルの名探偵美少女なんて出てきて、彼女が今後の続巻で主人公になるらしいけど、こいつぁ鐵太郎的には波長が合わない。
　残念。　（2018/3/13）

　読書メーターの記録より　　読了：2018/2/10　