M044 ローラ・J・ミクスン

作家番号：M044	ローラ・J・ミクスン	Mixon, Laura J.
	国籍：アメリカ合衆国	生没年：1957/12/8～

管理番号	書　　名		メ　　モ
M044-001	アストロ・パイロット		美貌のヤング・レディ、銀河を救う！

		Ver. 3.04

管理番号：M044-001

12 新スペースオペラ

出版社：早川書房

書名：アストロ・パイロット			ISBN4-15-010814-5　C0197
原題：Astropilots（1987）		翻訳者：野田昌宏
ハヤカワ文庫SF814　ミ1-1　2572	価格：480Yen	ページ数：336P		本のサイズ：文庫
初版発行：1989/3/15	購入：1989/3/20	カバー：伊達誠

　主人公はアンドレア伊藤、学寮上級課程パイロット。卒業寸前の最上級候補生。〝十億人から選ばれたひとり〟たちの中の優等生。その最優秀な彼女が、入学志願生徒を迎えて見込みのある者を〝刈り取る〟つまり選び出すところから、この物語は始まります。

「わたしはアンドレア伊藤です」彼女は候補生たちに向かっていった。「学寮上級パイロット・2106年度生です。この矢のマークは」と、左胸に左右方向ちがいに並んでいる二本の銀の矢の徽章を手で示した。「パイロットを示す徽章です。入学志願生徒名簿に登載されているあなたがた五人のなかに・・・」彼女は語調を強めた。「この学寮にふさわしい生徒がいるかもしれない」アンドレアは入学志願生徒たちのほうへと近づき、ひとりひとりを丹念に頭のてっぺんから足の先まで、おもむろに観察しながらゆっくりと移動した。「そこで、今からこうしてその人を発見しようというわけです」　（P14）

　そして苛酷な試験の結果、ひとりのエリダニ人、ジェイスン・スティレットだけが選抜されます。16歳と、生徒としてはかなり年長であるだけでなく、奇妙に自信たっぷりなところが気になる。何かを知っているような雰囲気。
　この新入生徒ジェイスンの秘密、そして政治情勢を背景にした地球人と他の星系の出身者たちの深刻な反目の中で、物語が進んでいきます。学寮校長のジョン・トラメルデン、学生たちの間で〝トンカチ〟と呼ばれる男とはいったい何者か。彼と同じ2087年度卒業となるはずだったマクラウド、ジェイスン・マクラウドはなぜ失踪したのか。
アンドレア伊藤

　19年前に何があったのか。
　今何が起きているのか。
　ススレイとは何ものか。

　数マイクロ秒が経過した。決断の遅れは致命的な結果にもなりかねない。正しい決断が必要だ。いますぐ、急いで。
　実際には、ごく簡単な計算だけなのだ。どっちを選択すべきか？そして誤った選択の結果がどんな事態を招来するか？　（P223）

　アンドレアの決断とは。それは何をもたらしたのか。
　これは面白い。

　良くも悪くも、80年代の、SFが突き抜けるような夢と可能性をもっていた頃の、若さがあふれるスペースオペラですね、これ。素敵です。
　翻訳の野田昌宏さんが、あとがきで躍り上がって喜んでいます。
　特に主人公のアンドレア伊藤、美人で秀才で激烈な競争を勝ち抜いて、最上級生として学寮内に君臨し、下級生の適正判定、監督兼、人事権まですべて握り、情け容赦なく君臨している彼女への、何というか複雑な感情を描いています。
　かつての職場で、そういう秀才の美女たちに足蹴にされた恨みと切々と語ったり。(笑)

　かつて私が勤めていたテレビ会社にもそんな素晴らしい美女の秀才がたくさんおりまして、生まれつき頭が悪く動作が鈍くて慌て者の私などは仕事の上でさんざイジめられたものなのであります。
　それで、おのれ見ておれ、今に強姦して仇をとってくれるからな、その日のために体を鍛えておけ・・・と、毎晩涙をハラハラこぼしながら自分に言い聞かせ、フトンをかぶって文字通りの泣き寝入りをしたものなのであります。（駄目な男がですね、才能のある美しい女のコに味わわされた屈辱の仇をとる手段があるとすればですね、それは暴力しかない・・・とはまた、なんと悲しいことでありましょうか？）　（P325）

　今書いたら炎上しそうな「本音」なのでしょうから、これには突っ込みますまい。(笑)
　翻訳にちょっとイラッとするところはありますが、まァ良しとしましょう。
　傑作とは言えないけれど、面白いお話でした、これ。　（2018/6/16）

　読書メーターの記録より　　読了：2018/4/24　