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| 管理番号 | 書 名 | メ モ | |
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| R030-001 | ＳＡＳ特命潜入隊 | フォークランド戦争と、その30年後 | |
| R030-002 | 究極兵器コールド・フュージョン | イラク戦争の舞台裏で起きた陰謀劇 | |
| R030-003 | ファイアファイト偽装作戦 | ＣＩＡのエージェントだったアラブ人の裏切りと謎 | |
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| 管理番号：R030-001 | 20 現代冒険小説 | ||
| 書名：SAS特命潜入隊 | 発行 2002年 | ||
| 原題：Land of Fire | ハヤカワ文庫ＮＶ1067 ラ7-7 早川文庫5455 | ||
| 翻訳：伏見威蕃 | 価格：\900 | ページ数：474P | 装丁：文庫 |
| 初版発行：04/8/31 | 購入：04/9/11 | ||
 フォークランド戦争が起こったのは、1982年。あれから22年も経っていますね。アルゼンチンが、「日清」、「春日」（日露戦争の時活躍した、日本海軍装甲巡洋艦）を譲った恩を忘れたかと日本を責めたことも、遠い記憶です。 その戦争に、若い兵士として特殊任務を果たすべくフエゴ島に上陸した主人公。 任務は失敗し、必死の脱出行となりました。年の離れた兄である指揮官はその戦いで死にました。 それから20年後、政情不安なアルゼンチンは、全回の時と同じく、国内の不満を外に向けるべく再びフォークランド諸島、彼らの言うマルビナス諸島に奇襲をかけようとします。 軍役も終わりに近づいた主人公は、軍曹として、再びところも同じフエゴ島に潜入作戦を試みます。 火山の島、フエゴ島。火の国。Land of Fire。 南の果て。極寒の地。アルゼンチンとチリの国境がある、牧畜の島。 読んでいて奇妙な錯覚にとらわれました。 強大な敵国に対し、奇襲で活路を開こうとする。考えたのが一か八かの奇想天外な大作戦。これって、アルゼンチンの方が冒険小説の王道に乗っていないか？ まあ、南米のABC大国（アルゼンチン、ブラジル、チリ）の一つとして、相対的には決して弱小ではないのですが。 物語は、SAS、Special Air Serviceの猛者たちによって進められ、一度目は失敗した男たちが、再び二度目に挑むスリリングな展開になります。この主人公マーク・ブラック軍曹は、指揮官である大尉が作戦の初めで失われたために指揮官となり、この作戦を遂行します。 はたして、成功するのか。 昔の冒険小説黄金時代と違って、物語は単純には行きません。爽やかな勝利では終わりません。 アメリカのこういう特殊部隊の冒険ものは、どうも肌に合いませんが、相変わらずイギリスものは周波数が合うものが多いですね。読み始めた最初はいまいちだと思いましたが、後半一気に楽しめました。 |
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Ver. 2.19 |
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| 管理番号：R030-002 | 20 現代冒険小説 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：究極兵器コールド・フュージョン | ISBN978-4-15-041153-4 C0197 | ||||||||
| 原題：Ultimate Weapon （2006） | ハヤカワ文庫NV1153 ラ7-11 早川文庫6171 | ||||||||
| 翻訳：伏見威蕃 | 価格：940Yen | ページ数：534P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：2007.10.25 | 購入：2007.11.3 | 表紙写真：Alamy/PPS通信社 | |||||||
 プロローグは1994年11月16日のスイス。シャモニー渓谷。亡くした母のことで争う父と娘。そして2003年2月10日、テムズ川に面したSIS（ザ・ファーム イギリス情報局秘密情報部）本部で、イラクに侵入して特殊な建物の写真を撮るように命ぜられ、決死の覚悟で任務を全うして取ってきた写真をさんざん貶されたSAS隊員ジェド・ブラッドリーで本編は始まります。 謎の加工プラントが兵器開発の可能性ありという。その決定的証拠をつかめなかったことが咎められ、再び侵入する任務に志願することを求められる。むろん、自由意志で。志願しなければSAS隊員としての経歴と資格、そして名誉を剥奪されるのはお約束。SAS（ザ・レジメント）に所属した事がある隊員にとって、その資格を剥奪されるのは死ねと言う以上の屈辱だそうな。 任務はともかくとして、彼の恋人であるセアラが失踪したことが気になります。 恋人セアラの父というのが、もう一人の主人公ニック・スコット。もとSAS隊員。 湾岸戦争に参加し、捕虜となって辛酸をなめ、戦後解放された後生活が荒れました。その結果妻を亡くし、残された一人娘とは疎遠になっています。 冒頭で争う親子とは彼らのことです。 お約束ですが、ニックはジェドのようなひよっこは大嫌い。ジェドもニックのような気むずかしいロートルは大嫌い。 このセアラがケンブリッジ大学で、どうやらとてつもない新技術の開発に関わったらしい。 それは、現在のエネルギー産業のバランスを崩壊させる新技術であり、先進国にとって大変な問題ですが、イラクのような産油国にとっては破滅的な発明かも知れない。そのためにイラクに拉致されたのではないか。 SISの目的は、公式にはイラクに大量破壊兵器が存在することの確認、少なくともそう言っています。 その任務に就いたジェドの、本当の目的とは何か。 スイスで始まった物語はイギリスに移り、情報部の陰謀と色模様を経て、開戦直前のイラクに行きます。 再度潜入したジェドは、仲間3人を失ってティグリス川を越えますが、セアラがイラクに拉致されたという情報で駆けつけたニックと共に、再びバグダッド市内に戻る羽目に。 そして運命の2003年3月19日、ジェドはニックと共に命ぜられた特殊プラントにレーザー照射を行います。 上空を飛翔するF-117攻撃機が放つレーザー誘導爆弾がピンポイントでそこに吸い込まれる。そして、次々と巡航ミサイルが。 サダム・フセインを暗殺するために行われた、と称された「衝撃と畏怖」作戦の発動です。 この攻撃は、本当な何を狙ったのか。 イラク戦争の内幕ものの体裁で、スリリングな展開が続きます。セアラは救出できるのか。何が起きたのか。 クリス・ライアン好き読者にはたまらんでしょうなぁ。 いくつか突っ込みどころ。というか、鐵太郎がこのノリにあまりついて行けなかった訳。(笑) SAS隊員だからという設定のせいなのか、ここに出てくる主人公二人、何でもかんでも腕力で片付けたがる。二人とも、耳の間にまで筋肉がつまった低脳マッチョという設定ではないんですけどねぇ。しかも、よく負ける。殴り合いの描写を延々としたあげく、殴り倒されて虫の息になるなんて、書いていて楽しいんだろうか？(笑) 主人公たちが苦労するオンボロ車が数台出てきますが、みな日本車ですよ。（爆） 70年代半ばの1300ccダットサン100とか、シビックとかカローラとか。英国車はイラクに流れて行く前に走れなくなるからないんだろうな、とイヤミな解釈をしてみます。(笑) そもそも中東へ流れていったような日本車が、荒野を走ったり大男を4人も乗せて非舗装道路を飛ばすことが無理じゃないか。 長さの単位ですけどね、8km、1.5km、30m、1.8mなどと、ヤードポンド法に換算しやすい中途半端な長さが多い。原文はどうなっているんでしょうね？(笑) SIS御用達だという、ハードディスクの情報をすべて瞬時にダウンロードできるというフラッシュメモリー。ぜひ欲しい！(笑) うちのHD、毎日データ分だけ別なHDにバックアップを取っていますが、全容量ではなく更新分だけコピーする機能の付いたソフトを使っていても10分以上かかりますよ。何十ギガか知らないが、「瞬時」にダウンロードできるなんて、2008年でも存在しないぞ？(笑) それ以外も、PCに対する説明がいいかげんで困ります。 「コールド・フュージョン」とは何か、というのがこのお話のネタですのでネタバレはしませんが、一人の大学院生が世界のエネルギー市場を席巻する大発見するという設定はともかく、それを研究室で実用化できるなんて、ふた昔前のスペオペじゃあるまいし、勘弁してくれ。技術の原理は研究室で生まれるかも知れないが、量産化には科学者ではなく熟練した技術者の腕が必要です。 もの作りを馬鹿にするな。 それ以外に見つけたところ。 「ティペレアリまではどのくらい？」と聞く場面があります。第一次大戦の時イギリスで流行った歌だそうな。「遥かなティペラリー」で検索すると歌も聴けるサイトがありますね。 昔の記憶なのですが、コミック「Peanut」の一場面で、スヌーピーがこれを歌います。コミックの注釈で、この歌を「線路は続くよどこまでも」のことだと書いてあったのですが、これは間違い。違う歌です。 うーん、残念ですけどこの本は鐵太郎にとって外れだった。そんなこともあるだろうなぁ。 （08/3/29） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R030-003 | 20 現代冒険小説 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ファイアファイト偽装作戦 | ISBN978-4-15-041196-1 | ||||||||
| 原題：Firefight （2008） | 翻訳者：伏見威蕃 | ||||||||
| ハヤカワ文庫NV1196 ラ7-13 早川文庫6477 | 価格：900Yen | ページ数：474P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：2009/5/25 | 購入：2011/3/7 | カバー写真：Colin Anderson /Brand X/Corbis/amanaimages |
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 プロローグとして、ローマに住むイスラム教徒の青年の話から始まります。温厚な彼は、肌の色や国籍で偏見を持たれてもじっと耐えています。その彼が、英語を話す暴漢に襲われて、ポーランドにまで連れさらわれました。彼らの正体はわかりません。薬品を使った尋問によって、青年はファイサル・アフメドというテロリストの事を話し始めたのでした。そして、こんな事を。「三週間後。ロンドン」 二年前のクリスマス、妻と娘をテロリストの爆弾で失った元SASのウィル・ジャクソンは、スーツを着た二人の男に襲われます。その二人を撃退した彼の前に立ったのは、初老の男。ラウザー・パンクハースト、ＭＩ５長官でした。 ロンドンに連れて行かれたウィルは、ＣＩＡ局員のドナルド・プリーストリィという男に引き合わされ、いくつかの爆破された建物の写真と共に、一人の男の画質の悪い写真を見せられます。その男の名はファイサル・アフメド。1969年にアフガニスタンで生まれた彼は、かつてＣＩＡのためにアラブ系テロリストグループの中に潜入するスパイとして働いていた男だという。 そして彼は2000年に、おそらくＣＩＡ内部にいたスパイのためにその正体が暴かれ、アルカーイダに拷問を受けたのち半死半生で脱出したという。彼を受け入れたのはＭＩ５。今度は英国のために働いたアフメドは、2003年、多国籍軍のイラク侵攻の三週間前に闇に潜り、今度は英米に対して牙をむいたという。しかも、ＭＩ５の中にはもぐらがいるらしい。 だから、軍を離れて2年になるウィル・ジャクソンなら安心なので、アフメドを捕らえる任務をひきうけてほしい。 まっぴらだ、と立ち上がるウィルに、パンクハーストは言います。アフメドは今までの爆破事件の中で、たった二人だけを殺している。二年前のクリスマスに、デパートである母親とその娘を。 おまえらは畜生だ、とウィルはささやく。そして任務に就くこととなりました。 アルカーイダにとらわれ、拷問を受けているアフメドの姉をまず救出し、彼女を足がかりにしてアフメドの居場所を探ることから始めます。相棒となった現役ＳＡＳの男たちとの軋轢、アフガニスタンでのぎりぎりのサバイバル、そして目指すアフメドに。 しかしそれだけではなかった。なぜアフメドは組織を裏切ったのか。ファイアファイト作戦とはなにか。本当の裏切り者は誰なのか。 二転三転するスリリングな展開。たたみかけるような文章の流れ。見事です。面白いサスペンスアクションですね。 ひとつ引っかかったのは、登場人物の怪我や拷問からの驚異的な回復力。まぁこりゃあしかたないか。(笑) （2011/4/9） |
