トップへ戻る
トップへ戻る
 
読んだ本の分類
作家番号: R033 編集: M・レズニック&M・H・グリーンバーグ Resnik, M. & M. H. Greenberg
  
管理番号 書  名 メ  モ
R033-001・002 シャーロック・ホームズのSF大冒険(上・下) ジーン・コナン・ドイル公認の書き下ろし短編集

上へ
  Ver. 2.13
管理番号:R033-001・002 42 シャーロック・ホームズ・ノベル 出版社:河出書房新社
書名:シャーロック・ホームズのSF大冒険(上) 短編集 ISBN4-309-46277-4
原題:Sherlock Holmes Obit (1995) 河出文庫レ3-1
翻訳: 価格:\880 ページ数:370P 本のサイズ:文庫
初版発行:2006/9/20 購入:2006/9/9 表紙イラスト:
書名:シャーロック・ホームズのSF大冒険(下) 短編集 ISBN4-309-46278-2
原題:Sherlock Holmes Obit (1995) 河出文庫レ3-1
翻訳: 価格:\880 ページ数:363P 本のサイズ:文庫
初版発行:2006/9/20 購入:2006/9/9 表紙イラスト:
 サー・アーサー・コナン・ドイルの娘、ジーン・コナン・ドイル公認の、26人ものSF作家によるホームズのパロディ、パスティーシュ短編集です。しかも書き下ろし。
 第1部は「過去のホームズ」として、ある意味正統的な、ホームズの生きた時代を舞台にした14編。
 第2部は「現在のホームズ」として、舞台を現在に移して4編。
 第3部は「未来のホームズ」として、いかにもSF的な6編。
 第4部は「死後のホームズ」として、別世界の2編。

 SF作家にも、むろん正統的なホームズ・ファンはたくさんいるのですね。ホームズらしきキャラを配しただけのSFなどありません。正面から本気で取り組み、ひねりにひねりった、個性豊かで見事な小編が並びます。
 最初はちょっと警戒したのですが、面白かった。

 ジョージ・アレック・エフィンジャーの「マスグレーヴの手記」から始まります。ワトスンが描いたレジナルド・マスグレーヴの肖像に憤懣を漏らすマスグレーヴ本人の手記です。ホームズと共に生活する彼の元に届いた依頼の手紙には、チン・チュワンフーと言う署名がありました。故国ではドクター・フー・マンチューと名乗っているという変わった人物です。
 お話自体は短いしたいしたミステリはない。洒落たオチもない。でも、ホームズに対する愛情にあふれた一品です。
 それに続く作品群も、これに似ています。

 鬼面人を驚かす大胆なトリックは、ほとんどありません。ただひたすら、ホームズを崇拝する作家たちの饗宴です。
 中には、腕時計を見るワトスン(「行方不明の館」ローラ・レズニック)などという、作家だか訳者だかの勘違いと思われる所もありますね。ホームズとワトスンが、アイリーン・アドラーの妹を訪ねてサンフランシスコへ行くなどという無茶な話(「バーバリー・コーストの幽霊」フランク・M・ロビンスン)もあります。
 心霊術に凝るドイルと対決する話あり、タイム・マシンなるものを操る「旅行者」との会話もあります。氷山にぶつからなかったタイタニック号に乗船するホームズもあります。いいですねぇ。

 ちょっといただけないお話もなくはありませんが、それも味付けのうちですね。楽しめました。  (06/12/6)