T048 エドウィン・トーマス

作家番号： T048	エドウィン・トーマス	Thomas, Edwin
	国籍：イギリス	生没年：1977～

管理番号	書名		備考
T048-001	ドーバーの伏兵		気弱な海尉ジェラルドの冒険 1

管理番号：T048-001		22 帆船･海洋冒険
書名：ドーバーの伏兵	気弱な海尉ジェラルドの冒険 1		発行　2003年
原題：The Blighted Cliffs		早川書房ハヤカワ文庫NV1080　ト16-1　5610
翻訳：高津幸枝	価格：\900	ページ数：522P	装丁：文庫イラスト：小野利明
初版発行：05/4/30	購入：05/4/23

　時は1806年2月、主人公はマーティン・ジェラルド海尉。
　去年のトラファルガル海戦のさなか、恐ろしい失態をやらかしてしまったおマヌケな士官。

　「気弱な海尉ジェラルドの冒険」？？
　「酒好きで女好き、おまけに臆病で、海軍士官なんて柄じゃない」(オビの文句)　？？？
　「The Blighted Cliffs」・・・　荒れた崖　　？？？？

　なんと言いますか、これで冒険シリーズが成り立つのかというすごい設定ですね。
　ついにネタが尽きてきたか、ここまできたか。なんとまあ。
　まあ、いつまでも正当派路線、ホーンブロワーに追いつけ追い越せでは、マンネリになるのかも。

　という印象です、第一印象。
　読み終えて、印象としては特に変化なし。
　しかし、追加として付け加えることが三つばかり。

　面白い。次々と山が来る飽きさせない展開と、見事なネタによるどんでん返し。冒険小説として、十分な価値がありますね。これが第一点。
　オビの煽りは、だいたいにして信用ならないことが多いのですが、これもまた微妙にはずしているようですな。自暴自棄の役立たず海軍士官にしては、切れすぎるし運が良すぎるぞ。これ、第二点。
　ヒロインが．．．　良すぎる。(苦笑)　男というBitter-halfの立場から見てそう思うだけなのかどうかは、女性読者の感想を待ちたいですが、こんなに良いヒロインとこんなに簡単にこんなことになるとは．．．　都合が良すぎるぞ。(楽しいけれどね) これが三点目。

　経済活動に関して、こういう考え方もありなのかどうか、よく分かりません。そういう意味では最後のどんでん返しがいまいち頭に入りませんでした。しかし、そこに至るあちらこちらの伏線の連なりが見事。
　笑いあり、ハラハラあり、びくびくあり。格闘あり、濡れ場あり、どろどろあり。

　これが作者の処女長編だとか。第二巻に期待です。　　　　　　　　　　　　　　　　　(05/4/30)

　ヒロインは洗濯屋さんもやっていますよね。そこで思い出したのが、「密偵ファルコ」などに出てくるローマの洗濯屋さん。
　石鹸がない代わりに、××を使っていたんでしたっけ。　　・・・思い出すんじゃなかった。(-＿-)；