W039 ロバート・チャールズ・ウィルスン

作家番号： W039	ロバート・チャールズ・ウィルスン	Wilson, Robert Charles
	国籍：アメリカ合衆国～カナダ	生没年：1953/12/15～

管理番号	書　　名		メ　　モ
W039-001	ペルセウス座流星群		ファウンダーズ古書店を中心にした不思議な世界

		Ver. 3.00

管理番号：W039-001

17 ファンタジー類

出版社：東京創元社

書名：ペルセウス座流星群	副題		ISBN978-4-488-70608-1　C0197
原題：The Perseids　AndOtherStories　（2000）		翻訳者：茂木健
創元推理文庫 SFウ9-8　706-08	価格：1200Yen	ページ数：448P		本のサイズ：文庫
初版発行：2012/11/16	購入：2012/11/16	Cover Illustration：鷲尾直広 Cover Design：岩郷重力+WONDER WORKZ。

　ファウンダーズ、発見者という名の古書店を軸とした、奇妙で幻想的な物語を集めた短編集です。
　本の題名に魅力を感じて買った本。別に宇宙活劇でなくてもいいからさ、面白いSFなら読みたいよね。

　第一作、アブラハムの森　”The Fields of Abrahan” 。この本は9作の短編集ですが、この短編集を組むために書き下ろされた三作の一つ。
　ジェイコブと言う貧しい少年が、日頃の生活の辛さから逃れるために顔を出す、小さな古本屋。その不思議な店主オスカー・ジーグラーとの心の触れ合い。
　神の命ずるままに息子イサクを生贄にしようと決心した聖書の人物アブラハムは、信仰に篤かったのではない、と言うジーグラーの論が面白い。神の僕（しもべ）として愚直なまでに忠実だっただけなんだよ。神に報われるのは清廉さとか身持ちの良さじゃなく、忠節だけなんだよ、とジーグラーは説く。そしてイサクは、自分の父親が神を信じたと同じくらい神を信用しない、父よりはるかに人間として健全になったであろうから、神に息子を生贄にするよう命ぜられてもきっぱり断ったであろう、という。
　生贄、犠牲と言う概念の中で運命に翻弄された少年ジェイコブ。そして奇妙な結末。
　解説でも指摘されていないのですが、ジェイコブ、とはイサクの息子であるヤコブの英語読み。何やらもう一段深い意味がありそうな気がしました。

　この話を筆頭に、第二作 ペルセウス座流星群 では天体望遠鏡を買った青年が見つけた不思議な花の話、第3作 町の中の街　では、ある賭け事から始まって、街を歩く主人公が見つけた不思議な世界。
　それから、それから、それから。

　幻想的でめくるめく世界。なるほど、こんな物語もありか。

　とは言え、内容でちょっと引っかかった。　・・・ドラッグとかドラッグとかドラッグとか。(笑)
　鐵太郎の美的感覚によるものなのですが、ドラッグによる幻想は拒否します。薬品で芸術が高められるのなら、芸術などいらない。
　なんだろうねぇ、この空気を読まない頑固ぶりは。けっこう石頭なんだな。

　日本人でもこういう世界を楽しめる人も多いのでしょう。でも、鐵太郎はダメです。残念。　　（2013/03/18）