C048 バーナード・コーンウェル

作家番号	C048
作家	バーナード・コーンウェル	Cornwell, Bernard
国籍	イギリス	生没年：1944/2/23～
現時点で紹介なし。（おい）　とりあえず、公式ホームページ。


管理番号	書名		メモ
C048-012	謀略の航海		シャープ元中佐の、最後の冒険

		Ver. 2.4

C048-012	24 近代冒険小説			出版社：光人社
書名：謀略の航海		炎の英雄シャープ 12			発行：1992年
原題：Sharpe's Devil
翻訳：原佳代子		価格：￥1800	ページ数：285P		本のサイズ：140×195HC
初版発行：94/10/13		購入：05/9/21	表紙イラスト・：依光隆

　陸のホーンブロワーと銘打って始まったこのシリーズ、ついに最終巻です。いつもは行かない本屋で偶然見つけました。
　実は、1～11巻は図書館で読んだもので、自分の手に入れたハードカバーの本は、これが初めてです。しかも、しかもです、買ってから、なんやかんやありましたので、半年近く保管状態だったという情けない状態。
　しかし、日本語訳のDVDの発売が迫る今日この頃、いつまでも積ん読本にするわけにもいかないではないか。面白いのは事実なんだし。
　と言うわけで、「謀略の航海」です。

　時代は、オビにあるように、ワーテルローの戦いから5年後。
　フランスのノルマンディーで農夫となっているリチャード・シャープのもとに、かつて恩を受けたスペインのモウロモルト伯爵ことブラース・ビバールの行方を捜して欲しいと依頼する人がいます。ドーナ・ルイーザ・ビバール、すなわちモウロモルト伯爵夫人その人。
　しかし、ヨーロッパで暴れ回ったシャープも、5歳のパトリックと3歳のドミニークの二人の子と、ルシールという妻(あは！)を得た家庭人。今さら昔の冒険などしたくない。
　なぜ、どのように説得されたのか？　むろん、男の弱さの元凶はなべて女です。(あはは)

　かくしてリチャード・シャープ元英国陸軍中佐は、毒くらわば皿までとばかり、アイルランドで悠々自適するパトリック・ハーパー元英国陸軍曹長を引っ張り出し、恩義あるビバールが姿を消したというスペイン領南アメリカの太平洋側、現在のチリにむかいます。
　むかった先はスペイン領の、ほぼ南緯40度の位置にあるバルディビア（Valdivia）。ちなみに、北緯40度あたりというと、日本の秋田、青森あたりですね。

　本の出だしはその航海の途中、大西洋の孤島セントヘレナに立ち寄ったところから。暑い熱帯気候の中でふうふういいながらラバを待ちます。
　セントヘレナ島、1820年。ここに誰がいたか。
　ワーテルローで敗れたフランスの英雄、元皇帝、ナポレオン・ボナパルトその人。

　歴史上の重要な人物、事件はこれだけではありません。南米バルディビアを墜とそうとするスペンへの反乱軍の戦いがちょうどピークを迎え、そこに歴史に名高いサー・トマス・コクランが登場します。英国海軍提督として、かのホーンブロワーのモデルのひとりでもあったと言われるこの人はこの時期、英国を追われてここ南米で反乱軍の海軍司令官として戦っていたのですね。
　南米の歴史に名高いバルディビア攻防戦に参加する羽目になったシャープ。その経緯はいかに。

　さあ、陰謀と謎、血なまぐさい戦闘、勇気と蛮勇、男意気と不運。リチャード・シャープ最後の冒険です。
　謎また謎は解決するのか。シナリオを書いているのは誰か。
　ブラース・ビバールは生きているのか。そしてどこにいるのか。シャープが最後に見つけるものは何か。

　ところで、「Devil」って誰なのでしょう？途中で紹介される悪魔と異名の付いた男は、ちょっとふさわしくない。
　では誰？　ナポレオン？　コクラン？　それとも、シャープ本人？
　これでこのシリーズは終わり。もうこれ以後のシャープは書かれることはないのです。　　（06/2/17）
　でも、時代を遡ったシャープは、まだまだ書き続けられています。
　翻訳されるのかが問題ですけどね。　　（06/2/25追記）　