トップへ戻る 読んだ本の分類		作家番号：D001 フィリップ・K・ディック Dick, Philip K. 国籍：アメリカ合衆国 生没年：1928/12/16〜1982/03/02 　本名：フィリップ・キンドレッド・ディック （Philip Kindred Dick） 　シカゴ生まれ。カリフォルニア大学に入学後、兵役忌避のため退学。　1951年に処女短編『ルーグ』を発表。以降、150編以上のSF短編・長編を著した。 　経済的に恵まれず、離婚と結婚を繰り返した。SF作家としての評価は高まっていったが、神経症の治療からアンフェタミンを常用した時期があり、自殺未遂も数々起こしている。後に薬物とは縁を切る。 　死後に発表された作品多数あり。享年53才。

管理番号	書　　名		メ　　モ
D001-016	あなたをつくります

		Ver. 2.14

管理番号：D001-016		10 SF一般
書名：あなたをつくります			発行　1972年
原題：We Can Built You		創元推理文庫　SFテ-1-16
翻訳：佐藤龍雄	価格：￥920	ページ数：412P	装丁：文庫 イラスト：松野光洋
初版発行：02/3/22	購入：02/4/5

人類が宇宙に出る時代、売れない電子オルガンを作っていた主人公たちが一念発起し、「シミュラクラ」という名の模造人間を作る。その模造人間は、モデルとされた人物のデータを詰め込まれ、モデルとそっくりな考え方をするアンドロイドである。 　主人公はこのシミュラクラを使って一儲けをもくろむが、シミュラクラ製作に携わった共同経営者の娘に恋をするが、精神分裂症のその娘は大富豪と恋に落ちる。 　主人公は、あまりに人間的にふるまうシミュラクラとその娘に振り回され、自分が何かわからなくなり、狂気に陥る。 　アイデンティティの喪失というディックの永遠の課題と、不条理な精神世界。フィリップ・Ｋ・ディックの世界です。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか？」でＳＦ界に衝撃を与えてから、このテーマは繰り返し使われています。 　うむ、価値ある一冊なのだろう。前半のチープでご都合主義的なＳＦネタながら、後半は怒濤の精神世界。11人に１人は精神異常という異様な国。 　 　しかし！ 　1970年代初めの段階で、わずか10数年後にこれだけの技術革新がおき、これだけの世界が生まれると予測した時点で、まず周波数が会わない。勘弁してくれ。 　メカニカルを書きたいのなら、電子オルガンの会社が人間に匹敵する人間型マシンを作れる不条理を、もう少しうまく説明してくれ。 　主人公が、狂気のままに風呂場にこもってタイルを貼る娘になぜ恋したのか、明確なきっかけを書いてくれ。 　ディックが、ＳＦから純文学に移ろうとする過渡期なのだそうな。 　まあ、たくさん読んでいると、（ぼくにとっての）ハズレもあるかな、と言うところかな。 　人生いろいろでした。(-＿-)；　（04/10/20）