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| 管理番号 | 書 名 | 翻訳者 | メ モ | |
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| M026-008 | 星の海のミッキー | 森 のぞみ | 少女と猫と友好的なエイリアン | |
| M026-009・010 | 太陽の王と月の妖獣(上・下) | 幹 遙子 | 17世紀、ルイ14世の宮廷に現れた妖獣 | |
| 管理番号:M026-008 | 18 ユーモア・ジュブナイルSF | 出版社:早川書房 | |||||||
| 書名:星の海のミッキー | ISBN4-15-010850-1 C0197 | ||||||||
| 原題:Barbary(1986) | 翻訳者:森 のぞみ | ||||||||
| ハヤカワ文庫SF850 早川書房2725 | 価格:440Yen | ページ数:288P | 本のサイズ:文庫 | ||||||
| 初版発行:1989/12/15 | 購入:1990/3/16 | カバー/口絵/挿絵:斉藤友子 | |||||||
最初に挿絵のこと。この本の カバー/口絵/挿絵 を描いている「主人公は、この本の原題であるバーバリ。12歳の少女。姓は不明。親を失って孤児になったあと施設を転々として、生きるために宇宙への移民を熱望しています。 チケットはなんとか手に入れたものの、シャトルの空きがないために何度も乗り損ねています。今回出港するシャトルは研究ステーション<アインシュタイン>行きなのですが、これを逃すと次の旅まであと一ヶ月以上待たなくてはならない。それでは、もう間に合わないかも。 60人定員のシャトルの最後の空き席になんとかもぐり込んだバーバリ。チケットはあるのだけれど、厳密には許されていません。バレたらどうする、というドキドキはお約束。しかも彼女、本物の密航者をポケットの中に潜ませています。 この隠し方が、何も知らない純真な少女ではない。
このシャトルに、一年前に国連事務総長に選出されたばかりのビゲイ大使の姿を見つけて驚くバーバリ。北アメリカの統合部族を代表するインディアン(この呼び方が許された古き良き時代)の老女である彼女が、なぜただの入植地などではない<アインシュタイン>に行くのか。ほかにもボディーガードを二人連れたよく顔を見る政治家とか、何十回も宇宙探査をしている有名な女性宇宙飛行士とか、真の意味で有名な人々が乗っているのです。なにがあるのか。 その黒人女性の宇宙飛行士、ジャンヌ・ヴェロリー博士に窮地を救われたバーバリは、シャトルの中で驚くべきことを知らされます。一年ほど前に観測された不思議な軌道の彗星は、実は彗星ではなくエイリアンの宇宙船らしいとわかったのだそうです。人類側からのコンタクトの試みに返答はないのですが、その軌道が、地球周辺で超楕円軌道を取っている研究ステーション<アインシュタイン>の近傍を通ることが確認されているそうで、では何らかの方法で人類代表がコンタクトの現場に行くべきという話になったのだそうな。ただしこの情報をうかつに公表すればどんなパニックが起きるかわからない。 そこで密かにコンタクトメンバーが選抜され、ここに搭乗しているというのです。いつもは満席なシャトルに偶然空きができたのも、それと関係があるらしい。 とはいえこの情報をジャンヌがなぜバーバリに打ち明けたのかがよくわからない。 設定の甘さがあちこちありますが、それでもハードSFの根っこはしっかりしていますね。 シャトルで軌道上に上がったあと、乗客は本格的な宇宙連絡船<アウトリガー>に乗り換えます。単純にロケットでステーションに行きました、とはならない。 無重力状態の中でマジック・テープを使って「床となる面」を歩かない理由、手と反動だけで推進する動作、あちこちの描写。 でも猫はゼロGでも全然平気、って描写はどうかしらね? そう、猫です。バーバリは小さな子猫を手に入れ、離れられなくなり、そのせいで施設にもいられなくなったのだそうな。猫のミッキーを密航させて宇宙に出ることはとんでもない事だとわかっていたけれど、やるしかなかった──というところがこの本のネタでありキモです。 三日後、実験ステーション<アインシュタイン>に到着します。 ここで、このステーションで生まれた唯一の子供である同い年のヘザーに迎えられるのですが──なぜこの重要施設に来るか来ないかわからない、まったくどうでもいい存在であるはずのバーバリが、きょうだいとして迎えられるのか、読み直してもわからない。 大人の事情ってやつなのかしらん??? そして、猫のことをなんとかして隠し通したいバーバリの悪戦苦闘と、バレるまでのさまざまな軋轢と、バレてからの騒動と、このミッキーがなにをなしとげたのか──正確には事態にどうかかわったのか、がこの物語のキモ。 ステーション内の回転部分Gのかかり方、外周になるほどGが増加する理屈、回転部で回転方向に行くときと反対方向に行くときなぜ上り坂になったり下り坂になったりするのか、首を急に回すとなぜめまいがするのか。SFが科学啓蒙小説といわれた頃の懐かしい描写です。 ゼロGや低重力で育ったヘザーが1G以上の重力でへたるさまなど、読んでいて嬉しくなります。 あちこち甘いところはあるんですけどね。 そう、最後にエイリアンとのコンタクトが起きます、むろん。 その結果は──うーん。 やっぱり甘いな。あり得ないほど甘いな。(笑) もうひとつ気付くのは、この本、女性が多い事。男女同権などというレベルじゃない、搭乗人物が、重要な役どころを含め七割がた女性。作家はこういうSFを書きたかったんでしょうねぇ。 そうそう、あとがきで翻訳者の森のぞみさんが、
でもさ、個人的感想ですが、読んでいて、ミッキーの個性というかやんちゃぶりがあまり感じられなかったんですよ。猫のSFといっても、それほどミッキーは主体をおかれていない感じ。なにしろ最初の1/3は盗んだ人間用の睡眠薬(トランキライザー?)を飲まされて寝たまま運ばれ、その後もほとんど狭い部屋に放置されているばかり。シモのしつけは完璧で、人間の余り物を何でも食べさせられて平気だし。後半でやっと(?)行方不明になって騒動を起こすだけ。捕まっても暴れていないようだし。 よくわからない。 あとがきに書かれている、森さんちの子猫たちの方がよほどやんちゃで面白い。 マッキンタイアさんは、スタートレック本でも有名です。そのうち掘り出したら読み直してみようか。 スタトレ本といえば、スタトレ翻訳者の斉藤伯好も猫好きで有名ですね。なにか流行りでもあるのかな?(2026/06/15) 読書メーターの記録より 読了:2026/6/13
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| Ver. 2.23 |
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| 管理番号:M026-009・010 | 14 時代SF・ヒロイックファンタジー |
出版社:早川書房 | |||||||
| 書名:太陽の王と月の妖獣(上) | ISBN978-4-15-011298-3 C0197 | ||||||||
| 原題:The Moon and the Sun (1997) | 翻訳者:幹 遙子 | ||||||||
| ハヤカワ文庫SF1298 マ2-3 早川文庫4504 | 価格:760Yen | ページ数:431P | 本のサイズ:文庫 | ||||||
| 初版発行:2000/1/31 | 購入:2000/1/29 | 表紙イラスト:丹野 忍 | |||||||
| 書名:太陽の王と月の妖獣(下) | ISBN978-4-15-011299-1 C0197 | ||||||||
| ハヤカワ文庫SF1299 マ2-4 早川文庫4505 | 価格:760Yen | ページ数:409P | 本のサイズ:文庫 | ||||||
| 初版発行:2000/1/31 | 購入:2000/1/29 | 表紙イラスト:丹野 忍 | |||||||
![]() この本は、日本のSFファンによる評価はからいですね。SFじゃないだろ、歴史改編でもないだろ、面白くない、などなど。同感です。SFと見て読み始めては違和感があるでしょうね。 せめて歴史SFと呼んではどうだろう、これ。 ざっとネット上の書評を見てみたけど、中世がいつだかもわからない人や、ルイ14世がなんだかわからない人だと、この本は「妙なファンタジー」以上の読み方はできないかもしれません。 時は1693年、場所はフランス、ベルサイユ。 太陽王と呼ばれたルイ14世の治世50年目で、フランス王国が絶対王政の最盛期を迎えていた時代です。 主要人物のうち、実在するフランスの王家の人々につきましては、今回読むに当たって、メモをとりました。なにしろ煩雑なのでね。 → ここ参照 (ブログ) 歴史上はともかく物語に絡む人物として、このブログに並べた上から8人を押さえておけばよろしいかと。 ほかにも、1691年に選出された法王インノケンティウス12世とその側近であるオットボーニ枢機卿や、名誉革命(1688)によって英国王座を追われたジェームズ2世とその妻、メアリー・オブ・モデナなどもいます。歴史マニア的にはたまらんなぁ。(笑) 存在が確認できないできない人物として主人公に絡む重要人物は、ロレーヌの騎士と呼ばれるムッシュー(王弟殿下)の愛人(55歳)と、王の側近であるクレティアン伯爵リュシアン・ド・バラントンですね。実在したのかな。 ここまで引っ張って、ようやく紹介します。(笑) この物語の主人公は、マリー=ジョゼフ・ドラクロワ、20歳。カリブ海のマルティニーク島生まれ。兄の出世のおかげでマドモアゼル(王弟令嬢・オルレアン公女)の侍女としてヴェルサイユに来るまでは、修道院で5年間過ごしました。 彼女の兄は、イヴ・ドラクロワ。イエズス会修道士にして神父。自然哲学者、つまり博物学者です。 彼が「海の妖獣」と呼ばれた不思議な海洋生物を二匹捕らえ、これを陛下に献上したことがこの奇妙な物語の発端です。 この不思議な生物には、不老不死の効能があるとされています。そこでルイ14世は慎重を期してイヴ・ドラクロワに対し、この二匹のうち死んだ方を解剖してその生態を探り、体内になにやら魔術的な器官があればそれを研究し、不老不死の魔術があることを突き止めるよう命じました。妖獣の一匹は、ルイ14世の目の前で解剖されます。畏れ多くも陛下御自ら高覧遊ばすのですから、主要な廷臣たちはむろん全員うち揃って参加しなければなりません。客人たる法王聖下も例外ではない。こんな宮廷の描写も面白い。 なにやら、徳川将軍もかくありなん、という感じですね。絶対君主の一挙一動は、廷臣たちの生殺与奪を左右しますので、陰でなんといおうがおもてだって王に忠誠を示さない者はいない。陰の部分でも告げ口一つで最悪を覚悟せねばならない、と言う訳。 マリー=ジョセフは、年に似合わず奥手でウブです。男女のことも、宮廷生活の表裏も、宗教の正しい姿も、世の常識も知りません。しかしニュートンと文通する数学の才能を持ち、写実的な画家の才能に恵まれ、ハープシコードで見事に自作のカンタータを演奏できて、女性用の片鞍で駿馬を乗りこなし、動物の飼育も巧みです。この対比がなんとも。 彼女が、生きていた方の妖獣を生かしておくように命ぜられて飼育しているうちに、この妖獣は雌であり、知性があり、自分の意志を持っていることに気付きます。 この物語は、前半はルイ14世の宮廷の生々しい、ありえたであろう世界をウブなマリー=ジョセフの目を通して描いていますが、後半になるとこの妖獣を中心にして、運命がどんどん変化していく人々の姿と不思議な海の世界を描いて行き、いつの間にか近代はじめのヴェルサイユ宮廷からファンタジーの世界に移っていきます。 原題の「The Moon and the Sun」の太陽の方は、ルイ14世と考えたいですね。しかしこれに対比される月の方は、邦題ではこの妖獣を指したのですが、あとがきで訳者はそれだけではないと言っています。太陽の光を受けて輝くルイ宮廷の廷臣たちであると共に、太陽である男の影に過ぎない女のことでもあろうし、表に立ってわが世を満喫している人類に対する影の海の民のことでもあろう、と。 妖獣とは、このファンタジー世界ではいったいどんな存在だったのか。 デュマがSFを書いたら、こんな感じになるんじゃないだろうか。 下準備しないで読むと大変ですが、歴史好きにはたまらんSFじゃないでしょうか、この本。 面白い人物として、ドメニコ・スカルラッティという人が出てきます。この時わずか8歳。 現代ではほとんど忘れられたイタリアの作曲家ですが、バッハ、ヘンデルと同じ年の生まれです。当時父親アレッサンドロと共にヴェルサイユに滞在し、天才少年として演奏していたらしい。 この少年が、気むずかしく自己中心的な父に逆らってマリー=ジョセフの曲を演奏してくれます。ひと目見て長い曲を暗譜してうっとりと演奏する天才少年が可愛い。 ちょっと気になったのが、ジュリエット・ドートヴィル。この人物自体はクレティアン伯爵の寵を得ようとする単なる若い宮廷婦人なのですが、爵位がラ・フェール侯爵夫人なのです。三銃士で活躍したアトスはラ・フェール伯爵とされ、高名なラ・フェール家の一員を名乗ります。1661年60歳ぐらいでに死んだこの人は、この女性のなにに当たるのだろうと考えて、少し嬉しくなりました。 日本ネタとして、ルイ14世の在位50周年を祝う謁見に、日本国皇太子なる人物が現れます。絹地のキモノの裃を重ね着して、白い袴を着け、大小対になった刀を腰に帯びているのだそうな。で、この人物が
1693年当時、日本には東山天皇(1675/10/21 - 1710/1/16 第113代天皇・在位:1687 - 1709)、徳川綱吉(1646/2/23 - 1709/2/19 第五代将軍・在職 1680 - 1709)がいましたので、作者の研究に間違いはありません。 ただし、鎖国といわれたあの時代、日本から正式な使節が国外に出ることはあり得なかったこと、日本国皇太子なる人物が公家ではなく武士の略装をしていること(武士でも正装は衣冠束帯であり、裃・袴ではない)、東山天皇という名前は諡号で、在位中にそう呼ばれることはあり得ないこと、天皇家にしろ将軍家にしろその代表者が手ずから他国に贈答品を献上するなどあり得ないことなど、いろいろツッコミたいところがありますね。 これによって、このお話の妖獣以外の部分にも、事実を基づかないフィクションがあることを暴露してしまったのが残念。(笑) 1701年、この天皇の勅使の饗応の席で、浅野長矩が吉良義央にに斬りかかった事件については、また別のお話。(,⌒-⌒) v 鐵太郎はこういう本は大好きです。(2009/6/6) |
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