M111 ポプラ社文庫

作家番号： M111	ポプラ社文庫
	国籍：日本
この本の作家名を「ポプラ社文庫」としておきながら「M」で分類しているには訳があります。ただ単に　「みんなの・・・」がつくこの文庫のシリーズだけここに入れようかと思ったから。それだけ。(笑) 　でも、この先このシリーズを買うかどうかは、先行きまったく不透明。

管理番号	書　　名		メ　　モ
M111-001	みんなの怪盗ルパン		日本人作家による怪盗ルパン・パスティーシュ

		Ver. 3.03

管理番号：M111-001

43 ミステリ近代以前

出版社：ポプラ社

書名：みんなの怪盗ルパン	副題		ISBN978-4-591-14942-3　C0093
	価格：1500Yen	ページ数：232P		本のサイズ：135×185HC
初版発行：2016/3/8	購入：2016/7/13	表紙イラスト：

　ルパン　とつくと、最近の認識ではアニメのルパン三世の方だと思うかも。
　これは違います。本家本元の、モーリス・ルブランがが描いたアルセーヌ・ルパンの冒険譚・生涯のパスティーシュです。

　最初の角逐　　小林泰三
　ロンドン、オックスフォード街で起きたロナルド・アデイア青年の殺人事件で騒がしい街中を歩いていたわたしは、珍妙な本の収集家らしい変な老人とぶつかり、相手の手にしていた本が落ちてしまいます。
　怒った老人をなだめて家に帰ると、しばらくたってその老人が訪ねてきます。そして言う。自分はシャーロック・ホームズだ、ワトスン君、わからないのか、と。
　嘘だ、とわたしは断言してピストルを向けます・・・　しかし。
　さて、この決着はどうついたのでしょうか。

　青い猫目石　　近藤史恵
　まだ売れない若い画家であるぼく、ディディエが語り手。世話になっている富裕な老婦人、ヴィルヌーブ夫人の姪であるシモーヌに憧れています。この家に、アルセーヌ・ルパンの犯行予告が来たことで話が急展開。
　いかにもわかりやすい展開のルパン、なんだか懐かしい。

　ありし日の少年ルパン　　藤野恵美
　少年時代のラウール。のちに紳士盗賊アルセーヌ・ルパンとして名を馳せる前ですが、貧しい母を助けようとすでに宝石泥棒を行い、少しずつそれを売り払っていました。盗んだ宝石というのが、フランスの歴史上有名なマリー・アントワネットの首飾りというのだからスケールがでかい。
　その首飾りが縁で、奇術師と知り合うラウール。そしてもう一人。栴檀は双葉より芳し、といった話か。

　ルパンの正義　　真山仁
　20歳になったラウール・ダンドレジーことアルセーヌ・ルパン。盗賊として、手さばき、体術、変装術、社交術などはマスターしたがまだ足りない。今度は教養を得るため、作家の元に通う日々。出会ったのが、ユダヤ人苛めをする兵隊たち。
　ユダヤ人の血を引くアルフレド・ドレフィス大尉との出会いが、彼の正義感に火を付けます。史実のドレフィス事件と絡たルパンの活躍は歴史をどのように動かしたのか。

　仏蘭西丸　　湊かなえ
　一年の大半をヨーロッパなどの外国で過ごす貿易会社の社長を父に持つ橘美千代、15歳、の物語。神戸の港で入港する巨大な仏蘭西丸を見ていた時、猛犬に襲われます。それを助けてくれたのが、レニーヌ公爵というフランス紳士。
　父の橘が急死したのち、父の従弟である年配の男がまだ若い姉小百合と結婚しようと企てていることに胸を痛めています。
　この苦境を救ったのは、意外にもあの人。
　美千代の元には、欲しかったあの本が。

　ひとつひとつ、いろいろなな彫り方でルパンという希代の人物の姿をなぞっています。これは面白い。
　シャーロッキアンの行っているような、幅の広さはまだ見られません。でも、こんなパスティーシュも面白い。
　もっと読んでみたいですね。　　（2016/10/2）

　読書メーターの記録より　　読了　2016/7/29　