トップへ戻る 読んだ本の分類		作家番号：S152 ルキウス・アンナエウス・セネカ Seneca, Lucius Annaeus 国籍：古代ローマ 生没年：BC1？〜AD65/4 　ローマ帝国の政治家、哲学者、詩人。 　父親の大セネカ（マルクス・アンナエウス・セネカ）と区別するため小セネカ(Seneca minor)とも呼ばれる。第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師としても知られ、また治世初期にはブレーンとして支えた。ストア派哲学者としても著名で、多くの悲劇・著作を記し、ラテン文学の白銀期を代表する人物と位置付けられる。

管理番号	書　　名		翻訳者	メ　　モ
S152-001	怒らない方法		舩山むつみ	哲学者が教える怒らない生き方

		Ver. 3.06

管理番号：S152-001

64 エッセイ

出版社：文響社

書名：怒らない方法		2000年前からローマの哲人は知っていた				ISBN978-4-86651-228-0　C0098
原題：De Ira（？）より								翻訳者：舩山むつみ
		価格：1280Yen	ページ数：160P				本のサイズ：125×180HC
初版発行：2020/6/9		購入：2021/4/7	Photo：Stephen Chung / Shutterstock

古代ローマの哲学者・政治家・詩人ルキウス・アンナエウス・セネカの残した随筆「De Ira　怒りについて」より、アメリカ、プリンストン大学が抜粋し「怒りを抑える方法」としてまとめたエッセイ。 　怒りというものを感情の中でもっとも恐ろしいものとし、その醜さ、その凶暴さ、その狂気、その災厄の描写をするところから語り始めます。そして、怒りとはまったく不合理であり無意味であり個人の内面の醜さを見せるだけのものであると進め、怒りを収めるにはどうすればいいかと語ります。 　一読して思った。 　たしかに怒りは醜いものであり怒りの感情を表さないためにいかにすべきかを語る、哲学者らしい箴言がこもっています。よい言葉だ。 　これを読み、これに従って生きていくことは素晴らしいに違いない。 　しかし、と天の邪鬼の鐵太郎は思った。 　人より抜きんでること、人より高い野心と行動力を示すこと、人より高い公徳心を示すことが社会の上位に立つ善い人間の条件であるアメリカで、この様な素晴らしい言葉が語られたとして、だからどうなのだろう、と。 　セネカという人物について、うさんくささはあまり感じません。 　強いて言えば、誇りと蛮族蔑視により大帝国を築いたローマ帝国で、一代で大富豪となった「哲学者」が、悟りを開いたのかどうかは知らないけれど、財産は妬み・そねみの元であり怒りを招くので持たぬ方がいい、などとしれっと言っても、綺麗事ではないかと思っただけ。 　いや、綺麗事をよい文章として残してもいいのです。人は飾りたがるものですから。 　まして、生涯にわたり辛酸を舐めて生き抜き、最期に屈辱を押し殺して従容として死を選んだ人なのですから。 　とはいえ、だ。 　この、サイズとしては文庫より大きい小冊子の大きさの本はどうなのだ。 　鐵太郎は価格を本のページ数で割った数字で、本の割高感を記録しているのですが、普通の文庫が2.2から2.7あたりまで来て、時に3を越えて驚いたりするものです。むろん高くても価値があればよろしい。シェイクスピアなど 3.5〜3.8 が普通。ハードカバーなどは46版の本で4〜6あたり。 　しかしこの本の 1280÷160=8.0 と言うのは、小さめな簡易ハードカバーの本として、かなり高い。 　そんなに価値があると見せたいのか、と邪推してしまう。 　久しぶりに、若い頃の天の邪鬼がこみ上げてきてしまった鐵太郎であります。(笑)（2021/07/04） 　読書メーターの記録より　　読了：2021/7/4