T012 キルゴア・トラウト

作家番号：T012	キルゴア・トラウト	Trout, Kilgore
	国籍：アメリカ合衆国？	生没年：1907？～？
英領バミューダ生まれ。1924年、オハイヨ州デイトンのトーマス・ジェファーソン高校を卒業。　ヴェトナム復員兵。三回結婚、三回離婚。一子レオがいる。1974年までに、117冊の長編と二千の短編を著し、刊行した。ほとんどがSF作品。　　　　　　　　　　　　なのだそうな。

管理番号	書　　名		翻訳者	メ　　モ
T012-001	貝殻の上のヴィーナス		藤井かよ	幻の名作SF！らしい

		Ver. 3.06

管理番号：T012-001

10 SF一般　　　　

出版社：早川書房

書名：貝殻の上のヴィーナス			ISBNなし
原題：Venus on the Half-Shell（1975）					翻訳者：藤井かよ
ハヤカワ文庫SF385　1077	価格：340Yen	ページ数：296P		本のサイズ：文庫
初版発行：1980/4/30	購入：1980/4/26	Cover Art arrengied through DELL PUBLISHING CO., INC

　幻の多作SF作家キルゴア・トラウトの、現存する唯一のSF作品です。1974年までに長編117冊、二千の短編を上梓した作家がなぜ知名度が上がらなかったのかについては、それこそ大人の事情ですな。(笑)
　というのも、そもそもこのキルゴア・トラウトとは、アメリカのSF作家カート・ヴォネガットの作品中にあちこち顔を出す魅力的なサブキャラであったはずだから。
　それが、1975年に実際にヴォネガットの作品中で言及されていた本「貝殻の上のヴィーナス」が刊行され、その中にはかつてヴォネガットが作品中で抜き書きとして引用していた文章が全てしっかり書かれていたのでした。
　あら、こりゃあヴォネガット（当時53歳）が冗談半分で書いたものであろう、と誰もが思ったものですが、ご本人は完全否定。じゃ、誰が書いたんだ。キルゴア・トラウトとは実在の人物だったのか。SF界は混乱したもの。
　結果として、これは当時、

　このころ一種のライターズ・ブロックといったものに陥っていて、ターザン、ドック・サヴェジ、シャーロック・ホームズといった架空の大衆小説のヒーローに、伝記なり模作なりを使って徹底的に現実性を付与していくといった趣向に浸りきっていたのだ。それはもう単なる現実逃避趣味といった域を越えており、彼の言葉によれば「虚構と現実の垣根を取る」「虚構を現実化する」といったもので、彼は現実のそれを行っているつもりになっていたらしい。（P274)

　という状態だった作家フィリップ・ホセ・ファーマーが書いたものらしい、という事で落ち着きます。

　つまり、ファン以外の人から見たら、何を馬鹿なことを、というオタクのお遊びだった訳。当時まだ「オタク」という言葉はありませんでしたが、SF界にはそんな連中がうようよいたのです。(笑)
　この本の日本版の表紙絵（右上）に目を剥いた人は多かったと思いますが、アメリカの原作が左絵のようなものですから、まァいいんじゃないですか？

　内容は、電気バンジョーを手に「誰も答えられない質問」の答えを求めて宇宙をさまよう宇宙吟遊詩人サイモン・ワグスタッフの放浪記。
　いろいろな遍歴を楽しむだけのおバカ冒険行と言っていいでしょうね。

　ちなみに、ともかく読み始めたので、頑張って読み終えましたが、今の鐵太郎にとって、（考えてみると昔この本を買って読んだときもそうだったけど、）全然面白いと思えませんでした、これ。
　ナンテコッタイ。Σ(￣□￣；　（2021/06/13）

　読書メーターの記録より　　読了：2021/6/9　