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| 管理番号 | 書名 | 備考 | |
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| T049-001 | 「七都市物語」シェアードワールズ | ||
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| 管理番号：T049-001 | 10 SF一般 | ||
| 書名：「七都市物語」シェアードワールズ | 発行 2005年 | ||
| 価格：895Yen | ページ数：317P | 装丁：新書 イラスト：小林智美 U様 御指摘多謝 |
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| 初版発行：05/4/30 | 購入：05/4/24 | ||
 田中芳樹氏が、今を去ること15年前、「七都市物語」という連作SFを書いたことがあります。その斬新な設定と意表をつく物語、そしてバックボーンとなる背景の大きさで、評判を取りました。続編が待たれたのですが、残念ながらご本人は書く気がないらしい。 しからば、と有志一同の4人の作家が、田中氏了解の元で、シェアードワールドを描いてみようや、という話になったらしい。 一つの物語の背景を使って、別な作家たちが、シリーズを補完したり新しい展開を作ったりする「シェアードワールド」は、日本ではあまり行われませんが、たまに見かけるとうれしいですね。 その元となる作品が気に入っていれば、なおさら。むろん、できばえは気になりますが。 結論から言うと、なかなかよろしいのではないかな？ 「ジブラルタル攻防戦」 小川一水 地軸が約90度近く「転倒」するという、地球をおそった未曾有の大災害によって、世界の海岸線は大幅にその姿を変えます。 かつて大西洋に出口を持っていた地中海は、内海となり果て、政治経済的に大きく後退を余儀なくされています。ここの地峡に運河を掘削し、交通路を開いたら、経済は発展するに違いない。そして、その運河は特定の個人・団体・国家に属すべきではない。 むろん、世界は総論賛成。運河掘削が開始されます。 ここで、各論反対なのが、運河の旧ヨーロッパ側を勢力下に置く「ニュー・キャメロット市」と、旧アフリカ側の「タデメッカ市」。 陰謀渦巻く中で、ついに運河開削の日は迫る。さあ、運河建設にあたる技師たちの運命は。 小川節ですねぇ。うまく泣かせます。 「シーオブクレバネス号遭難秘話」 森福 都 旧シベリア地区にある「アクイロニア市」が舞台。旧インドネシア地区の「サンダラー市」に住む謎の男が、月から地球に舞い降りたシャトル、しかも、「オリンポス・システム」すなわち地上500メートル以上上空を航行することを阻止するシステムの裏をかいて地球に着陸したシャトルの秘密を持って、アクイロニアの先端軍事技術研究所を訪れます。 彼は、スヤディ・モチヅキと名乗ります。旧日本とはまったく関係がないながら、月から来たという両親を思って、日系人にもらった姓「望月」を名乗っています。 さて、彼の持つ謎と、彼の目的は。 これも、うまく泣かせますねぇ。 「オーシャンゴースト」 横山信義 なんと仮想戦記の重鎮のお出ましです。 ネタは、むろんハードな軍事作戦。潜水艦と水上部隊、さらに飛行船まで使った虚々実々の海戦を、うまくこの世界に当てはめています。家族がオキナワ料理を営んでいるという飛行船母艦「インドラジット」の女艦長、いいですなぁ。 設定にミスを見つけてしまったのは、軍ヲタのサガでしょうなぁ。田中さんのミスなら笑って忘れますが、軍事に関して横山さんの瑕瑾は見逃せない。(笑) 「もしも歴史に．．．」 羅門 祐人 旧中米にある「ブエノス・ゾンデ市」が、他の6都市の連合軍の前に陥落したあとのささやかな幕間劇です。 ジェットエンジンの理論と技術が失われた世界で、ジェットエンジンの前身といっていいインナーファン・ジェットの開発にかかる一団の物語。 むろん、このような先端技術は、兵器としての存在でまず開発されるもの。 水面を滑空する大型飛翔体に搭載するエンジンとして、開発されます。 国防技術、先端科学と来れば、むろん極秘、スパイ、機密漏洩。 七転八倒の末に開発チームが得たものとはなにか。 お話の仕立ては、上の方がより「田中節」に近いかな。下になるほど離れていくようです。 とはいえ、一度は過去に消えていった傑作ＳＦの舞台が、再び眼前に新しい姿で現れたのはうれしい。 (05/5/21) |
