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管理番号 | 書 名 | メ モ | |
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C071-001 | ラグランジュ・ミッション | 宇宙海賊キャプテン・ブラックの冒険? |
Ver. 3.02 |
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管理番号:C071-001 | 10 SF一般 | 出版社:早川書房 |
書名:ラグランジュ・ミッション | ISBN978-4-15-012054-2 C0197 | ||||||||
原題:Corsair (2015) | 翻訳者:中原尚哉 | ||||||||
ハヤカワ文庫SF2054 キ7-1 7720 | 価格:920Yen | ページ数:416P | 本のサイズ:文庫 | ||||||
初版発行:2016/2/15 | 購入:2016/2/19 | カバーイラスト:Rey.Hori カバーデザイン:早川書房デザイン室 |
メインの物語が始まるのは、2031年1月。しかし発端は、その前年の2030年6月6日。 デビッド・シュウォーツ、通称宇宙海賊キャプテン・ブラックとその一味が、月のスミス海から打ち上げられた四トンのヘリウム4を強奪してのけたのが、その発端。なんとこの海賊、いきなり国籍不明となった人工衛星に、ラトヴェリア(アメリカン・コミックスの悪役ドクター・ドゥームが支配する国)、グランド・フェンウィック大公国(小鼠シリーズを参照)、クリンゴン帝国、そして海賊旗をを掲げてみせてアメリカ空軍を小馬鹿にして、まんまと奪ってしまった。 この強奪方法が、なんとも現代的。海賊デビッドは、タイのホテルのキングサイズのベッドに座ってラップトップの画面を睨んでいただけ。 そしてそれに対抗して失敗したエリザベス・サンティアゴ すべてが、ネット上の操作によるもの。これが未来の海賊の姿なのか。 まんまとヘリウムの貨物を盗まれたあげくに十億ドルのマリオ一基を失うこととなったエリザベスは、ミッションディレクターの地位を失って民間会社へ「出向」することに。彼女は、キャプテン・ブラックと名乗る海賊が、小学校卒業以後の記録がまったくないデビッド・シュウォーツであると確信していますが、その証拠は何もない。 ただ彼女は、2023年つまり7年前に、このデビッドと付き合った上、ネット詐欺の常習犯であった彼と別れたことがある。彼がどんな人間だったのかを知っていたのでした。この謎のキャプテン・ブラックは、デビッドに違いない。 フロリダの、エアコンの効きすぎる部屋で衛星軌道の管理を行いながら、つぎにデビッドが行うであろう犯行に対抗する手段をこっそり考え始めます。 デビッドはデビッドで、稼いだ金と新しい身分でしばらくのんびりしたあげく、新しい依頼を受けて再びヘリウム強奪、宇宙海賊をやる気になります。提示されたのは、積荷の5パーセント、資金洗浄後で五千万フラン。 もう一人、銀行預金の残金を見ながら小型ボート、カリーナ号で航海するアン・ロジャーズも、物語に絡みます。 この時代の宇宙船は、基本的に無人。人工衛星も探索機も、地上からさまざまなセキュリティコード付の遠隔操作で飛翔します。打ち上げ方法も、推進方法も、世紀の替わり目と大差ないもの。ソフトウェア的にはかなり隔絶していますが。 出だしはなんじゃこれ状態だったけど、最初の1/3を乗り越えれば俄然面白くなります。殺人事件。大洋の真っ只中にある石油プラットフォーム。陰謀に巻き込まれたデビッド。どうやって窮地を脱出するか。
なるほど、現代でもこんな冒険活劇が書けるし、読めるんだ。SFはまだまだ捨てたもんじゃないぜ。 (2016/8/13) |