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| 管理番号 | 書 名 | メ モ | |
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| I010-001 | 重巡摩耶 | とある重巡洋艦の12年の生涯 | |
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Ver. 3.05 |
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| 管理番号：I010-001 | 52 戦史・戦争ノンフィクション  |
出版社：朝日ソノラマ | |||||||
| 書名：重巡摩耶 | ISBN4-257-17069-7 C0131 | ||||||||
| 航空戦史シリーズ 69 | 価格：520Yen | ページ数：264P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1986/4/15 | 購入：1986/4/20 | カバー絵：生頼範義 | |||||||
 開戦いらいの軍艦「摩耶」の戦没者は609名だったそうです。そのうち336名が、昭和19年10月23日午前6時59分、フィリピンのパラワン水道南口で「摩耶」が轟沈した時の犠牲者。そしてその生き残りのうち、戦艦「武蔵」の沈没で翌日戦死したものは117名。駆逐艦「島風」上で5名。その他を含め、「摩耶」轟沈以来三日間の捷号作戦中の戦死者は合わせて470名。この本の原形となった「重巡摩耶」（R出版）が刊行されたのは、それから28年目の昭和46年10月のことでした。 この本は、亡き戦友と彼らが乗っていたフネ「摩耶」への鎮魂歌。 昭和5年11月8日、神戸川崎造船所の第四船台から、一隻の巨船が進水しました。川崎造船所が明治29年10月に株式会社となってから550番目、軍艦としては11番目のこのフネは、神戸市にある摩耶山にちなみ、「摩耶(まや)」と名づけられます。 「摩耶」は、日本海軍が生んだいわゆる条約型と言われる重巡洋艦の中で、「古鷹」型、「青葉」型に続き、日本独自の設計としてひとつの完成形を見た「妙高」型の次の「高雄」型の三番艦。 （「高雄」型の四番艦とする記録もありますが、ここは本書の記述に従っておきます） 高雄級とは、重巡洋艦として日本海軍が建造した最後の条約型級です。このあと就役した6隻の重巡は、軽巡として計画され、「山」ではなく「川」の名があたえられたもの。 特徴として、巨大な艦橋構造物が上げられます。なんでこんなに馬鹿でかく作る必要があったのか、いろいろ言われたもの。現代でもこのスタイルに人気があるようです ──が、鐵太郎は日本の重巡の完成形は「利根型」であると思っているので、そこに同調はできない。(笑) ここから始まるものは、第二次大戦に至る道程そのもの。シーレーン防衛や国家権力の延長としての軍艦ではなく、敵の攻撃から国土を守り戦うための軍艦として生まれ、いくさぶねとしての生を全うした日本の軍艦の物語。 満19歳の増沢武三等水兵が、昭和15年4月1日に横須賀の波止場から「摩耶」に着任したところから、海戦に至る物語が始まります──しかし彼を主体に話が続くと思ったら、視点は次々と変わります。 1938年より高雄型重巡洋艦は近代化改修を行われますが、「摩耶」は、三番艦（あるいは四番艦）の「鳥海」と共に、出師準備に入ったため改装されませんでした。そのため、「高雄」「愛宕」に比べこの二隻は環境がひとまわり大きく、高角砲も12cm単装砲のまま。 このためかどうか、戦闘部隊としての第四戦隊の中で、「鳥海」と共に「摩耶」は別行動をとることが多いようです。四隻が統一行動をとった機会はあまりない。
南方から北方に移され、1943年3月、アッツ島沖で米海軍と交戦しますが長蛇を逃しています──どうもミスの連鎖が要因らしい。歴戦の重巡ではありますが、あまり誇れる戦果が上がらなかったことにはなにか理由がありそうな。 1943年11月、ラバウルに進出した「摩耶」は米軍の空襲に晒され、一時は航行不能になる打撃を受けます。ようやくひと息ついて内地に送られることになったのも幸運の賜物。 ここで1944年4月までかけて、修理と共に三番砲塔を撤去して高角砲を増設する改造が行われました。これを「防空巡洋艦改造」と称する説明もあるようですが、それはちょっと大袈裟。航空攻撃に対する防御としての対抗策のひとつであり、大和級戦艦の高角砲が倍増した流れのようなもの。 その証拠に、のちの海戦において対空防御に格段の活躍はしていません。残念ながら。 1944年10月、「摩耶」も加わり四隻のフルメンバーとなった第四戦隊は、栗田中将率いる第一遊撃艦隊の一員として、レイテ沖海戦に参加します。 この戦いで、主戦闘が行われる前日、パラワン水道で栗田中将の座乗する旗艦「愛宕」と共にアメリカ潜水艦の雷撃で「摩耶」は海没します。あっけない最期でした。 この本は、その最後に至るこの重巡洋艦の戦歴をゆっくりと描きます。 このフネを、薄幸のフネと呼ぶべきなのでしょうか。よくわかりません。 赫々たる戦果を上げて散っていった艦船がいた中で、個人的にはどうもあまり光らなかったような気がします。 個人的には、ちょっと華がないと思っているんです──すいませんね。（2019/8/28） 読書メーターの記録より 読了：2019/7/23 |
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