トップへ戻る 読んだ本の分類		作家番号：J009 仁賀克雄 じんか・かつお 国籍：日本 生没年：1936/12/23〜

管理番号	書名		備考
J009-001	ロンドンの恐怖 　切り裂きジャックとその時代		切り裂きジャック研究の聖典の一つ

管理番号：J009-001

56 宗教史・文化史

出版社：早川書房

書名：ロンドンの恐怖	切り裂きジャックとその時代		発行　1985年
	価格：￥1600	ページ数：318P	装丁：46ハードカバー イラスト：辰巳四郎
初版発行：85/6/30　第二版：87/6/30	購入：88/1/24

シャーロック・ホームズ（1887）、ドラキュラ伯爵（1897）、切り裂きジャック（1888）は、19世紀末のイギリスに生まれた三大サブカルチャーと言われます。世紀末のロンドンを揺るがし、歴史の突破口となった存在であり、それ以後のパロディー、パスティーシュ、映像、映画、テレビ、アニメーション、漫画など、あらゆるメディアにその派生型が広まっていった事を考えると、サブカルチャーとしてその影響力は多大なものです。 　実在、架空の見方から言えば、この切り裂きジャックは最も現実・実在と言えるものながら、逆に最も非現実の匂いがします。 　その幻想的なまでの凶悪な犯行、そして犯人の不在。 　単独犯なのか複数犯なのか、犯人の動機が何か、目的が何か、全くわかりません。推定だけが山のようにあります。 　犯人と目された容疑者の数も両手にあまり、その中には英国皇室の推定王位継承者まで含みます。 　時あたかも、名君とたたえられたヴィクトリア女王即位50年式典の翌年。大国イギリスが世界の先進国として躍進しつつ、内外の矛盾に苦しんでいたまさにそのときでした。 　仁賀克雄氏は、この事件を焦点にしつつ、この時代背景から大きく語り起こし、日本との関わりも視野に入れながら、見事に描き出してくれました。切り裂きジャック研究の聖典の一つと言われる所以です。　（05/2/17）