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 宇宙英雄ローダン 050～059  |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-050 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 050 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：超種族アコン | ハヤカワ文庫SF342 早川文庫940 | ||||||||
| 099 人類の友 | Ein Freund der Menschen | 1963/7/26 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 100 超種族アコン | Der Zielstern | 1963/8/2 | カール・H・シェール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：269P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/5/15 | 購入：1979/5/12 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 099 人類の友 トーラが死んだのちもゆったりと生きていたアルコン人クレストは、老齢の中で生きるのに疲れ、引退したいとローダンに願います。死に場所を求めたのですが、もはやアルコンには還りたくはない。 また、いかに縁が深くなったといっても、地球人に囲まれて最期を迎えたくはない。 選ばれたのは、地球から6381光年離れたソル・タイプの恒星コフガルの第二惑星。火星より若干大きい酸素大気の惑星で、重力は0.84G。知的生物はなし。隠居所としてはうってつけであるように見えました。  名残惜しげにローダンらが去った後、ここに故国を追放された犯罪者三人が乗った宇宙船が漂着するとは、だれも予想していなかったのです。彼らは、体型は地球人に似ていますが腕ほどもある鼻を持つウニト人で、アルコン人を憎んでいたのでした。彼らはアルコン人を見れば仮借なく殺しに来るはず。 ただ一人残されたクレストは、基本的には平和主義者なのですが、ローダンの願い、決して地球のテクノロジーを他の種族に明かさないで欲しいという求めを忠実に守ることを決意しました。 クレストの墓碑銘として選ばれたのは、「人類の友」という文字。 この惑星は、のちにクレストの星と名付けられました。第2サイクル『アトランとアルコン』の終わりです。 100 超種族アコン いよいよ第3サイクル『ポスビ』の開幕です。ポスビとは生体としての意識を持つロボット生命体ですが、このサイクルの中で登場するのは、宿敵ローリンと共にずっと先。まずは、＜ファンタジー＞の飛行、そしてアコンの登場から。 2102年3月4日、人類史の第三紀元が始まったといわれるイベントがありました。直径200mのテラ級重巡洋艦を改装した、新造の特殊実験艦＜ファンタジー＞の発進です。 搭載されたエンジンは、かつて58年前、異星人ドルーフから得たリニア・ハイパー推進の原理を元に、半世紀以上の年月を費やして完成したもの。主任研究員にして地球最大の科学者アルノ・カルプ博士の名を取って「カルプ・コンバーター」と呼ばれました。のちにリニア・エンジンといわれた、遷移すなわち超空間ジャンプに変わる新世代推進機関です。 この船に搭乗したのは、カルプ博士本人を含め、ローダンその人を中心とした太陽系帝国の要人ひとそろい。エプサル人ジェフェ・クロードリン大佐が艦長として操船指揮を執ります。 完全に安全と確認されていない実験船に、太陽系帝国の中枢がまるごと参加しているという驚くべき不用心さに関しては、コメントの必要はありますまい。 ＜ファンタジー＞は実験艦としての期待通り行動します。リニア飛行への遷移はうまくいったもののいきなり暴走し、なんと数十億分の一以下の確率でとある恒星のど真ん中を突き抜けます。そのままとある星系を保護するバリアに突っ込み、貫通する。 18の惑星を擁する恒星系はその色からブルー星系と名付けられます。どうやら、リニア飛行をした宇宙船以外にはこの星系に侵入できないらしい。スフィンクスと名付けられたその第五惑星にいるのは、アコン人と呼ばれる種族。アルコン人の祖先で、まったく退化しておらず、他の星系の種族を軽蔑しているようです。 はたして彼らとコンタクトはできるのか。 ペリー・ローダン百科は 存在平原、アイソトープ。 訳者あとがき は、第50巻になった話。そして、松谷先生が50歳になった話。この二つが同じ日になればいいと思ったけど、翻訳の方が一ヶ月遅れてしまって残念、とのこと。遅れた原因が山登りのせいとなると、なんともフォローのしようがないですね、センセ。(笑) （09/12/2） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-051 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 051 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：テスト宇宙艦事故発生！ | ハヤカワ文庫SF351 早川文庫968 | ||||||||
| 101 テスト宇宙艦事故発生！ | Der Weltraum-Tramp | 1963/8/9 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 102 第三課、介入す | Abteilung III greift ein | 1963/8/16 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：300Yen | ページ数：262P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/7/15 | 購入：1979/7/15 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 101 テスト宇宙艦事故発生！2102年3月16日、テラニア大宇宙港で商船＜リザード＞の船長サミュエル・グレイバウンドは、再教育の上、新しく建造される『リニア超光速船』の指揮を執ることを薦められます。唖然としたグレイハウンドは、冗談じゃない、俺は（たまに密輸もするが）まっとうな船長であり、そのルードヴィヒ・ラムビュグル大佐なるもののいう馬鹿げた新型機のために再教育などする気はない、と断言してそのまま＜リザード＞で宇宙に発ちます。 この50代の船長の奥さんリュドミラは、20代の花車（きゃしゃ 松谷さんはこの字を使いますね）で美人。亭主を尻に敷いて威張り散らす。また、やたら知能が高く、相手に合わせて上手い悪態をつきまくるオウムってのも登場します。ダールトンって、こういうユーモアが好きですね。（あまり面白くないけど） この船が、何度目かのジャンプのあとで救難信号を受けます。テレカムではない短距離超光速通信という摩訶不思議なもの。遭難船ならしかたがない、助けに行こうととある星系の惑星に接近すると、そこで発見したのはなんとローダン一行でした。彼らはリニア航法実験艦＜ファンタジー＞の故障により遭難してそこにいたのでした。 しかもこの惑星では、謎の生物がローダンらを襲い、まさに危機一髪の状態。 何という素晴らしい偶然。 あちこち穴だらけの設定に唖然とした一編でしたね、これ。新技術であるリニア航法が実用化されつつあったことが、ある世界に対しては周知されていたようですが、そもそも安全性が保証されていない実験船に太陽系帝国の重鎮が揃って乗っていること。エンジンが壊れれば、銀河の大きさを考えれば、確率的にもう発見される見込みのないところにどんぴしゃのタイミングで地球の宇宙船が現れたこと。そんな危ない技術であるにもかかわらず、リニア飛行は正式な実験船が整備されてその搭乗員の人選が行われていたという。 シェールの前作は、ぎりぎりフォローできたと思うのですが、ダールトンのこの話ではもう救いようがないのでは。だれかあとで合理的な説明をしてくれたのでしょうか。 102 第三課、介入す 直径100メートル、質量約30万トンの小型貨物船＜カロライナ＞が乗客ごとスプリンガーに襲われたらしいとの情報を得て、ロン・ランドリー大尉は上司から捜索の任務を命ぜられます。上司とは、ずんぐりした小男。頬がふくらみ、汗ばんだ赤ら顔で薄いブロンドの髪をぴったりと後になでつけ、厚い唇はいつも濡れている。25歳で肉体の成長が止まってしまったようだが、年齢はその倍以上。甲高いいやらしい声。 ナイク・キント大佐、宇宙社会開発課の課長、すなわちのちに銀河中にその名が轟く「第三課」の指揮官です。 唯一＜カロライナ＞から脱出できた救命艇の4人は、トグマ星系第二惑星ガーマに到着したところを現地のスプリンガーに監禁されます。ここに駐屯していた太陽系帝国のエージェントはラリー・ランダル少尉ただ一人。地球からの連絡船で到着したロン・ランドリーらと共に事件解明と救出計画に取りかかる。 銀河系の通商を一手に引き受けていたスプリンガーとしては、チンケな太陽系帝国なるものの連中が勝手に交易を始めたことが気に入らない。おまえらなんで仁義をとおさんのか、と常日頃いらいらしているところ。表面上は友好関係ですが、水面下での対立がだんだんあらわになっていきます。 訳者あとがき は、まずペリー・ローダン百科は前巻で終わりになるとのアナウンス。もともと原本に不定期に載っていたものだそうですが、無くなったのでやめるとのことです。 それと、クレストが死んだことを悼む言葉。前巻では書き忘れたんですと。 （09/12/29） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-052 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 052 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：プラズマの怪物 | ハヤカワ文庫SF354 早川文庫968 | ||||||||
| 103 プラズマの怪物 | Das Plasma-Ungeheuer | 1963/8/23 | クルト・マール | ||||||
| 104 グリーンホーン | Nur ein Greenhorn | 1963/8/30 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：273P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/8/15 | 購入：1979/8/16 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 103 プラズマの怪物太陽系帝国の組織は、人類の最前線で銀河諸勢力と対峙しているという自負があります。 人類のためには、欺瞞作戦も行うし、平気で詐欺まがいのことも行うのですが、それだけに情報の公開については神経質なところがあります。さまざまな外交的・経済的・軍事的作戦の内容は、進行中は公開されることはまずありません。終結時でも、公開されないことも多い。 ウォルト・バリンという若いジャーナリストが、ヨーロッパ・ニュース紙の論説でこの姿勢を追求し、2102年6月1日版の紙面に掲載されます。それがローダンの目にとまったのは、偶然か。この若者のいう事はまことに正論ではないかと思ったローダンは、直接彼に会ってみることとしました。 イタリアの独立戦争の闘士として名高い祖先を持つジェフ・ガリバルディの招きに応じ、テラニアに向かったバリン記者。 まさにそのとき、恒星ペテルギュースの周囲で警戒中だった直径200mのテラ級軽巡＜ナイル＞は怪しいスプリンガー船を発見し、臨検します。テスト宇宙艦＜ファンタジー＞が侵入したことでその存在が明らかになったアコンの侵攻が始まったのは、まさにその時でした。 この巻で、アコンの宇宙船はアルコン製、つまり太陽系帝国の球形船と似ているが上下がつぶれた扁平のものであることがわかります。シンボリックな識別点ですな。 この侵攻は、なんと人体に取り付く生体プラズマというバイオケミカルな方法で行われます。 終わったあと、ウォルト・バリンはローダンの友となれたのか。どうもこの巻だけで消えてしまったようなのですが。 104 グリーンホーン 「グリーンホーン」とは、「新米」、「新入り」と言った意味の英語。 ドイツ語って、けっこう英語の単語がすんなり入っているものです。まぁ、日本でもそうだけど。 インターコスミック=フルーツ=カンパニーのピンサー社長の息子ジョン・エドガー・ピンサーは、この会社の副社長。コーラという素晴らしい美女と新婚ほやほや。ただし本人は、無能・不細工を絵に描いたような若様。 新婚旅行として親からもらった円盤艇で飛び立つのですが、色盲のために太陽系艦隊に採用されなかった無能ぶりを発揮し、ヴェガ星系への27光年のジャンプのはずだったのに、ボタンの色を間違えたために数千光年のかなた、スプリンガー基地のある星系に飛んでしまいます。 そこで出会ったスプリンガーが、船内に乗せてあった新種の積み荷のほうれん草の種をケシの種、つまり阿片、ヘロインの元と考えたために話が急展開。 金持ちのボンボンがしっぺ返しを受ける話と思ったら、このボンボンが太陽系帝国の英雄になってしまう。教訓話としてはなんだかなぁ。 地球から売りさばかれた阿片が銀河系の人々を麻薬中毒にしてしまうという話も、なんだかなぁ、でした。 訳者あとがき は、今（つまり当時）、ドイツの本家では900巻になったという話。 それと、遠い昔松谷さんが小学生だった頃、動物園のおばちゃんに誤解されて怒鳴られたという経験。こういう体験は誰にもあるのだろうが、ヒトラーなどは幼少時にこういう経験が多すぎたのではないかと思う、という話は笑った。 （10/1/5） ちなみにローダンの900巻は、日本では2010年1月現在でまだ翻訳・刊行されていませんが、ドイツで「Laire」という題で1978年11月30日に発刊されたそうです。 |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-053 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 053 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：幽霊艦隊現わる | ハヤカワ文庫SF358 早川文庫1003 | ||||||||
| 105 幽霊艦隊現わる | Geisterflotte | 1963/9/6 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 106 パッサの偽神 | Der Götze von Passa | 1963/9/13 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：300Yen | ページ数：261P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/9/15 | 購入：1979/9/13 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 105 幽霊艦隊現わる「ブルーの星系」というのは、のちにアコンの帝国の星系の固有名詞となります。この星系全体をブルーのエネルギー・バリアがおおっており、テラの艦船ではそこを通過できません。 この第五惑星がスフィンクス。ここから、「生意気な植民地の末裔ども」を懲らしめるために、アコンの部隊が出撃します。彼らは、星間の移動には通常宇宙船を使わず転送機を使う上に、宇宙船を使うときも5次元遷移航法を使わずリニア航法と呼ばれるテラの技術では探知できない推進方法によるため、彼らの発進は星系外縁をパトロールするテラ艦隊では突き止められません。 結果からわかったことですが、彼らはさらに恐るべき超技術を投入しました。なんとアルコン帝国の中枢たるアルコン星系に侵入し、兵器廠であるアルコンⅢを「時間的に隔離」してしまったのでした。 1万5千年昔のアルコン艦隊を呼び出し、ソルと呼ばれる銀河外縁の発展途上の星系を討伐させる──これは恐るべき作戦です。 この「幽霊艦隊」に対し、ローダンとアトランはどのように対抗するのか。テラは助かるのか。 時間攻撃という概念が出てきたのはこの頃でしょうか。のちにこの作戦はあまりにも強力すぎるので、設定が変更されます。 106 パッサの偽神 アンタレス連星系に属する惑星パッサで、特産物であるエヴァグリーンの脱皮した皮の出荷数が激減したという情報を知ったナイク・キント大佐が、彼の指揮下にある宇宙社会開発課第三課のエースを呼びつけます。現れた二人に、毒舌を浴びせるのがキント課長の流儀。 
パッサに居住する半知的種族エヴァグリーンとは、右絵のような生物。一定期間ごとに脱皮し、その皮は素晴らしい芳香を発し、あらゆる種類の皮細工に適し、その香料も高値で取引されます。パッサ皮革の製品は、テラやアルコンで同じ目方の金製品より高価なのだそうな。 パッサに植民したテラナーはそれまでエヴァグリーンと友好的な関係を築き、脱皮した皮を提供してくれたのですが、彼らの伝説にある強大な神が現れて命じたと言って突然それをやめてしまったのです。 この影にはスプリンガーがいるのではないか、と考えたのがナイク・キント。 はたして、エヴァグリーンの神は本物なのか。 訳者あとがき は、1ページのみ。 このシリーズがドイツでハードカバーになったと言うニュースです。5巻を一冊にまとめたのだそうな。 グイン・サーガでも同じ事をやり、途中で挫折しましたっけ。本家はどうなったのかな。 （10/1/24） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-054 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 054 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：警戒！ 銀河中枢星域 | ハヤカワ文庫SF362 早川文庫1015 | ||||||||
| 107 警戒！銀河中枢星域 | Das blaue System | 1963/9/20 | カール・H・シェール | ||||||
| 108 死の砂漠 | Die Wüste des Todes | 1963/9/27 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：300Yen | ページ数：253P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/10/15 | 購入：1979/10/13 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 107 警戒！銀河中枢星域2102年12月、ヘルクレス座M-13球状星団。 わたしは孤独だった とつぶやくのは、ゴノツァル8世としてアルコン星間帝国の絶対君主の地位にある皇帝アトラン。ロボット摂政によって皇帝として認定され、アルコン人の忠誠と新しい同盟者である地球人の敬意を得ているのに。 一万年もの間、未開から文明を発達させていった地球をさまよい続けたわたしにとって、アルコン帝国はもはや故郷ではない。また、退廃したアルコン帝国を立て直すためには、まともに頼りになるのは地球から来ている少数のテラナーだけと言う状態では、いいかげん心もすさむもの。さらに変革を嫌うアルコン人からの暗殺の試みが絶えず行われていては、孤独を噛みしめることもままならない。 単なる暗殺の試みではなく、現実の誘拐事件が発生したのはローダンその人がアルコン帝国を訪問したまさにその時でした。厳重な警備体制を突破した敵に、ローダン、ミュータントのタマ・ヨキダと共にわたしを捕らえたのは、なんとアコン人。その一人、美貌の科学者ラス=トオルのアウリスに心惹かれるわたし。
この事態をもってアコン人は戦争の意志ありと見なしたローダンは、地球及びアルコン艦隊の総力を挙げてアコン人の本拠ブルーの星系を包囲させます。先頭に立つのは、エプサル人ジェフェ・クロードリン大佐の＜アイアンデューク＞。直径800mのスターダスト級戦艦で、リニア駆動の戦艦としては最初の一隻。 兵を小出しにする愚を犯さず全力を持って戦う姿勢を見せたことで、ついにアコン帝国は屈服します。 「大艦巨砲主義者」といわれたシェールの面目躍如ですが、戦略としてはこれが正しい。 この休戦は、今後の世界のためにはどういう意味を持つのか。すくなくともここで、アコン帝国は蛮族を軽蔑する孤高の国家から、やむなくとはいえ他者の存在を認めた星間国家の一つとなります。友好的な同盟国ではないけれど、当面敵ではない。 108 死の砂漠 2103年2月、テラ。
かくして宇宙社会開発援助部隊第三課、ロン・ランドリー少佐は惑星レプソに急行します。そこで起きた不思議な現象、いきなり人間が骸骨化する事件の謎を解くために。 レプソについたランドリーは、この惑星で住民が何やら、やたら忙しがっていることに気付きます。そして、怪しげな紫と黄色のラベルのついたリキュール、リクヴィティフが流行っていることに。調査しているうちに、ランドリーより前に潜入していた同じ第三課のラリー・ランダル大尉と出会うのですが、捜査を進めているうちにかつて聞いた言葉が出てきます。 バアロルをおまえは侮辱した。 60年前にアルコン皇帝を襲ったバアロル教団のミュータントたち、すなわちアンティの悪夢が再現するのか。彼らの能力は、テラのミュータントの超能力を吸収して投げ返すという強力なもの。彼らはスプリンガーとモテを組んでいるらしい。 やがて戦慄すべき事がわかってきます。この世界にリクヴィティフを持ち込んだ人物の一人に、トマス・カーディフらしき顔があること。 訳者あとがき は、松谷さんの怪談思い出話。戦争末期の中学4年生のとき、東京大空襲から数日後の3月、人っ子一人いない夜の田舎の道を歩いていたら、白い服、白い顔の30ぐらいの女性の姿を見たそうな。 怖いとは思わなかったけど、妙に記憶の底に残っている思い出なのだそうです。 （10/2/8） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-055 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 055 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：エルドラド計画発動！ | ハヤカワ文庫SF367 早川文庫1025 | ||||||||
| 109 エルドラド計画発動！ | Der Blockadering um Lepso | 1963/10/4 | クルト・ブラント | ||||||
| 110 アンティを追って | Auf den Spuren der Antis | 1963/10/11 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：265P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/11/15 | 購入：1979/11/15 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 109 エルドラド計画発動！2103年3月、惑星レプソ。恒星フィリング第二惑星。 穏やかな笑みを浮かべたエドモンド・ヒューアー博士がくつろいでテラニア・ポストのクロスワードを楽しみつつ、58年前を思い出します。その頃に何やら治療を受けてアルコンの医師の手によって回復し、しばらくアルコン人の従者となったのち、アラス人に引き抜かれてここに連れて来られたのでした。その後アラスの医学校で優秀な成績を上げたのち、レプソにあるバアロル教団の研究所に勤務しています。 このもの静かな男が、実はアルコンで人格転換処置を施されたトマス・カーディフであったとは！ 彼が発明したリクヴィティフ（Liquitiv）というリキュールが、太陽系植民地の数千万の人類いｎ愛好されています。それは、人を活性化させて若返りさせる効果がありますが、数回飲むと習慣性がつきます。数日飲まないでいると禁断症状で苦しみ、中毒死するという。しかも、飲み始めて約12年経つと突然衰弱死するという。 ローダンは、リニア駆動で航行できる唯一の戦闘艦＜アイアンデューク＞を先頭に立て、大艦隊を率いてレプソ制圧作戦を決行します。＜エルドラド計画＞の発動です。 このとき、すべての記憶を取り戻したエドモンド・ヒューアー博士は、ぶよぶよの体で控えめな老人であったはずなのに、いきなり引き締まった体のトマス・カーディフとなってバアロル教団を指揮し、最後の瞬間に脱出していました。 このトマス君、いつの間にか若々しくなり、父と同じ精悍な顔になっていることを誰も不思議とは思いません。58年間も下働きだったくせに、いきなりすべてのことを理解して判断できる超人的な姿は、まさにローダンとトーラの息子。 遺伝子だけで人は超人になれるのだから、何と素晴らしきかなローダン世界。 こののち、どんな実績と権限で偉いのかさっぱりわからないこのトマス君が、悪い方の偉い人としてしばらくシリーズを盛り上げます。 110 アンティを追って リクヴィティフの被害は五千万人にも及びます。この麻薬の使用禁止・交易禁止を宣言したローダンには、怨嗟の声が殺到。今までこれが売られていたパブに殺到する群衆によって血なまぐさい争奪戦まで発生しました。 かつて地球から運ばれて、バアロル教団の根拠地でリクヴィティフの改良に当たった地球人の科学者ニアマン博士が、テラの工作員にその惑星のポジションらしきものを伝えて死にます。その惑星とは、地球から41,386光年離れた銀河中枢部にある、黄色い恒星の周りを回る惑星オクル（Okúl）だという。 ローダンは再び艦隊を投入しますが、今回はバアロル教団の中のアンティ、すなわちローダンらの秘密兵器であるミュータント部隊の能力をキャンセルする能力を持ったアンティ-ミュータントを考慮し、古代のカービン銃に非磁性のプラスティック弾を装填した歩兵部隊を使います。 このアンティという連中は、アルコン人の末裔でポジティブな超能力をキャンセルできるだけでなく、精神力でビーム兵器などを跳ね返すバリアを形成してしまうのだそうな。ローダンらの元にいるミュータント部隊のバリエーションとどう違うのか理解できないのですが、悪いヤツは良い方とは違う能力を持っている訳です。奇妙なことに、と同時にありがたいことに、地球人よりアルコン人の末裔の方が桁違いに多いのに、こういうミュータントはあまり多くない。設定のつじつま合わせが微妙ですねぇ。 この作戦で投入されるエリート歩兵部隊というものは、今のアメリカのミリタリーSFでは大人気の「海兵隊」ってヤツでしょうね。ローダン世界ではそもそも地上戦というものが非常に少ないし、行われるときは艦隊の将兵がロボット兵を先頭に立てて行うので、陸軍と対比すべき精強な海兵隊を考える必要がない。たまにこんな海兵隊もどきが出てくると、面白いですね。 さて、強襲作戦はいろいろあったけど順調に進み、例によってトマス・カーディフは、こんな事もあろうかと考えておいた脱出路から無事に逃げ出します。 ローダンは息子を殺すなという命令を出さずにすんだのですが、息子を殺せと命ずれば可哀想だと止められる、殺すなと言うと情をはさむなと責められる、そんなパターンがしばらく続きそうです。  訳者あとがき は、松谷さんの山の話。（1979年の）8/28、8/29を校正に当てて、8/30に友人二人と共にＨ山の沢を詰めようと考えたのだそうな。三人合わせて143歳とのこと。 山頂までは登らなかったそうですが、沢を登り1350mの稜線でわかしたお茶を楽しんだそうな。 1,462mのＨ山というとどこだろう？ と考えて調べてみたら、ここらしい。 →葉山（位置は右地図） そうそう、松谷さんはこの近くの山形大学の教授でしたよね。この巻のあたりから、山の話が増えていんだったかな？ （10/2/17） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-056 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 056 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：オクル星の虜囚 | ハヤカワ文庫SF371 早川文庫1036 | ||||||||
| 111 オクル星の虜囚 | Unter falscher Flagge | 1963/10/18 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 112 二つの顔を持った男 | Der Mann mit den zwei Gesichtern | 1963/10/25 | クルト・ブラント | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：264P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1979/12/15 | 購入：1979/12/12 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 111 オクル星の虜囚2103年4月、テラニア。リクヴィティフの販売が禁止になったことを知った太陽系公安機関のサー・レンガルは、パーティで出会った友人にこの情報が市内に回らないうちに早く手に入れた方が良いぞ、と薦めます。インサイダー情報が規制されなかった古き良き時代のお話です。 しかしすでに遅く、町はカタストロフィに襲われます。リクヴィティフが切れると数日で狂気に襲われる、しかし服用していても12年と4ヶ月で急激な老化で崩壊するというニュースも、同時に駆け巡る。 5億人もの中毒者（ﾏﾏ）が暴動を起こし、町を襲う惨事が発生した地球。 サー・ジョン・レンガル（ﾏﾏ）少佐は、惑星オクルを包囲するテラ艦隊に招聘され、博物館にしまい込まれたUボート（要するに潜水艦）20隻と共にそこに向かい、海中探査を行います。彼のグループがついに憎きトマス・カーディフの潜伏場所を発見するのです。 しかし、ペリー・ローダンと外観も遺伝子的にもそっくりな（ﾏﾏ）トマス・カーディフの悪辣な罠にはまり、厳重で水も漏らさぬ太陽系艦隊の総力を挙げた警備にもかかわらず、ローダンはあっさりと拉致されます。あろうことかその上、カーディフは精神医学に突然素晴らしい能力を発揮したバアロル教団の力を借り、捕らえたローダンの精神と記憶を自分に転写してローダンその人に化けます。そしてブリーらの前に脱出して来ました。 しかもローダンは、記憶を抹殺された上トマス・カーディフの記憶を植え付けられ、バアロル教団の生き残りと共に「脱出」させられます。 どこからどう突っ込んでいいのかさっぱりわからない、なんとも評価しようがない、重鎮ダールトンによる一編でした。 112 二つの顔を持った男 2103年7月。目や髪の色、そして肋骨など体の構造が微妙に異なるアルコン人トーラと地球人ペリー・ローダンのハーフであるトマス・カーディフは、当然のことながらローダンと遺伝子的に同一（ﾏﾏ）なので、ローダンと同じ外観と同じ能力を持って（ﾏﾏ）います。むろん当然テレパシーを遮断する能力も持っています（ﾏﾏ）から、ローダンの知識を得たのちはローダンのふりをしていてもばれることはありません。 しかし長いこと彼と共にある側近たちは、オクルから帰投して以来、ローダンが何となくおかしいという疑念が晴れません。 バアロル教団は、なぜかアトランが持っている秘密の細胞活性化装置のことを知って（ﾏﾏ）いました。極秘事項であるワンダラーと“それ”の存在もむろん知っており（ﾏﾏ）、自分たちが不死となるために、その装置を20個手に入れてこい、とカーディフに要求します。なぜ20個なのかはわかりませんが。 カーディフは、二人の要員だけで操縦されるスペース・ジェットを用意させ、ワンダラーに向かいます。 特殊惑星ワンダラーでは、ローダンの脳波でしか入れない特殊バリアにおおわれているのですが、ローダンその人の頭脳を持ったカーディフの前に、なんなくバリアが開き、退屈しきっていた“それ”はローダン=カーディフの思考を読んで、細胞活性装置を提供する約束をしてくれたのでした。しかも、土壇場で21個ほしいというローダン=カーディフの願いの変更も快く受け入れます。 21個目は、ローダンの固体周波数に完全に合わせたものであり、ローダン以外には適応しないという。 “それ”は何を知っているのか。遊んでいるのか。 バアロル教団の大祭司ロバルは、帰還したローダン=カーディフを自分たちの宇宙船に収納し、20個の活性装置を奪う。騙し合いはバアロル教団に凱歌が上がった形ですが、これからどうなるのか。 この巻も突っ込みどころ満載です。遺伝子と意志だけで人間の能力が決まると本当に思っていたのでしょうかねぇ。 （ﾏﾏ）というコメントが入っているところは、原文そのままという意味ではなく、設定上変だと思うけどこう書いてあるんだもん、ということ。 訳者あとがき は、飛行機の話。まだ山の話にはならないのかな。 飛行機と言っても本物は難しい。かつてはソリッドモデル、それからはプラモデル。同好の士と出会うと、ヒコーキ談義に花が咲くとか。 今はもうしていないとのことでした。 （10/2/21） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-057 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 057 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：バアロル教団の秘密 | ハヤカワ文庫SF374 早川文庫1046 | ||||||||
| 113 バアロル教団の秘密 | Die Wunderblume von Utik | 1963/11/1 | クルト・マール | ||||||
| 114 不死の代償 | Rufe aus der Ewigkeit | 1963/11/8 | クルト・ブラント | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：300Yen | ページ数：251P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1980/1/15 | 購入：1980/1/14 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 113 バアロル教団の秘密いくつかの章の出だし、惑星ワンダラーで語られる会話が挿入されます。それとと従者であるホムンクとの会話です。ペリー・ローダンと名乗って現れた生物に与えた「細胞活性装置」について語るそれ。何と名乗ろうがどのように偽装しようが、それを欺せると思い込んだ原始種族の陰謀を嗤うと共に、暇つぶしに遊んでやろうと考えるスーパー種族の不気味なユーモア。 地球時間で2103年7月、M-13星団の外れにある惑星ウチク。 細胞活性化装置をつけたバアロル教団の大祭司カラルは、自分から放射される不思議な放射線が教団を危機に陥れているとされ、死刑を宣告されます。これが起きたのは細胞活性装置をつけて以後であるため、原因はこれかも知れない。しかし同時に、この装置によって自分の超能力が高められていることも気づいたために、取り外すのを躊躇します。やがてこの装置がカラルの胸の中に入り込んでいき、はずすことができなくなる。何が起きたのか。 特殊部隊に所属するミーチ・ハニガンの初登場です。階級は軍曹。太陽系帝国のエージェントであると共に、体重1トンのバイオプラスト製の外観で人間そっくりなロボットです。他のロボットはいかにも機械人形という形なのですが、「彼」のような少数だけが人間そっくりで、しかも人間の感情のようなものまで持ち合わせているのです。不思議ですな。 114 不死の代償 2103年8月、テラニアのレジナルド・ブルは唖然とします。なんとローダンが、代行である彼に一言もなく、アルコン帝国に派遣しているテラナー全員を5日以内に引き上げるという。 帝国の運営にあたり、優秀なアルコン人がいないために苦慮しているアトランこと皇帝ゴノツァル8世にとって、友ローダンの提供してくれるテラナー官僚たちの助力は何よりありがたいもの。しかしそれを、何の相談もなく取り上げるとは、アトランに平手打ちしたに等しい。 ブリーだけではない、ローダンの側近たるマーカント、フレイトらも頭を抱えています。最近のローダンの独裁者ぶりは恐ろしいもの。 しかしローダン、いやローダンを装うトマス・カーディフは、自信にあふれています。今や権力を握る快感と共に、自分の能力でこの世界をあるべき姿にしてやろうという野望が芽生えているのです。しかも、それは、カーディフの頭にこんなメッセージを入れてきます。 ワンダラーから帰還してより50日という期限を設けた上で、＜ペリー・ローダン、期限が切れるまで、あと数日しかないぞ。警告する！ 細胞活性装置をはずせ。でないと、きみは偉大にすぎ、強すぎるようになる！＞という。 偉大になるという言葉を「予言」と取ったカーディフは、さらに突っ走る。アトランを敵とし、太陽系帝国を銀河の最大勢力に一気に持っていこうとする帝国主義的政策を打ち出して。側近たちの忠告になど耳も貸さないし、アトランを公然と敵視し、侮辱する。 しかし、それが指定した期限の日、カーディフの体に異変が起きます。刺すような激痛に絶叫して暴れ回る「ローダン」を取り押さえた医療チームは、「ローダン」の胸に取り付けていた細胞活性装置が彼の体に食い入り、神経系統と完全につながっている事を発見します。むろん、誰一人、ブリーもテレパスたちも「ローダン」が細胞活性装置を持っているなど知らない。 回復したカーディフは数日後に気づきます。自分の身長が数センチ伸び、体の寸法も数センチ太っていることに。 訳者あとがき は、今回も飛行機の話から。少年時代に夢見た飛行機のこと。『航空朝日』という雑誌のこと。 それと、このシリーズは2月と6月は休刊ですよ、というアナウンス。つまり、いつの間にか年刊10冊になっていたんですよ。 （10/3/6） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-058 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 058 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：惑星サオス包囲作戦 | ハヤカワ文庫SF382 早川文庫1074 | ||||||||
| 115 惑星サオス包囲作戦 | Der Imperator und das Ungenheuer | 1963/11/15 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 116 二重太陽下の決闘 | Duell unter der Doppelspnne | 1963/11/22 | カール・H・シェール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：268P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1980/3/15 | 購入：1980/3/12 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 115 惑星サオス包囲作戦2103年、9月。 ローダンとなったカーディフの独裁者ぶりはさらに進行します。居並ぶ将校たちを平然と侮辱し、貶めようとする。間にはいってなんとか丸く収めようとするブリーの献身ぶりがなんともはや。 しかし同時にカーディフの顔と体は、かつてのローダンそのものだった精悍で引き締まったものではなく、ぶくぶくと醜くふくれあがっています。身長は毎日1センチずつ伸び、体重はそう変わらないものの胴回り、胸回りがずんずんふくらんでいきます。 私室で、ベッドの下から1×2ｍの鏡を引き出して壁に立てかけ、じっと見つめて怒りのあまりたたき壊すカーディフ。（宇宙船の中なのにねぇ。きっとすごく大きなベッドで、すごく軽い鏡なんだろうな） ＜きみは偉大にすぎ、強すぎるようになる！＞ という言葉に隠されたそれのいたずらと恐るべきユーモアが、だんだんカーディフの頭にしみ通る。細胞活性装置は、彼の体に深く食い入って、もはや取り外しは不可能。 狂気に陥ったカーディフは、バアロル教団の基地がある惑星サオスを、太陽系艦隊の総力を挙げた叩けと命じ、艦隊を出撃させます。しかし、サオスはアルコン帝国の版図の中。アルコン皇帝ゴノツァル8世にとっては、自分の支配する世界の中を、敵意むき出しとなったテラ艦隊に自由に交通させ、しかも攻撃させることは政治上できない。ロボット艦隊を出撃させて、テラ艦隊を牽制させることとなります。 惑星サオスの軌道上で睨み合う二大艦隊。ティフラー＝ローダン以外のすべての人々が、息を詰め、この起きてはならない対決を見守ります。はたして世界の未来はとうなるのか。 116 二重太陽下の決闘 この巻は、いかにもシェールらしく、久しぶりにアトランの一人称で語られます。 惑星トラカラトにバアロル教団の本拠があるとの情報を受け、探索にかかる太陽系帝国とアルコン帝国の皇帝アトラン。 前にローダンの顔を見たのは、テレカム越しでした。それからもう51日が経過した2103年10月20日。私は太陽系帝国がアルコンをはっきり敵視する政策に転じたことを確認し、苦渋の選択としてアコン人との同盟を決意します。 一千隻の最新型戦艦をアコンに供与するという私の方針を聞き、接触を取っていたブル、ジョン・マーシャルらは唖然とします。そこまで追い詰められたアルコン帝国を理解すると共に、それでは地球とアトランの紐帯はどうなったのかと恨む。しかし、  ローダンの狂気とも思える政策が変わらない限り、アルコン帝国が生き残るにはこれしかない。そこへローダンからのテレカム。 画面に映るのは、これがあの端正な男かと思うほど変貌した怪物の姿。膨れあがった顔、猜疑心と狂気に濁る目、ぶよぶよに腫れ上がったこぶし。2メートル38センチに膨張した体。 私はローダンに、アコン人との交渉の末に連星アプトゥトを回る惑星トラカラトの場所を突き止めた事を知らせます。過去の友情を信じて。 バアロル教団の本拠の惑星名のポジションを聞いて狂喜するローダン。長年の友である私に暴言を吐き、ののしり、座標データを要求します。そして＜アイアンデューク＞に来るように要求しさえするのです。 ＜アイアンデューク＞に乗艦した私に、ローダンはいきなり遙か昔の金星の決闘の話をします。 私がサーベルでローダンの足を砕いたのだという。私は武装していなかったという。「水はぬれてる」という詩を聞いても反応しない。 だれだ、これは。私の付帯脳はフル回転で過去の記憶を洗い直します。 やがて、惑星トラカラトに「ローダンの息子トマス・カーディフ」がいるらしい事がわかってきます。その正体はだれなのか。 やがて明かされる真実。ローダンとカーディフに何が起きたのか。 訳者あとがき は、この巻で登場したヤキナウォという奇妙な名前の日本人。しかたないよね、とあきらめの言葉。 それと、松谷氏の柴犬と冬山のこと。モシカのこと。子犬の時にカモシカに虐められた柴犬くんの行動がおかしいね。 （10/3/7） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-059 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 059 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：惑星アツゴラの奇病 | ハヤカワ文庫SF386 早川文庫1088 | ||||||||
| 117 盗まれた艦隊 | Die gestohlene Raumflotte | 1963/11/29 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 118 惑星アツゴラの奇病 | Der Robot-Sergeant | 1963/12/6 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：261P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1980/4/15 | 購入：1980/4/13 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 117 盗まれた艦隊トマス・カーディフの死によってようやく終息した騒動ですが、政治的･軍事的な収拾には時間がかかりました。一転して極端に好戦的になった太陽系帝国の施政方針をひっくり返すのは簡単ですが、政策が変わったからと行ってすでに行った政治的・軍事的な行動をなかったことにできる訳でもない。 最大の問題は、アルコン帝国との同盟を破棄して、敵対国家としてしまったこと。やむなく対応策としてアルコン帝国は、太陽系帝国の攻勢に対して国土を防衛するために、今まで敵対していた諸勢力との連携を取らざるを得なくなったのでした。これが禍根を残します。 その最大の問題は、太陽系艦隊の不倶戴天の敵になりそうなアコン人に、アトランがアルコン帝国皇帝として最新式の戦闘艦を千隻譲渡する事を約束してしまったということ。 条約まで結んでしまったことを覆す訳にはいかない。 かくして、2103年11月10日、アトランと秘密裏に会談したローダンはある作戦を発動します。いったん譲渡しておいてから、遠隔操作で自爆させるという欺瞞に満ちた卑怯きわまりない作戦を。 例によってグッキーが大活躍するダールトン節、炸裂です。 間に入って馬鹿を見たのは、ローダンに好意を寄せたアコン人のラス=トオルのアウリス（表紙の右側ですな）でした。 最後に、ゴシェン湖の塩分の多い湖で遊ぶローダン、ブリー、グッキーの、晴れやかな笑顔で締めくくられます。 118 惑星アツゴラの奇病 2104年6月、テラから37000光年の彼方にある恒星アツゴの第二惑星アツゴラに交易に行ったテラの商船＜シレーヌ＞より、作成に奇妙な病気が蔓延しているという報告がもたらされます。その症状が不死者が与えた21この細胞活性装置による人体の異常と酷似しているという判断をした太陽系帝国は、さっそく対応にかかります。送りこまれたのは、むろんナイク・キント大佐指揮下の第三課の精鋭たち。 ロン･ランドリー少佐、ラリー・ランダル大尉、ロフティ･パターソン中尉は、ロボット工作員のミーチ・ハニガン軍曹と共に作戦に取りかかります。使用するのは、外観は直径150m足らずの貨物船ながら巡洋戦艦なみのエンジンを搭載した特別艦で、その名も＜ヴィクトリー＞。将校21名と下士官兵130名が運行する工作艦です。用心のためにモンティーニ少佐の指揮する巡洋戦艦＜ヴォンダル＞がバックアップするという。 そこで発見した奇病は、住民の体が異常に膨れあがり、誰もが無気力になっていくというもの。しかも、食物を取る必要もなく満腹な状態を維持しているらしい。一体これは何なのか。 やがて発見されたのは、この病気の恐るべき原因。奇病の名にふさわしい。そして、新たな銀河種族の影も。 原題は「ロボット軍曹」。体重1トンのスーパー･ロボットの活躍や如何に。 作戦が終わったあと、ロン･ランドリーは体重が30ポンド増えていることに困惑します。なぜkg単位を使わないのか、ちょっと疑問ですが。 訳者あとがき は、松谷さんの遠い思い出。 昭和22年の夏、松谷さんは東京外語大学の学生で、生活のためにアルバイト（正しくはネーベンアルバイト──サイドワーク──で、頭をちょん切ってバイトとちぢめるなどもってのほか と松谷氏）をしていました。日本橋の某アパートで配給の糸を届ける仕事をしていたとき、思いがけず海を見たのだとか。 久しぶりに見る海に驚いてしばし立ち尽くし、そのまま誰もいない桟橋で弁当を食べたそうな。 戦争の時代、人生は20年と心に決めた19歳の少年が、ほっと一息をついた瞬間だったそうです。 （10/4/1） |