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 宇宙英雄ローダン 090～099  |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-090 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 090 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：仮借なき敵 | ハヤカワ文庫SF513 早川文庫1569 | ||||||||
| 179 不時着地はボーリーⅡ | Notlandung auf Beauly Ⅱ | 1965/2/5 | カール・H・シェール | ||||||
| 180 仮借なき敵 | Der gnadenlose Gebner | 1965/2/12 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：273P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/7/15 | 購入：1983/7/16 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 179 不時着地はボーリーⅡ テラ歴で2328年8月、銀河の情勢が不穏になる中、三人の男が秘密裏に会見します。厳密に言うと、その中で体重815キロを誇るエルトルス人のUSOスペシャリスト、メルバル・カソムは、護衛兼パイロットとしてそこにいますが、銀河世界にとって重要なのは他の二人。 もとアルコン製漢帝国の皇帝であり、星際連合─USO─の政務大提督で最高司令官であるアトラン。そして、第三勢力の指導者から太陽系帝国の第一執政官をへて、連合帝国の大執政官兼艦隊司令長官となったペリー・ローダン。 彼らは、余人を交えずに連合帝国の未来について語り合おうとして、誰にも邪魔されない場所を会見場にしたのでした。その場所とは、＜マジョリ＞と名付けられた全長わずか20メートルの宇宙艇。USOの予算で、USOの造船技術、兵装技術の粋を集めて作られた傑作。 無敵のモルケックス装甲を無力化した後、ブルー族はもはや脅威ではなくなります。その結果平和が来ると期待されたのですが、現実にはそうはいかなかった。まずブルー族の中で内紛が進み、内戦一歩手前の一触即発の状態になっています。銀河連合の中でブルーとの取引という裏切り行為を行ったアコン人は、アルコン人を巻き込んで堂々と離反の意志をあきらかにしています。銀河の諸星系を守りきれず甚大な被害を与えることとなったテラナーの宇宙艦隊に不審の念を持つ諸種族もあります。 ここにおいてローダンは選択する、アトランの言う武断的な政治判断はともかく、もはや連合を築くだけの信頼が置けない諸種族とは手を切る。ポズビなどの、信頼できる種族とのみ手を握り小振りな星間帝国を作り直す。そしてアトランに宣言します、USOはその組織を維持するための分担金を支払う知性体の利益のためにのみ動いて欲しいと。アルコンなどの諸種族は、今後切り捨てると。 緊迫した会議の中で、いきなりカソムの声がします。 テラの新旗艦、コルス・ダントゥル大佐の指揮する＜クレスト＞から救難信号が入ったと。最強の戦艦に、いったい何があったのか。 ローダンらは＜マジョリ＞と共にボーリー星系の捜索を行います。 しかしそこに着陸したとたん、彼らは猛烈な頭痛と嘔吐感に襲われたあげく、急激に知能が低下してしまう。知能低下の影響を受けなかったのはアトランのみ。彼の頭脳にある付帯脳のせいなのか。 相変わらずのシェールですね。この一編の中にたくさんのアイディアとストーリーを詰め込みます。 180 仮借なき敵 ＜クレスト＞を破壊し、ローダン、アトラン、カソムらを拉致した謎の敵は何者なのか。 たった三人だけ捕らえた相手は、若く精悍なテラナー。少なくともそう見えます。揃いのブルーの制服を着て、胸に赤い文字でVの字が。完璧なインターコスモを話し、礼儀正しく、自信にあふれている。 尋問の結果、彼らはプロフォス人であることがわかります。太陽はエウガウル。地球から約8,221後年の彼方にある黄色い恒星で、惑星は8個。その第三惑星がプロフォス。300年前にテラから移民した子孫。 300年の年月の間雌伏し、独自の艦隊をそろえ、宇宙を征服する時機をうかがっていたそうな。 独裁者である総統に率いられ、その高位の配下はみな定期的に解毒剤をもらわないと死ぬ致死性の毒薬を投与されている。この毒を投与されていると言うことが、一種のステータスでもあるらしい。 ローダンらは救出されたものの、新しい帝国艦隊旗艦＜クレスト＞はこの仮借なき敵の猛攻にあって、艦長コルス・ダントゥル大佐もろとも破壊されました。 最高・最大の敵とは自分自身である。 敵は常に独裁政権下で恐怖政治に縛られており、それ故に狡猾で恐ろしく悪魔的で、しかも強い。 ローダン世界に限らないのですが、敵を造形する時いつも使われるステロタイプの一つかも。 訳者あとがき は、沢登りの話。 山形。宮城の県境、蔵王連邦北部にある雁戸という山にある沢を、息子と共に攻めたこと。 登山なら親子でというのも珍しくないけれど、沢登りというのは年齢の上限下限がある。できる期間は長くないので、これぞと思って試したのだそうな。なんか、いいなぁ。 それと、むこう10点のローダンのタイトル予告。 （2011/9/25） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-091 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 091 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：セントラル・シティの囚人 | ハヤカワ文庫SF520 早川文庫1597 | ||||||||
| 181 セントラルシティの囚人 | Gefangen in Zentral-City | 1965/2/19 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 182 銀河系秘密情報局の三人 | Drei von der galaktischen | 1965/2/26 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：280P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/7/15 | 購入：1983/7/16 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 181 セントラルシティの囚人エウガウル星系の総統、プロフォスの元首 （Obmann von Plophos） であるイラチオ・ホンドロは、52歳の独裁者。ローダンと連合帝国を破って自らの勢力を広げようとしています。身近な部下にはみな、4週間後に死ぬ毒薬を注射し、その解毒剤で忠誠心を確保しているという、テラ植民史上最も残忍な独裁者。 今回、彼の重大な秘密が出てきます。なんと彼は、ローダンの探索コマンドが発見できなかった細胞活性装置６個のうちの一つを持っているのでした。 2328年11月、この独裁者に再び捕らえられたのはローダン、アトラン、ブリー、そしてミュータントのアンドレ・ノワールとUSOスペシャリストのメルバル・カソムの5人。彼らが捕らえられていた惑星グリーンドールは、プロフォスの領内ですが、ソルからの距離28,720光年、プロフォスからの距離20,774光年、アルコンからの距離38,455光年のところにある辺境の惑星。 この惑星は、人間の敵となる凶悪な植物がおり、首都セントラル・シティは周囲が自動操縦の火炎放射器・酸放射器に取り巻かれ、植物の侵入を阻止しているのでした。 ローダンらは牢獄からの脱出を計りますが、苦労して都市を抜け出した先にあるのは、この地獄のジャングル。はたして彼らの運命は。 182 銀河系秘密情報局の三人 アート・コンスタンチンは、植民惑星プロフォスに住む警官。この惑星年で30歳。人もうらやむ美人の妻と二人の子供を持つ。 しかしその正体は、テラの情報部大佐アーサー・コンスタンチン。地球年齢で24歳。銀河系秘密情報局員。 ある夜、道ばたでテッコという全長8センチほどの小さな動物を買い、家に持って帰ります。この惑星では、個人的なペットを持つのが週間なので、彼がこのテッコを持っていてもなんの疑いももたれない。しかしこのテッコが、他のテッコの得た情報をそのままアートに伝える伝達器のようなものである事は、極秘事項。 急に諜報活動への取り締まりがきつくなったらしい。何か情勢が変わったのか。 テラの植民地として始まったプロフォスの歴史が語られます。植民開発は21世紀末で、成功した植民惑星の一つだそうな。 24世紀前半の現在、プロフォスの人口は五千万。三割が元々の植民者で、七割はあとから移民してきたもの。人口は少ないが優れたテクノロジーを確立した工業拠点で、150年前に自治権を得て以来いくつかの惑星を傘下におさめて発展してきました。 この惑星が独立した小国家を作り、2319年にホンドロを大統領として以来、地球の地位に取って代わろうとする動きを積極的に、秘密裏に進めています。 駐留していたテラの情報局員は、生まれ育ったもの、新規に移民したふうを装ったものなどさまざまですが、アートはその後者の一人。 彼はこのホンドロがなぜ人口の少ないプロフォスで銀河の覇権を握れると考えたのかを調べているうちに、ある秘密を知ったのでした。なんとホンドロは、人的資源の不足を補うために、恐るべき方策を考えていたのです。 訳者あとがき は、宝くじの話。 学生だった頃、松谷さんは宝くじの売り子のアルバイトをしたのだそうな。なんと学校 （東京外語大、当時は東京外事専門学校） の厚生課に、このアルバイトの求人が北のだそうな。一枚5円で、ゴールデンバットが5本おまけに付いたそうです。 そのときのいろいろな思い出や、宝くじはそれ以後も買ったことがないという話。なんか面白い｡ （2011/10/2） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-092 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 092 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：グッキーと青い親衛隊 | ハヤカワ文庫SF522 早川文庫1611 | ||||||||
| 183 ジャングル軍隊 | Die Dschungel-Armee | 1965/3/5 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 184 グッキーと青い親衛隊 | Gucky und die Blaue Garde | 1965/3/12 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：280P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/8/15 | 購入：1983/8/10 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 183 ジャングル軍隊
2328年11月10日、惑星グリーンドールで捕らえられているローダンら5人から始まります。エウガウル星系の元首にしてプロフォスの独裁者イラチオ・ホンドロに致死性の毒薬を注射された彼らは、現在10月10日ですから、もう9日経過したことになる。4週間ごとに解毒剤を注射されなければ、即座に死んでしまう。 毒物注射の前にジャングルの中に脱走したメルバル・カソムは、ニュートラリストと名乗る一群に出会います。彼らは、独裁者ホンドロに反抗するレジスタンスなのだという。とりあえず手を組むことになったカソムですが、彼に対する扱いは、まるで捕虜のよう。カソムはこのリーダーである黒髭ブレスという男の残酷さ、仮借なさに目を見張ります。これではホンドロの裏返し、いやホンドロのコピーではないか。 しかし彼らの手助けを得て、カソムらは囚われたローダンらの救出に向かいます。はたしてこれでいいのか。 184 グッキーと青い親衛隊 ローダン、アトラン、ブリーが死んだというニュースは、銀河系を震撼させます。アルコン人とテラナーの連合帝国は崩壊し、この帝国を軸としていた銀河同盟は結成213年で消滅しました。数人の個人のみによって支えられていた国家という、極端にもろい政体しか作れなかったローダン世界の根本的欠陥がまたも露呈。(笑) アート・コンスタンチンの死と引き替えにもたらされた、ローダンらは生きている、という情報は、なぜか連合帝国上層部のみで留まります。ローダンの代行となったジュリアン・ティフラー太陽系元帥、アラン・Ｄ・マーカント銀河系秘密情報局長官ら数人。民主的、なのかな。 ティフラーは銀河系中に広がって活動していたミュータント部隊に召集命令と、指令SGTを発令します。その後、指令HTが発令されるのだそうな。むろん、ダールトンの愛するグッキーにも。このSGTとは、テラナーの最強力兵器であるトランスフォーム砲のうち、銀河同盟に供給していた分の安全機構を解除すること。同盟が崩壊したいま、地球と地球に忠実な惑星以外には持たせる訳にはいかないから。 むろん、彼らは離反するはず。ローダンがいなければ同盟に参加するはずがないから。みごとなまでに不信感に満ちた偉大なる世界。 地球から14,500光年離れた恒星M=317=XBを回る惑星フーヴィにいたグッキーは、ここに住むろくろ笛と名付けた種族が一方方向のテレパスであり、受信は巧くできないが送信の応力は優れていることを知り、いいアイディアを思いつきます。 彼らのテレパシー能力を結集して思考インパルスを銀河中に送り、トランスフォーム砲に付属するメンタル機器を動作させ、安全機構を解除してしまおうという。なんと安直な設定。 ミュータントたちは冥王星軌道の外で太陽をめぐる新旗艦＜トーラ＞に集合します。この艦は、失われた旗艦＜クレスト＞の後継艦。直径1500メートルの巨艦で、武装はほとんどがトランスフォーム砲という奇妙なフネ。艦長はエプサル生まれのハイト・タルム。 ティフラーはローダンの生存を秘密にすることを宣言すると共に、帝国の崩壊はやむを得ん、今後はまず地球を含む小さな世界に閉じこもって守りに徹する戦略を建てると決めます。そのためには援助がいる。 グッキーは提案します。ワンダラーの不死者、“それ”にコンタクトを取ろう。そしてテレパスみんなでメッセージを送る。 呼び出された“それ”は、自分は助けない、お前たちが自分で解決しろと突っぱねる。 じゃあ今度は、とグッキーはまた提案。ハルノを呼ぼうじゃないか。そしてテレパスみんなでメッセージを送る。 呼び出されたハルノは、援助できない、法があって無視ははできない、と突っぱねる。 なんて無駄な12ページ。 さて、グリーンドールに侵入したミュータント部隊の面々、独裁者ホンドロとどう対決するのか。 訳者あとがき は、スキーの話。 本が出るのは8月だけど、これを書いているのはまだ3月なんだ、とのこと。 そしてローダンの翻訳のあいまにあちこちの山で滑った話。いい年をしてよくやるもんだ、とのこと。でも楽しそう。 （2011/10/15） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-093 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 093 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ヒュプノ球 | ハヤカワ文庫SF527 早川文庫1626 | ||||||||
| 185 バドゥン炎上 | Flammen über Badum | 1965/3/19 | クルト・ブラント | ||||||
| 186 ヒュプノ球 | Die Hypno-Kugel | 1965/3/26 | クルト・ブラント | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：280P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/9/15 | 購入：1983/9/11 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 185 バドゥン炎上バドゥンとは、無数の恒星が凝集した銀河の一角にある恒星トマを回る巨大惑星ベルの衛星。ここの唯一の都市ロードタウンに、ニュートラリストの秘密の根拠があります。支配するのは、ロード・コジッチ・アブロ。身長1.99メートルの巨漢で、仮借なきニュートラリストの総帥。 とらえられたローダンら5人は、旧式のオタマジャクシ（直径60メートルの小型艦）でここに運ばれます。 空港で彼らを迎えたのは、意外にも独裁者アブロではなく、若い女。臆することなく男たちの報告を受けてねぎらい、ローダンをあごで呼ぶこの女は誰なのか。 モリー・アブロ、ニュートラリストの支配者の24歳の娘の初登場です。 しかしここで奇妙なことに気づきます。ロード・アブロの言動が、どうもおかしい。 この男、正気なのか？ この疑問は、ローダンたちだけでなくモリーも感じていたのでした。 とはいえ、ロード・アブロが要求するニュートラリストの艦隊の補強に関する助言については、解毒剤の供与という餌を面付かせられればローダンらは従うしかない。なにしろ、死の予定日はあと10数日に迫っています。 プロフォスの秘密情報部のアル・ジガーズが、スプリンガーに扮してニュートラリストの本拠を捜索し、ついにここバドゥンを突き止めてロード・アブロと顔を合わせたのは、ちょうどこのタイミングでした。 殺到する青い親衛隊の艦隊。ローダンらは危うく、手近にいたモリー・アブロを拉致同然に同行させて脱出を計ります。 186 ヒュプノ球 プロフォス軍とニュートラリストの戦いに巻き込まれたローダンらは、気づくと衛星バドゥンからモリー・アブロと共に未知の宇宙船で目覚めます。ここがどこなのか、なんのためにここにいるのか、何もわかりません。宇宙船のコントロールも効かない。 ローダンの罠と考えたモリーがくってかかる場面もありましたが、誰も答えられない状況には違いない。誇り高い美女ですが、馬鹿ではない。ローダンらを敵と思っていますが、闇雲に暴れることはない。 どこかの惑星に着陸した宇宙船から、彼らは外に出ます。原始時代の世界といった風情。 とりあえずここを惑星ラヴリーと名付けたのは、アトランの皮肉か。あたりには彼らの様子をうかがう巨獣がいます。 アンドレ・ノワールが知性があると判断した、トラとヘビの合いの子といった外見の六本足の怪物はクドゥと呼ばれます。見た目は怪しいが、敵意はないらしい。またチンパンジーのような六本足の獣にも知性のかけらが認められ、モンクと呼ばれているらしい。 しかしそれ以外の、翼手竜のような怪物などは容赦なく襲ってくる。意外な銃の名手であることを示したモリーと共に、彼らは逃走します。 この世界の獣が、なにかに暗示をかけられて戦っているらしい事に気づいたのはノワール。途中で出会ったスプリンガー、超重族らもそれに操られているらしい。何とかしなくては。 しかし問題は、ローダン、アトラン、ブリー、ノワールには、解毒剤が与えられなければもう数日の寿命しか残されていないこと。残されるのは巨漢メルバル・カソムとモリー・アブロだけになってしまう。 ローダンらは、謎のヒュプノ、暗示をかける超能力を持った存在を倒す決意をしたのでした。 プロフォスの独裁者による4週間ごとに解毒剤を必要とする毒薬、という設定はなかなかユニークで面白いものでしたが、それをひっくり返した後付設定がなんともはやです。時に、2328年12月2日。 訳者あとがき は、松谷さんのローダン・シリーズを低級SFと決めつけた「偉い」批評家への反論。 SFマガジン1983年5月号に、『続・ドイツSF情報』（W・ツィリヒ）として載った話なのだそうな。 ついでに「低級な」SFを書いた作家の名前 Jörg Weigand は、ヨルグ・ヴァイガンドじゃないよ、イエルク・ヴァイガントだよ、と訂正したのはドイツ翻訳家の本領発揮かな。(笑) そもそもSFのみならず文学作品に、──いや芸術一般に── 高級とか低級とかいうきわどい価値判断をはらむ言葉をみだりにつかっていいものだろうか。作品に対する批評は、まず、すぐれているか否かのレヴェルで行われるべきものではないか。 との松谷氏の弁。 文学とは元々エンターティメントだったはず。 ぼくはヘルベルト・W・フランケの作品もカール・H・シェールの作品もそれなりに面白いと思い、だから日本に紹介したのだ。 とも。 高級か低級かなどという次元ではなく、面白いかそうでないかという次元で語ろうよ、というわけ。 鐵太郎も賛成です。ローダンには玉石混淆で、面白くないエピソードも決して少なくない。だから面白くないと断ずるのならまだしも、だから低級であるというのはまずいよね。 （2011/10/19） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-094 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 094 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：カハロの傭兵 | ハヤカワ文庫SF530 早川文庫1638 | ||||||||
| 187 カハロの傭兵 | Soldaten für Kahalo | 1965/4/2 | クルト・マール | ||||||
| 188 灼熱の惑星 | Die lebenden Toten | 1965/4/9 | カール・H・シェール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：262P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/10/15 | 購入：1983/10/17 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 187 カハロの傭兵惑星ラヴリーから脱出、というより連れ去られたのは、ローダン、アトラン、ブリー、アンドレ・ノワール、メルバル・カソム、そしてモリー・アブロの6人。全長200メートル、太さ40メートルの葉巻型宇宙船の中に閉じ込められています。 この中では、自由に行き来することができません。時々甲高い笑い声もする。空腹を訴えると、謎の食料が現れる。害するつもりはないらしい。 しかし彼らを閉じ込めたのは誰なのか、その意図はなにか。誰もわからない。 しばらく探索を続けた後、彼らは船に奇妙な知性体がいることを察知します。その外見からビッグヘッドと名付けたこの異星人たちは、どうやら彼ら6人をバドゥンから救い出し、惑星ラヴリーにおろして6人のメンタリティを調査したらしい。 オルボン星系第三惑星カハロに居住するビッグヘッドは、その結果に満足してローダンら6人をこの宇宙船に移送し、改めて交渉に入ります。彼らを助けてほしいのだと。 カハロ人は数百万年の歴史を持つ古い古い種族で、すぐれたテクノロジーを持っているが好戦的ではなく、20程度の惑星を支配するだけで満足していたのだそうな。  それが、第四惑星フロートの知性体の侵攻を受けたのでした。フロート人は、テクノロジーのレベルはあまり高くはないが好戦的です。戦いを知らないカハロ人はこれに対抗できない。そこで彼らのために戦ってくれる種族を捜していたらしい。ローダンは、兵装はともかく技術に関して素晴らしい発展をしている彼らを見て、傭兵任務を行う代わりにこの種族のテクノロジーを手に入れられないかと考えます。さすが、ローダン。考える事はまず人類の生き残りと発展。この機会をうまく利用できないだろうか、と考えます。 宇宙進出とは武装した軍組織が行い、敵対する組織とは断固戦うもの、という考えのローダン、アトランらにとって、カハロの傭兵になると言うことは、ある意味素晴らしい舞台設定かもしれません。 傭兵として戦う中で、ローダンらは気づく。カハロ人自身は、そのすぐれたテクノロジーをほとんど使いこなせないことを。種族の記憶がなくなったと考えるより、元々彼らの者ではなかったと考える方が妥当か。 謎はふくらむばかり。 188 灼熱の惑星 カハロのビッグヘッドたちの力になり、礼として葉巻型宇宙船に乗せられて再び故郷への旅に出たローダンたち、と思ったのですが現実は違った。知っていてしかるべきだったとローダンはほぞをかみます。カハロ人がこれほど退化して無能だったとは。彼らカハロ人はこの宇宙船に彼らを乗せて送り出しただけ。 どことへとわからぬまま６度目に超空間から出た時、ブルー族の争いに巻き込まれます。そのまま地球型の惑星に着陸したとき、彼らはそこにカハロにあった正三角形の巨大ピラミッドと同じものを発見します。いったいここにどんな秘密があるのか。  滑空機に乗るスプリンガーの末裔、放射能の恐怖、反目する族長たち、ローストの黒人。やがて発見されたのは、放射能の環境でないと生きられない突然変異した種族たちの姿でした。彼らはいったい何を求めていたのか。 ところでこの回、シェールにしては中身が薄い感じ。 ま、こんな事もあるさ。 そうそう、モリー・アブロさんがツンデレ元祖ぶりを発揮し、男どもをさんざんいたぶったあげくローダンとキスします。このままヨロメクかどうかは、まだ不明。 まァ、トーラも同じだったし、シェールの描くヒロインはいつもこんな感じですね。 それより、さっさと脱出して帰還しないと。太陽系帝国はトップスリーを欠いた状態ですよ。 あとがきにかえて は、ホメーロスの話。 前に 「ホメーロスの『オデュッセイア』はエンターティメントの原点で・・・」 と書いたことで、本当に読んでいるのか追求されることを心配したらしい。(笑) 大丈夫、20年ぐらい前に、原典の少なくとも半分は読みましたよ、とのこと。勤め先の大学の古典の先生と組んで、ギリシャ語から直接半分ずつ翻訳してみたのだそうな。 ここから楽しませる文学の流れを語って、それから話をローダンに結びつけようとしたのだけど、結局うまくいかなかった、とのこと。あはは。 （2011/11/13） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-095 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 095 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ゲッコ提督 | ハヤカワ文庫SF534 早川文庫1652 | ||||||||
| 189 ネズミ＝ビーバー遠征隊 | Die Expedition der Mausbiber | 1965/4/16 | クラーク・ダールトン | ||||||
| 190 ゲッコ提督 | Admiral Gecko | 1965/4/23 | |||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：280P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/11/15 | 購入：1983/11/20 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 189 ネズミ＝ビーバー遠征隊そもそもことの起こりはずっと前だった。2329年1月のある美しい日。場所は火星。 と始まります。 テラフォーミングされた地球よりちょっと寒い火星にいるのは、破壊された惑星トラムプからここに移住してきたイルトたち。つまり、グッキーの同胞。 ここで数十体のネズミ=ビーバーが訓練されています。グッキーに匹敵する超能力を発揮できるように。 しかし、遊びが好きなイルトたちはなかなか言う事をきかない。 ローダンが不在になり、宇宙のどこにいるのかもわからない現状ならば、我々もその捜索に参加すべきである、と考えたのは、だれだったか。 一騒動のあげく、ゲッコというでぶのネズミ=ビーバーをリーダーに、21体がオタマジャクシ型搭載艇を一台借り受けて＜トラムプ＞と命名して宇宙に飛び出します。グッキーは地球で待機。 むろん、それを許可したＵＳＯ司令官代理のテレ・アストルル総提督は、この自惚れだけのネズミ=ビーバーたちの能力など一切信用しておらず、ジュリアン・ティフラーと相談の上、航法士として有能なウニト人30名とマット・ウィリーを同乗させて送り出すこととしました。 アストルルの前で敬礼したゲッコは、 「ネズミ=ビーバー宇宙海兵隊、ただいま訓練中、サー。指揮はゲッコ提督！」 と申告したもの。なんと勝手に提督を名乗っています。 有能なウニト人にまるっきり無視されつつ指揮官として振る舞うゲッコがお気楽なもの。 卵形の、今まで見たことがない宇宙船位包囲されてしまい、ウニト人は近傍の恒星系に避難するコースを選んだところで攻撃を受け、大気のある惑星に緊急着陸します。 ここで出会った幽霊のような友好的な知性体が、攻撃したのは「狩人」だと教えてくれます。この星系の第27惑星に住むドリーマー（夢みるもの）という種族なのだそうな。宗教上の理由で宇宙船を造らず、技術的方法によって精神だけが宇宙をさまよっているのだそうな。 グッキーというか、イルトたちを愛するダールトンによる幕間劇ですが、次回はこの続きです。 190 ゲッコ提督 未熟なテレポーターで、大言壮語する臆病者でありますが21人のイルツのリーダーであるゲッコ大提督は、故障した“トラムプ”の修理と共に第18惑星を脱出することを宣言します。 ときに、2329年2月2日。 宇宙で出会ったのは、内紛で破壊されて漂流しているブルー族の船。 そのブルーより聞いた情報が、ウニト人の注目を集めます。ブルー族は、未知の種族の持つ特殊エンジンを手に入れて、別な島宇宙へ行こうと計画しているらしいことを。ゲッコをはじめとするイルツたちは、遊びの方が大事で興味なし。 しかしこの直後、構造走査機に反応があります。宇宙船の遷移ではなく、欠陥のある転送機のものだと判断したのはウニト人のズブロンはすぐにそこに向かうように「提案」します。 急行した＜トラムプ＞は、小さな星系を発見しますが、近傍で戦っていたブルー族の戦闘艦が数隻ついてきました。その戦いを避けつつ第二惑星に接近すると、テレパシーの能力があるイルトのオークが叫ぶ。 「見つけた！ ローダンを！」 けがの功名というかなんというか、最も期待されていなかった遠征隊がローダンらを発見したのでした。 まぁ単純に助け出すまではいかないのがローダン譚です。ブルー族に追われた＜トラムプ＞は、ローダンらのためにシフトを一台射出したのち、艦隊に追われて大破します。さて、この先どうなるのか。 あとがきにかえて は、まず山の話。 吾妻山系の大滝沢の沢登りの怖さと楽しさを生き生きと書いています。 それと、本文の257ページでブルーたちが驚いて振り向くシーン。ブルー族は頭の後にも眼があるのだから、振り返る必要はないのです。これはダールトンのうっかりミスだね、とのこと。 （2011/11/16） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-096 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 096 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：アコン人の謀略 | ハヤカワ文庫SF538 早川文庫1666 | ||||||||
| 191 獅子のチャト | Tschato, der Löwe | 1965/4/30 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 192 アコン人の謀略 | Die Kriegslist des Akonen | 1965/5/7 | |||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：259P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1983/12/15 | 購入：1983/12/9 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 191 獅子のチャト表紙絵の手前は、ノメ・チャト中佐。アフリカ系テラナー、身長2メートル。直径500メートルの巡洋戦艦＜ライオン＞を指揮する猛将。猫のようなしなやかな身のこなしと、苛烈で屈しないその態度のため敬意と怨嗟をこめて「獅子のチャト」と呼ばれます。 ＜ライオン＞と「獅子」の使い分けは、艦名が “LION” であだ名が “Tschato der Löwe” だからかな。原文では英語とドイツ語の語感の違いがあるんでしょうね。 アコンの密輸船を取り締まる任務を行っていた＜ライオン＞は、八千光年先で＜トラムプ＞が発した救難信号をとらえて急行します。搭載している三隻のオタマジャクシのうちの一隻＜ライオンⅢ＞を連絡のためにまず銀河中央部に射出するなど、軍事作戦的には（まるぺでは珍しくｗ）準備万端。 さらに、シムバン星系に接近するにつれて、もう一隻＜ライオンⅡ＞をさらに射出し、はるか彼方から通信させて救援艦隊を装わせるなど、フォルツさんお見事。 アコン人と同盟を結んで兵器を手に入れたブルー族は、惑星ローストに潜伏するはずのローダンたちを捜索すると共に、それを救出するために遊弋する＜トラムプ＞を包囲しています。この間隙をぬって、＜ライオン＞は強行作戦を決行しました。 自殺行と言われかねない航行の末に、158隻の戦闘艦を率いるローレ・ナイハルUSO提督の部隊と接触した＜ライオンⅢ＞のウォルト・ヘイントマン大尉に、同乗したオマール・ハブル軍曹にぼそっと言います。
192 アコン人の謀略 危うい所で到着したナイハル提督の部隊がブルーたちの包囲を破ったのは、2329年2月12日。これで情勢は回復したかに見えました。 しかしナイハル提督の艦隊は無傷とは言えない、さらにローダンらを載せた＜ライオン＞は満身創痍。とりあえず他のブルー族の宇宙船に警戒しつつ修理にかかります。 このとき、アコン船団の接近が探知されたのでした。護衛艦はわずか。これは、ブルー族に武器を売るアコン人の船団に違いない。
アコン人の接近を察知した「獅子のチャト」は、一つの決断をします。＜ライオン＞の要員及びローダンら合わせて800名を、一隻だけ残った搭載艇＜ライオンⅠ＞に詰め込み、＜ライオン＞を破壊してしまうという作戦を。 遠くテラでは、本国を守る帝国幹部のもとに、ようやくローダン発見の情報が届きます。急遽帝国旗艦＜トーラ＞と数百隻の部隊を率いて急行するジュリアン・ティフラー元帥。はたして間に合うのか。 終幕、ノメ・チャト中佐と副長ダン・ピコット少佐の会話が記憶に残ります。
あとがきにかえて は、蝶の話。 蝶という時の成り立ちの疑問、蝶への傾倒ぶり、大英博物館で売っているという本物そっくりの蝶のカードのこと、アオスジアゲハのこと。 楽しそうです。 （2011/12/11） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-097 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 097 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ひそやかな侵略 | ハヤカワ文庫SF541 早川文庫1677 | ||||||||
| 193 太陽系のパニック | Panik im Sonnensystem | 1965/5/14 | クルト・ブラント | ||||||
| 194 ひそやかな侵略 | Die heimliche Invasion | 1965/5/21 | クルト・マール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：264P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1984/1/15 | 購入：1984/1/28 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 193 太陽系のパニック2329年3月13日、太陽系帝国を形成する各自治体802の国家元首たちがテラニアに集合します。ペリー・ローダンの死を公式に発表するために。その席上現れたのは、なんと生きていたローダン、アトラン、ブルら、太陽系帝国の首脳。大艦隊を率いて太陽系を離れていたジュリアン・ティフラー元帥は、これを迎えるために出ていたのでした。かくして政治情勢は大きく変動します。 しかしその前に、アコンだけでなく別の仮借なき敵が、すでに太陽系帝国を侵食していました。対抗手段としてあらゆる手が打たれ、その中にはホーマー・G・アダムス連合帝国財政相による経済戦争まで含んでいます。その敵がプロフォスであると判明したとき、ローダンは決意します。 それでもなお、人類の未来は大宇宙にあり、われらは共に大きな家族となり、他の島宇宙にまでいずれ旅立つのだと。 194 ひそやかな侵略 ＜マルツォ21＞はスプリンガーの宇宙船。テラ艦隊の哨戒部隊に追われてプロフォスの宙域に迷い込み、その貴重な荷と共にプロフォスの官憲に囚われます。このスプリンガー一族が太陽系艦隊の諜報員であることは秘密。彼らの使命とは何か。 ことの始まりは2329年3月27日。大執政官ペリー・ローダンは、連合帝国と銀河同盟の解消を宣言し、人類の太陽系帝国と他の種族との間の現行援助条約をも廃棄しました。同時にＵＳＯ（星際連合）はこれまでのかたちをやめるとアトラン政務大提督は宣言します。太陽系帝国の治安と防衛のためにのみ存在すると。 ひそやかにこの太陽系帝国に侵略を試みるのは、アコンでもブルー族でもない。敵はプロフォス。この小なりとはいえ仮借なき敵は、かつてのアルコン帝国と戦った眇たる第三勢力と同じ人類です。ローダンはどう戦うのか。 あとがきにかえて は、まず作者のミスの件。 94巻の前半「カハロの傭兵」の作者はウィリアム・フォルツではなくクルト・マールであるとの指摘が読者からあったとのこと。早川が入手した号にはフォルツとなっていたそうですが、ドイツ版の第206巻で訂正が入ったのだそうな。ほほう、なるほど。こんなミスもあるんだ。 また別な読者から、プロフォスの独裁者ホンドロ（Ｈｏｎｄｒｏ）はローダン（Ｒｈｏｄａｎ）の綴りかえではないか、というヒントがあったのだそうな。母音は一つ違うけれど、たしかにそんな可能性があるかも。 もうひとつ、野球にはあまり興味はないけれど、1983年の日本シリーズを聞きながら犬の散歩をした話。 私事にわたって恐縮ですが といいますが、松谷さん、読者はあなたの私事でいろいろ楽しませていただきましたよ。 （2011/12/18） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-098 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 098 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：独裁者の失墜 | ハヤカワ文庫SF548 早川文庫1698 | ||||||||
| 195 独裁者の失墜 | Der Sturz des Sternadiktators | 1965/5/28 | クルト・マール | ||||||
| 196 最後の希望の星 | Planet der Letzten Hoffnung | 1965/6/4 | カール・H・シェール | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：320Yen | ページ数：256P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1984/3/15 | 購入：1984/10/14 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 195 独裁者の失墜プロフォス秘密警察のケル・バッサ少尉が失踪したのは、2329年6月27日。プロフォス総統イラチオ・ホンドロに毒を注入され、一定期間ごとに解毒剤の注射を受ける立場である彼が、6月29日に受ける予定だった注射を行わず消えるとはどういう事か。 やがてプロフォス秘密警察長官であるイシト・フランは一つの情報を得ます。死ぬべき日を大幅に超過したのに、ケル・バッサが生きていることを。 ついにテラが、治療不能の毒というイラチオ・ホンドロの牙城に食い込んだらしい。 エウガウル星系にスプリンガーの姿を借りて潜伏していた太陽系帝国の工作員たちは、イシト・フランまでも巻き込んでついに革命を起こしたのでした。 しかしイラチオ・ホンドロは、ジャーク・ハンソムと名乗る謎の部下を使い、脱出してしまいます。 196 最後の希望の星 プロフォスの秘密基地がある惑星ラスト・ホープは、テラから21,513光年のかなた。ここには811人のチームがいます。男性653人、女性158人。目的は、太陽系帝国の究極兵器であるトランスフォーム砲の秘密を解明すること。  2329年7月3日、ペリー・ローダンその人が惑星プロフォスより放送を行い、この秘密基地の運命は大きく変わることとなります。その放送の画面に映ったのはローダンだけではない。元プロフォスの秘密警察長官イシト・フラン、プロフォス艦隊司令官アルント・ケーザンビー、そして死んだニュートラリスト指導者ロード・コジッチ・アブロの娘、モリー・アブロ。ホンドロの忠実な部下と敵。彼らは新政府の樹立、そしてホンドロの失墜と欠席裁判による死刑宣告を発表し、またホンドロの毒薬の謎が解明され、解毒剤が供給されることも宣言したのでした。しかしホンドロに忠誠を誓う基地司令コンタ・ホグナルの支配のもと、この基地は状況を変えることは難しそう。 司令官代行を勤めるマール・ハフゴ大佐がシェールのSFっぽい展開で男を上げ、「走れ走れ Marschiere-Viels」（右絵） が登場し、ホンドロが現れてまた逃げてしまうお話。手作りの象撃ち銃なんて骨董品も登場し、武器フェチのシェールらしい展開ですが、いつもよりずっと軽い。読みやすい一編でした。 あとがきにかえて は、北杜夫の「どくとるマンボウ航海記」の中のミスプリの件。アッシリアではなくマッシリア（マルセイユの古名）なのだそうな。そしてそれから連想するあれこれ。 北杜夫さん．．． 鐵太郎はなぜこういう作家と波長が合わなかったんだろう？ 中学時代のトラウマが原因のような気がします。今となってはどうでもいいはずなんだけどね。でももう、こう言う作家は今さら読めないな。そんな我が儘もあっていいよね。(笑) （2011/12/27） |
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Ver. 2.23 |
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| 管理番号：R400-099 | 10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 099 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：最後の砦 | ハヤカワ文庫SF552 早川文庫1710 | ||||||||
| 197 巨人の地獄ダンス | Höllentanz der Riesen | 1965/6/11 | ウィリアム・フォルツ | ||||||
| 198 最後の砦 | Die letzte Bastion | 1965/6/18 | H・G・エーヴェルス | ||||||
| 翻訳：松谷健二 | 価格：340Yen | ページ数：278P | 本のサイズ：文庫 | ||||||
| 初版発行：1984/4/15 | 購入：1984/9/15 | 表紙・イラスト：依光 隆 | |||||||
 197 巨人の地獄ダンスフォルツとしては、自分の作ったインパクトのあるキャラ、“獅子のチャト” をもっと使ってみたかったようです。とはいえ、この巻でミリタリー的要素で構築されているはずのローダン世界の非現実的な設定も浮き彫りにされたのは、如何ともしがたいかな。 ノメ・チャト中佐は、前回の活躍によって巡洋戦艦＜ライオン＞を失ったのち、今回新しい＜ライオン＞を与えられます。同じ500メートル級の巡洋戦艦、副長として、それまで7年間チャトの下で副長を務めてきたダン・ピコットを指名。しぶしぶとピコットはそれを受けます。 むろん、旧＜ライオン＞を失ったことによる査問はなし。功績に対する昇進という報奨もなし。同じ艦の艦長として7年以上同じ副長で勤務という、軍隊ではあり得ない異常事態も、ローダン世界ではごく平常。 ふう。 ネオ・モルケックスの捜索という新しい任務に、太陽系帝国は力を注いでいます。B=ホルモンを加えた過酸化水素は、かつてブルー族の戦闘艦を装甲していた無敵のモルケックスを無力化したのですが、それが変化してネオ=モルケックスと化した物体は、超光速で銀河系の中心部方向に飛び去ってしまい、その所在がつかめませんでした。それを捜索する必要が出てきたののです。 2329年5月23日、新＜ライオン＞はスタートし、他の数百隻による捜索を尻目に7月18日、なんと当たりにぶつかってしまう。 遭難したアコン船から、モールス信号（アコンにサミュエル・モールスがいたらしい！ｗ）による遭難信号が発進され、急行した＜ライオン＞はたった一人の瀕死の生存者を発見し、驚くべきことを聞かされます。新型のハイパー駆動機関のテストをしていたアコン船が、超空間で何かに激突したのだという。そんなことはありえない。今までの常識では。 近くにあった、地球から48,330光年離れたグリーンの恒星はウィラー、その第4惑星はパルサと名付けられました。この両方から異常な、脈動するハイパー・エネルギーが噴き出ています。ネオ=モルケックス捜索の突破口となったのはこれ。 “獅子のチャト” という呼び名は今回出てきませんでした。不思議。 果敢なところは前と同じなのですが、この巻におけるノメ・チャト中佐は、戦闘艦の指揮官としては初代エンタープライズ号のカーク船長なみの無責任ぶりをいかんなく発揮し、危険な任務で＜ライオン＞を離れ、搭載艇どころかシフトで、本艦の指揮を放棄して副長まで連れ出して突撃します。こう言うのが格好いいヒーローとして流行りだったのかもしれませんが、困ったものです。 198 最後の砦 テラのトランスフォーム砲の秘密を解明して一発逆転を狙ったことのあるプロフォス元総統イラチオ・ホンドロですが、今回は新たな秘密基地、彼に忠誠を尽くす四千人がこもる惑星オッポジットで、まったく違う恐るべき新兵器を開発しています。忙しい人ですな。 ネオ=モルケックスが、わずかな量でも膨大なエネルギーを解放することが、この兵器の根幹となっています。 ノメ・チャト率いる＜ライオン＞の先導でついにこの惑星を包囲したローダンたち、ホンドロの息の根を止めることができるのか。 最後にホンドロがローダンに託したものは、いったい何だったのか。 あとがきにかえて は、松谷先生のドイツ語の教師時代の話。なんとも「上から目線」の教師ぶりだったらしい。逆に興味が出てきます。 使っていたドイツ語の教科書に、あるドイツ作家の短編が載っていたのですが、なんともつじつまが合わない箇所があったらしい。いろいろ調べてみたら、まるまる二行欠落していたのだそうな。しかもこの教科書、第三版。今まで誰も気付かなかったとは、とあんぐり。 それと、初登場のH・G・エーヴェルスのこと。ホルスト・ゲールマンという本名が H・G・ になったんだね、とのこと。 1936年に今の、というか当時の東ドイツ、ヴァイセンフェルトで生まれた人だそうな。 （2012/1/15） |
宇宙英雄ローダン 090～099