ローダン 330-339

宇宙英雄ローダン　330～339
巻数	書　名	作　家
330	バイオ・プログラム	H・G・フランシス＆H・G・エーヴェルス
331	太陽起爆装置	ハンス・クナイフェル＆エルンスト・ヴルチェク
332	超重族レティクロン	ウィリアム・フォルツ＆H・G・エーヴェルス
333	恒星三角形の呪縛	H・G・フランシス＆ハンス・クナイフェル
334	カリブソの監視者	ウィリアム・フォルツ＆H・G・エーヴェルス
335	雷神基地	H・G・フランシス＆クラーク・ダールトン
336	時間ダイヴァー	ハンス・クナイフェル＆エルンスト・ヴルチェク
337	テラ＝ルナ脱出作戦	クルト・マール＆H・G・フランシス
338	星のメールストローム	H・G・工ーヴエルス＆ハンス・クナイフェル
339	3460年のゼウス	クラーク・ダールトン＆ウィリアム・フォルツ

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　Ver. 2.15　

管理番号：R400-330	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン　330巻			出版社：早川書房		発行　1974年
書名：バイオ・プログラム		ハヤカワ文庫SF1592　ウ1-330　5983			ISBN4-15-011592-3 C0197
659 バイオ・プログラム		Das Bro-Programm			H・G・フランシス
660 ブｰメラン作戦		Operation Bumerang			H・G・エーヴェルス
翻訳：五十嵐洋		価格：\560	ページ数：287P			本のサイズ：文庫
初版発行：2006/12/15		購入：2006/12/10	表紙・イラスト：依光　隆

　　659 バイオ・プログラム　
　レジスタンスが潜む暗黒星雲「ポイント・アレグロ」の中には、22の星系があり、レジスタンスの拠点となっています。この中にはラール人のスパイはおらず、秘密は保たれている、と考えられていました。
　しかし、そうではなかった。
　レジスタンスの超心理エネルギーの専門家として名高いイツァル＝ロノンは、かつてラール人の中で逮捕・監禁された前歴がありました。そのため、洗脳の疑いがあるとして徹底的に調査され、すべてのテストに合格したのちようやくこの暗黒星雲内のアジトに参加することを許されたのでした。結婚して子供を得たのちすぐに離婚したという奇妙な振る舞い以外は、何一つおかしな事はなかったのです。
　しかしその息子、イヴェク＝タンホルは、地球人が惑星プロヴ3に着陸してから、異常な行動を取るようになったのでした。
　はたしてその原因は。調査を開始したネズミ＝ミュータント、グッキーの運命は。
　謎の作戦、バイオ・プログラムの実体とは何か。
　最後は、道具として使い回された誇り高い種族の独白で終わります。

　だが、もしまただれかが、意志に反する行動を強制したら、自分はまた同じように振る舞うだろう。テクへターはそういう集団なのだ。

　　660 ブｰメラン作戦
　「200の太陽の惑星」とは、人類の同盟者であるポスビの居住地です。
　ここに派遣されたマン・ヘリティ中佐は、太陽系秘密情報局に所属します。任務は、追放同然でここに放逐された高名なパラアブノーマル物理学者ホシュトラ教授を監視すること。
　だが、まさか教授がラール宇宙船のエネルギー・フィールドを破壊する秘密兵器を本格的に開発し、それを大量にポスビに提供していたとは気づきませんでした。教授はこれにより人類は勝利できると信じているのです。
　しかし、ラール人の科学力・軍事力は桁が遙かに違います。一時的に勝てたとしても、大挙して反撃されれば鎧袖一触です。
　ヘリティ中佐は監視網をぬってこの情報をテラへ伝え、対応を要請します。

　太陽系帝国国家元帥にしてペリー・ローダンの代行者であるレジナルド・ブル（表紙絵の無骨漢ですな）は、特殊チームを編成してこれに対抗しようとします。そのメンバーとは、マルティミュータントであるダライモク・ロルヴィク、そしてア・ハイヌ。
　しかし、タッチャー・ア・ハイヌ大尉ではない。ヴリラ・ア・ハイヌ少佐だという。タッチャーの従姉妹にして心理作戦の専門家。
　表紙絵でおどけている女性ですな。(笑)

　さあ、彼らとポスビの4万隻の艦隊がラール人の艦隊と激突するのを阻止できるのか。
　人類はこの危機を乗り越えられるのか。

　あとがきにかえて　は五十嵐洋さんの考察。
　なぜヘトランの告知者は、ペリー・ローダンを銀河系第一へトランとして選び、銀河系の独裁者として振る舞うよう期待したのか、ということ。
　銀河系の中では、人類だけ考えてもカルスアル同盟、銀河連合ノルモン、プロフォスなど、強烈な支配権を持った独裁者は多いのです。よりにもよってもっとも独裁者らしからぬ博愛主義者のローダンを選んだ理由とは何か。
　これに関しての五十嵐さんの説は、説得力があるでしょうか？
　そんなことまで考えさせられる、おもしろいシリーズです、これは。　　（07/3/8）

		Ver. 2.15

管理番号：R400-331	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン　331巻			出版社：早川書房		発行　1974年
書名：太陽起爆装置		ハヤカワ文庫SF1595　ウ1-331　5999			ISBN978-4-15-011592-3 C0197
661 太陽起爆装置		Der Sonnenztunder			ハンス・クナイフェル
662 死人狩り		Jagd auf einen Toten			エルンスト・ヴルチェク
翻訳:渡辺広佐		価格：\560	ページ数：276P			本のサイズ：文庫
初版発行：2007/01/15		購入：2007/01/12	表紙・イラスト：依光　隆

　　661 太陽起爆装置
　3459年5月2日、銀河系での騒動をよそに「特殊任務」から帰還したペリー・ローダンたちに対して、ラール人が詰問します。どこに行っていたのか、と。むろん、ラール人に対するレジスタンス組織の本拠地である暗黒星雲に行っていたのですが、当然そんなことは言えない。
　ローダンの説明に納得したように見えた＜ヘトランの告知者＞ホトレノル＝タアクは、いきなり爆弾発言をします。ラール宇宙船を破壊した兵器の存在を非難すると共に、その発明はテラナーによるものであるに違いなく、6月5日までに犯人を引き渡してその技術を破棄しないならば太陽系を破壊する、と。
　南太平洋に隠されたというその爆弾あるいは起爆装置を探すために、1億人に達するテラナーが探索にかかります。命令されて組織的に行っているもの、自発的に行うもの。しかし発見されない。
　同時に、太陽系に居住する全人類250億人の脱出作戦も行われますが、はたして間に合うのか。
　惑星オリンプと太陽系を結ぶコンテナ転送システムはキャパシティ一杯まで操業ペースを上げ、輸送船がフル稼働します。
　救難要請信号が友好種族に発せられますが、驚くことに応ずる相手は少ない。太陽系帝国への反感がここに来てむき出しになっているのか。
　さあ、爆弾は発見されるのか。どこにあるのか。間に合うのか。
　オラーナ・ローダン＝セストレ、ローダンの妻が鍵となります。

　　662 死人狩り
　エフロン・ハルマシはスプリンガーです。つまり、アルコン人の血を引く星間通商種族の一員。
　彼は、サタゴ・ウェルボトという謎の多い族長の配下ですが、同時にヘトス・インスペクター、つまりラール人のスパイでした。
　その彼が、ウェルボトの直接命令によって特殊任務の指揮官に任じられます。はたして素性はばれていないのか。疑心暗鬼のハルマシ。

　ラール人の圧力によってペリー・ローダンに処刑されたとされるアトランが、ローダンの反対にもかかわらず前線で作戦行動を開始しました。行動派の友アトランを止められないローダン。
　ささいなミスで正体がばれるアクシデントが発生するのは、ある意味お約束かも。
　かくして、死んだはずの男の探索、つまり死人狩りが始まります。はたしてアトランは脱出できるのか。

　同時にもう一つ、ケース・ハーモニーの第二段階として驚くべき作戦も進んでいました。かつて8万隻の反テラ連合軍の攻勢から太陽系を守るため、3430年10月30日にジェフリー・アベル・ワリンジャー教授によって推進されたローリン作戦。太陽系全体をアンティテンポラル干満フィールドによって、5分間の相対的未来へ移動させるというもの。
　これを今回も行おうというのです。今回は、1.183分の未来へ移行するという。
　水星の干満フィールドの修復は完了しているようですが、はたして可能なのか。

　あとがきにかえて　は渡辺広佐さん。
　芝大門へ用事で来た帰り、いつもは目に入っても関心がなかった銅像にふと目をとめたとき見つけたもの。
　童謡「赤い靴」のモデルとなった女の子が、麻布永坂町、十番稲荷神社のところにあった孤児院で一人寂しく死んだのだという。
　歴史はひとつひとつの積み重ねです。　　(07/3/17）

		Ver. 2.15

管理番号：R400-332	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン　332巻			出版社：早川書房		発行　1974年
書名：超重族レティクロン		ハヤカワ文庫SF1598　ウ1-332　6016			ISBN978-4-15-011598-2 C0197
663 超重族レティクロン		Leticron der Uberschwere			ウィリアム・フォルツ
664 時間トンネル		Tunnel durch die Zeit			H・G・エーヴェルス
翻訳:天沼春樹		価格：\560	ページ数：270P			本のサイズ：文庫
初版発行：2007/02/15		購入：2007/02/17	表紙・イラスト：依光　隆

　　663 超重族レティクロン
　表紙絵、パロディでも四頭身マンガでもありません。古代にアルコン人より分かれた宇宙商人種族スプリンガーの中で、特殊な環境下で発達した「超重族」であり、すさまじい肉体を持っています。身長は一般的なヒューマノイドと同じですが、高重力に適応した筋肉のために、肩幅も身長と同じぐらいあるという。フィジカルな能力は、当然普通のヒューマノイドの比ではない。
　表紙絵は、この超重族の一人レティクロンでしょうな。身長1.98ｍ、肩幅1.85m。体重もそれにみあうだけ。

　アトランが生きていたということは、ローダンのラール人に対する裏切りであり、となれば銀河第一へトランとしてのローダンは失脚したと言っていい。となると、ラール人の傀儡としての銀河系の独裁者であっても、権力を求める実力者にとっては、その権力の空白を埋めるのは自分であるという宣言ができる機会である。
　まあ、実力者とされる者が必ず軍事力を持ち、ローダン以外の実力者はすべてより高い独裁権力を望むのは、ローダン世界の決まり事ですから、それはそれでいいかも。（ヤレヤレ）
　そう考えた実力者の一人に、レティクロンがいます。
　レティクロンは強引な軍事クーデターによりプンタ＝ポノ星系の支配者、パリクツァのコランとなります。さらに狙うはより高い地位。銀河第一へトランの地位。
　レティクロンには、その野心、軍事力、統率力、肉体的能力に加え、さらに別な能力がありました。いわゆる超能力。
　彼はこの能力を使い、ラール人の手になる権力争奪戦争のなかで頭角を現します。

　　664 時間トンネル
　西暦3459年7月15日。ローダンは水星北極上にいます。
　三次元的ポジションはもとのままながら、四次元連続体上の時間軸を1.183分だけずらすことで物理的に存在しなくなっている太陽系上ですが、この固定された時間軸上ではいずれラール人の科学力でその四次元的座標を突き止められてしまう。
　そこで考案されたのが、作戦暗号名「ドリームダンサー」。すらした時間定点を、不定期の周期に沿って「時間ダンス」をすると言うもの。
　30年以上ローダンの護衛として常にそばにいる石頭、大執政官護衛コマンドの指揮官、ヒューバート・セルヴィン・モーリス大佐というキャラクターが楽しい。ローダンの娘婿にして太陽系帝国最高の科学者であるジェフリー・アベル・ワリンジャー教授とのさや当てもなかなか笑えます。
　「わかった、大佐」と、ローダンはうなずき、「その前に、コーヒーをもう一杯飲みたいのだが．．．」
　「いけません、サー」ヒューバート・S・モーリスはきっぱりと否定した。「給仕ロボットを作動させたら、重要な手がかりを失ってしまうかも知れません！」
　大執政官は肩をすくめ、ワリンジャーとモーリスにしか聞こえないよう、小声で、「ラッキーだったよ、呼吸まで禁止されなくて、大佐」

　しかし、このパラノイア的な注意深さが太陽系帝国を救うことになります。

　あとがきにかえて　は天沼春樹さん。
　「文学フリマ」なるものがあるのだそうな。文学オタクたちが自分の作品を持ち寄る、コミケの文学版のようなものらしい。
　2006年の11月に、いまやオタクのメッカとなった秋葉原の中小企業振興公社ビルで行われたそうです。
　天沼さんが参加しているサークルが、これに出店したそうです。なんとまあ、日本のオタク文化の幅広いこと。(笑)　　　(07/3/27）

		Ver. 2.16

管理番号：R400-333	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン　333巻			出版社：早川書房		発行　1974年
書名：恒星三角形の呪縛		ハヤカワ文庫SF1602　ウ1-333　6032			ISBN978-4-15-011602-6
665 火山泥棒		Dle Vulkan-Dlebe			H・G・フランシス
666 恒星三角形の呪縛		Im Bann des Sonnendreiecks			ハンス・クナイフェル
翻訳：青山茜・林啓子		価格：\560	ページ数：270P			本のサイズ：文庫
初版発行：2007/03/15		購入：2007/03/10	表紙・イラスト：依光　隆

　この二作は幕間劇のようなものですね。メインの話ではなく、サイドストーリーです。

　　665 火山泥棒
　地球から17,611光年かなたに、5つ以上の惑星を従える恒星トウ＝トノがあります。その第二惑星ゴプストル＝マルは、表面重力が0.68Gの火星型の砂漠惑星でした。
　3436年、この惑星の古代文明の遺跡があることが判明したのですが、発見はそれだけではなかった。その遺跡が半ば埋もれた火山の周辺だけで発見されたこと、そしてそこから未知の物質が発見されたことが大問題となりました。この物質は五次元振動性水晶で、クモル金属と命名されます。そしてこの周辺では、生物の精神的緊張状態を沈静することが判明しました。さらに、この金属は知性を向上させることも。
　ラール人の攻勢の前にこの貴重な鉱物を取り出そうという任務に就いたのはシェF。正しくはシェボルパルチェテ・ファイニィブレト。シェボパル人です。すなわち、ヒヅメのある脚を持ち、頭に二本の角、邪悪な眼。直立する雄ヤギのような姿。人類が心の底で恐れる悪魔の姿そのもの。（日本人って人類ではないらしいｗ）
　その企てを止めようとする研究者と、シェＦ率いる艦隊テンダー部隊との争いが発生します。そこへ、ラール人の手先となった新しい銀河第一へトラン候補レティクロンの艦隊が。
　三つどもえの抗争の決着はどうなるでしょうか？

　　666 恒星三角形の呪縛
　西暦3440年11月10日、二隻のエクスプローラー船が調査任務に就くために進発しました。＜ＥＸ-8977＞及び＜ＥＸ-1819＞です。
　太平洋に沈むレムリア大陸の都市で発見されたデータをもとにレムール人の航跡を追って探索の旅に出た彼らは、テラから40,831光年のかなたにある三つの赤色巨星が正確に直角三角形の配列になる星団を発見しました。ここにレムール人の残した恒星転送機がある。命名としては、「アルキメデス恒星三角形転送機」、長すぎるという文句に答えて「アルキ＝トリトランス」となりました。
　ここに船団が接近するその瞬間、運命の瞬間西暦3440年11月29日0時23分、銀河系を痴呆化の波がおそいます。
　そう、かつて人類が乗り越えた最悪の災厄が。船団は恐るべき運命に巻き込まれます。
　あとがきで、クナイフェルだからしかたがないよ、とあきらめられたとんでもない物語。どう解釈したらいいのでしょうね？

　この話で出た面白い警句がひとつ。「最良の委員会はふたりで構成され、うち一人は欠席するもの」
　ははん。ちょっとヨーロッパ的ですね。
　それには、万能のリーダーがいないとできませんよ。日本人の基本的考えは「三人寄れば文殊の知恵」。優れた一人に全権を与えるという発想はないのです。その考え方の善し悪しは別にしてね。

　あとがきにかえて　は、後半を翻訳した林啓子さん。
　1巻から集めたというローダン全集を譲られたという話でした。何でももとの持ち主は、古本屋を回ってこつこつと集めたそうな。
　ほう、ぼくは一部初版じゃないけど、全巻自分で最初から買いながら読んでいますけどねぇ。いや、自慢にもならないけどね。(笑)
　それと、翻訳の先生との別れ。意外な人がローダン・ファンだった驚き。世界は面白いものです。