ローダン 440-449

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　宇宙英雄ローダン　440～449　

巻数	書　名	作　家
440	テラ急襲	エルンスト・ヴルチェク＆クラーク・ダールトン
441	トバの後継者	H・G・エーヴェルス
442	大ピラミッドの秘密	ハンス・クナイフェル＆ウィリアム・フォルツ
443	＜パン=タウ=ラ＞の戦い	ウィリアム・フォルツ＆H・G・フランシス
444	マルゴン人襲来	H・G・フランシス＆クルト・マール
445	クオストート防衛戦	クルト・マール＆エルンスト・ヴルチェク
446	神々の贈り物	ハンス・クナイフェル＆エルンスト・ヴルチェク
447	ラルドの兵士	クラーク・ダールトン＆ウィリアム・フォルツ
448	謎のフェーロトブラガー	ウィリアム・フォルツ＆H・G・エーヴェルス
449	＜ソル＞破壊工作	H・G・エーヴェルス＆マリアンネ・シドウ

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		Ver. 3.00

管理番号：R400-440	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 440巻					出版社：早川書房
書名：テラ急襲	ハヤカワ文庫SF1885　ウ1-440　早川文庫7121					ISBN978-4-15-011885-3 C0197

879 テラ急襲		Sturm auf Terra				エルンスト・ヴルチェク			1978/6/27	翻訳：五十嵐洋
880 暗闇の敵		Gegner im Dunkel				クラーク・ダールトン			1978/7/4

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/1/15		購入：2013/1/12	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　879 テラ急襲
　サクエト＝クム＝ヘルクとは、伝説の武器製造者サクエト＝エーノの未完のライフワーク、究極のスーパーロボットでした。ルーワーの技術の粋をつくして作られたもので、“ヘルク”と命名された数千の自立するコンポーネントで構成されたもの。伝統的な恒星間エンジンを用いない転送技術で航行可能なこのユニバーサルロボットは、サクエト＝エーノの遺言に従い、代々のルーワー技術者によって常に維持管理され、アップデートされていたのでした。
　このサクエト＝クム＝ヘルクが、22万6千惑星年の周期でインパルスを発する謎の惑星、アブラトと名付けられた恒星系の第三惑星に投入されることとなったのでした。この惑星とは、はるか昔ルーワーが「例の物体」を設置したところ。

　太陽系境界部をパトロールしている軽巡＜カナリア＞が、ポスビのフラグメント船に似た、しかしそれよりはるかに小さい影を探知しますが、確認する間もなく消えてしまうという事件が起きます。

　ボイト・マルゴルを追う三人のガイア・ミュータントは、不思議な能力を持つ精神を病んだ重量級の少年ニキ・セント・ピジンを味方に引き籠としています。マルゴルが、この少年をなぜか恐れているようだから。
　彼らがマルゴルのパラテンダーの攻撃に晒されていた時、謎の生物に拉致されます。彼らは、

　「われわれはルーワーだ。瓦礫人ともいう」　　（P92）

　と名乗る。平和的なコンタクトは可能なのか。

　しかしボイト・マルゴルはニキを再び手の内に入れることにより、あいかわらず「世界征服」の野望を捨ててはいません。やっかいな奴だ、まったく。このマルゴルの画策により、サクエト＝クム＝ヘルクが地球を襲います。こんな事態を、だれが想定しただろうか。その結果はどうなったか。
　それより、この戦闘兵器は、なぜエジプトのピラミッドを襲ったのか。

　　880 暗闇の敵
　ギザのピラミッドを攻撃した謎の敵は、ティフラーの指揮の下撃退されました。しかし謎が残ります。
　3586年の今、この古代のモニュメントは、風化・劣化を防ぐため合成物質でコーティングされ、保存されています。何千年にもわたって研究されていたこの古代の建造物に、一体何があるというのか。

　地球のLFT政府は、混乱から脱却してようやく安定しつつあります。GAVÖKとの平和だ条約締結も間近。しかしこの交渉役の一人ジャイロ・クレーナックが、実はボイト・マルゴルの支配下にあるパラテンダーであったとは。
　彼は、地球を襲った謎の敵の解析を行い始めたハルノを破壊せよというマルゴルの命令に従って、行動を始めます。
　ハルノは、いまだにエネルギーを消費し尽くした状態から回復しつつあるところ。それでも、いまだティフラーら友人たちとテレパシーによるコンタクトができない。テラナーのために問題を解決するのは、まだ難しい状態。
　しかし、ローダンも、ミュータント部隊も、特にそのエースであるクッキーもいない今、頼れるのはダールトンお気に入りのハルノしかいない。さぁどうする。

　あとがきにかえて　は、五十嵐洋さん。
　一ページのみ。“アトス自治修道士共和国”という国があると知ってびっくりしたこと。ほう。　　　（2013/6/18）

		Ver. 3.00

管理番号：R400-441	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 441巻					出版社：早川書房
書名：トバの後継者	ハヤカワ文庫SF1886　ウ1-441　早川文庫7122					ISBN978-4-15-011　 C0197

881 トバの後継者		Erbe des Tba				H・G・エーヴェルス			1978/7/11	翻訳：赤坂桃子
882 銀河系の焦点		Brennpunkt Milchstraße							1978/7/18

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/1/25		購入：2013/1/16	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　881 トバの後継者

　ティフラーの表情が曇った。
　「くそ、一歩も進んでいないじゃないか！行き先がわからないままハルノが消え、未知なる勢力がクフ王のピラミッドを襲ったというのに、われわれはほとんどなにも知らないに等しい！」　　（P26)

　いろいろな意味で、人類にとって敵となる謎はまだ続きます。ガイズ=ヴォールビーラーだけでなく、別な存在も考えなければならなくなった今、未来はなお混沌。
　そのガイズ=ヴォールビーラー、分子変形能力者たちは今まで空しく求めてきた「トバ」について、新しい情報を得たらしい。彼らと、どのようにしてコンタクトすればいいのかティフラーは悩む。

　　882 銀河系の焦点
　オリンプの皇帝アンソン・アーガイリスの臣下、保安担当評議員のウルフ=シマー侯になりすました分子変形能力者アルケフトは、惑星オクストーンに潜入するのですが、あっさりと見破られます。敵として扱うには、惑星オリンプと並びオクストーンもなかなか手強い。
　ホトレノル=タアクとプヨン・アルザチェナのデコボコ道中も健在ですが、この二人がなんと驚くべきものに出くわしてしまう。

　「超越知性体！」プヨン・アルザチェナが思わずつぶやく。
　「脳ネットワーク！」と、ホトレノル=タアク。「真の超知性体だったら、ゲージエルにこのようなおろかな使命をあたえたりはしないだろう」　　（P203）

　そして、ガイズ=ヴォールビーラーは、トバについてついに真実を知ることに。

　“触れられざる者”という言葉で、キリコ・キュービーの顔が頭に浮かんで離れなくなったのは、アニヲタの血のなせるわざか。（爆）

　あとがきにかえて　は、赤坂桃子さん。
　ドイツ、ペリー・ローダン・シリーズの版元、パベル=メーヴィヒ社によるローダンの公式ホームページのこと。
　パベル社が「ヨーロッパ最大の料理本の出版社」を自負していることなどで、「グッキーの生クリーム入りニンジンスープ」とか「メルバル・カソムの牛四分の一頭分のラグー（シチュー）」などのレシピを考案したのだそうな。この企画、1999年12月のローダン・ファンの世界大会で披瀝される予定だったとのことですが、企画者クラウス・ラントグレーベと作家の一人ペーター・テリドの急死によって流れてしまったとのこと。
　そんな事があったんですねぇ。　　　（2013/7/14）

		Ver. 3.00

管理番号：R400-442	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 442巻					出版社：早川書房
書名：大ピラミッドの秘密	ハヤカワ文庫SF1889　ウ1-442　早川文庫7134					ISBN978-4-15-011　 C0197

883 大ピラミッドの秘密		Die große Pyramide				ハンス・クナイフェル			1978/7/25	翻訳：嶋田洋一
884 強者の宇宙船		Raumschiff des Miichtigen				ウィリアム・フォルツ			1978/8/1

		価格：600Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/2/15		購入：2013/2/8	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　883 大ピラミッドの秘密
　分子変形能力者、ガイズ=ヴォールビーラー、MV、いろいろな名で呼ばれる彼らとの修好の道を選んだ自由テラナー連盟は、彼らに一星系を与えることとなります。
　新たな任務、クフ王のピラミッド周辺の事象の調査を命ぜられたトルン・ファレルは、自分を襲った侵入者の死体が、瞬時にミイラ化したことを発見します。この原因が謎のガイア・ミュータント、ボイト・マルゴルによるものであることを、まだ彼らは知らない。
　マルゴルのパラテンダー、すなわち精神的奴隷がファレルのチームに侵入したことも。
　さて、クフ王のピラミッドの秘密とは、六千三百年のむかしこの中に秘匿されたもの。いったいこれはなんだったのか。

　「なんだ、これは？わたしはなにを手にいれたんだ？これのせいで破滅するような気がする」
　　（P132）

　　884 強者の宇宙船
　拘禁室の中のハイタワス・ボール、デメテル、プロンドフェアの三人と、タルマイル、カインストルの二人。
　ラルドと交渉というか、対話できるようにするために、アソゲンたちによって一瞬でウィンガー語が話せるようにされたのが、いかにも。
　＜パン=タウ=ラ＞を捜索するガネルク=カリブソと彼らが出会う時、いったいなにが起きるのか。マルゴン人とは何者か。
　ちなみに、＜パン=タウ=ラ＞の主要部分はこの時空連続体にはないらしい。

　そうそう、例によってハイタワスまでも美女デメテルに関心がを示しますが、デメテルはただ一人、ロワ・ダントンを愛しているとのこと。
　ほうほう。

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　いろいろ忙しく、ローダンの締切も延ばしてもらった、と2013年の正月に書いています。
　いろいろ、大変なんだねぇ。　　　（2013/7/24）

		Ver. 3.00

管理番号：R400-443	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 443巻					出版社：早川書房
書名：＜パン=タウ=ラ＞の戦い	ハヤカワ文庫SF1890　ウ1-443　早川文庫7135					ISBN978-4-15-011　 C0197

885 ＜パン=タウ=ラ＞の戦い		Kampf in der PAN-THAU‐RA				ウィリアム・フォルツ			1978/8/8	翻訳：嶋田洋一
886 サスコーンの世界		Welt der Suskohnen				H・G・フランシス			1978/8/15

		価格：600Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/2/25		購入：2013/2/23	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　885 ＜パン=タウ=ラ＞の戦い
　バイオフォア知性体であるマルゴン人に捕らえられ、ガネルク=カリブソがハイタワスらと共に監禁されて数時間。彼らを軟禁場所から救い出したのは、石化してしまったウィンガー、アルクァスでした。＜パン=タウ=ラ＞の中をさまよううちに発見したのは、オン量子とノーオン量子の貯蔵庫。荒廃しているこの巨大な播種船の中でも、いまだまともな箇所もあるらしい。
　“オービター・ゾルグ”と、彼が行動を共にしていた、監視騎士団の一員であり最後の“深淵の騎士”であったヴェイルトのイグソリアンという存在は、今後どのように人類の運命に関わってくるのか。

　ハイタワス、ガネルク=カリブソ、デメテル、プロンドフェアの四人は、＜バジス＞そして＜ソル＞と合流できるのか。物質の泉とは何なのか。

　　886 サスコーンの世界
　“あれ”というものを持っている者だけが勝利できるという。ウィンガーであるカダエルは、その“あれ”を手に入れた勇者となったことを自覚し、巫術師の脅しさえ跳ね返すようになったのだった。“あれ”とはいったい何なのか。

　＜ソル＞の士官食堂に現れたのは、久しぶりのガルト・クォールファート（おお、バージョンアップされてもATOKくんは覚えていてくれたぜ！ｗ）。ローダン、ブル、アトラン、デメテル、プロンドフェアらのテーブルにどっかと座り、話に割り込む。
　強者ガネルクが＜ソル＞を去ったあと、結局＜パン=タウ=ラ＞の現状はわからないまま。招聘されたウィンガーが探索の旅に出た目的は〝目〟をさがすこと。おそらくデメテルもその一員で、一万年ほど前に派遣されてテラに来たに違いない。
　この中で、ヴェルガースペアを旅立ったウィンガーの中でここに到達した者もかなりいるはず。しかしそこで、招聘された者たちの話をしているうちに、プロンドフェアは奇妙な事に気づく。

　「・・・数千人、もしかすると数十万人がこの方法で招聘され、捜索に送り出されました。招聘はウィンガーの全氏族が対象になります。ルフケ族は惑星クシュールから、ゾルベ氏族はアルワイルスから、ドプラー氏族はバルサインから、アゴルファー氏族はカルネイトから、グリセ氏族はムルシャイレから、ベルテ氏族はサインから、サスコーン氏族は・・・」
　プロンドフェアはとまどったように言葉を切り、周囲の顔を見回した。「サスコーン氏族の出身惑星はわかりません。そういえば、なんの役割もはたしていないはず」　　（P149-150）

　サスコーンとは、いったい何者？そして思い出す。長身のプロンドフェアはかつてその大柄な体格から、サスコーンの末裔かもといわれたことがあるそうな。すなわちテラナーの標準的な体格に近いということになる。
　ここでローダンの目がきらりの光る。サスコーンになりすまして潜入できないか。
　そしてもうひとつ、デメテルがサスコーンの母星の座標を知っていたこともあきらかに。その惑星サインデルベーンに向かう＜ソル＞。
　先ほどのメンバーにラス・ツバイとフェルマー・ロイドを加えた８名がサインデルベーンに上陸。そこで何を見たのか。

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　１ページのみです。成人の日の大雪のこと。そんな事があったんだね。

		Ver. 3.00

管理番号：R400-444	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 444巻					出版社：早川書房
書名：マルゴン人襲来	ハヤカワ文庫SF1892　ウ1-444　早川文庫7146					ISBN978-4-15-011　 C0197

887 行方不明者		Die verschollenen				H・G・フランシス			1978/8/22	翻訳：青山茜
888 マルゴン人襲来		Überfan der Malgonen				クルト・マール			1978/8/29

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/3/15		購入：2013/3/15	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　887 行方不明者
　表紙絵の緑色の顔は、この本で正式デビューするマルゴン人．．．　ではない。ウィンガーの一種族、とうに絶滅したと思われたサスコーン人に化けたテラナーの一人。ローダン自身かもしれない。
　二万年前のサスコーン族は、身長が1.85メートルほど。現代のウィンガー族より長身なのは明らかですが、その大きな違いはほんのりとライムグリーンに輝く肌の色なのだそうな。頭髪は銅色の髪。それ以外には体毛はなし。
　地球というせまい世界にこれほどまでに多種多様な人種がいたのとは事なり、宇宙の人類的種族が住む惑星には、常に非常にバリエーションのせまい気象とその条件に従ったわずかな差異しかない人種が住んでいるもの。（Don't think. REEEEEEAD ! 　考えるんじゃない、読むんだ！ｗ）
　さて、サスコーンの惑星サインデルベーンにおりたテラナーの一行、かつてのサスコーンの宇宙船らしき＜1=デロン＞を整備して、二万年前のサスコーン種族として「宇宙の全車輪」へ「帰還」します。
　長い年月の間にかつての言語がそのまま使われていたとか、テクノロジーやメンタリティがさっぱり変わっていなかったことなどはささいなこと、問題は相手をそのまま騙し通し、＜パン=タウ=ラ＞の謎を解けるか、という一点。
　しかし同時にローダンには、同時に＜ソル＞船内でのソラナーの船内での騒乱も気になります。何やら企んでいるらしいが、今のところはおとなしいようです。

　さて、ヴェルガースペアにサスコーンとして潜入したローダンら、＜パン=タウ=ラ＞を発見できるのか。

　　888 マルゴン人襲来

　マルゴン人とは、このエピソードの冒頭でその姿を示します。

　それは見たこともないほど巨大な生物だった。身長240センチメートルはあるにちがいない。体は逆三角形をしており、底辺が肩の部分にあたる。三角形の頂点の両わきから、短いが並はずれた太さの脚が一本ずつはえ、肩からは右腕が二本、左腕が一本伸びていた。腕は奇妙なほどみじかく、おや指一本をふくめ四本の指がそれぞれの腕に生えている。肩の中心に、ほぼ級形をしたちいさな頭がのっており、陰険に光る目がふたつあった。人間の鼻に当たる部分には呼吸をする穴が開き、さらに、唇の薄い横に広がった口がある。からだはしわだらけで、薄汚れたグレイのカバーでおおわれている。それは衣服かもしれないし、怪物の肌そのものかもしれない。一方、頭蓋は色が異なり、不自然に白かった。　　（P143-144）

　知性のなさそうな愚鈍なこの怪物、いったい何者なのか。
　クオストートの支配者、ラルドは、住民たちにこのマルゴン人を追い払えと命じたのか。
　謎のクオストートの世界の様子が、また一つ解明されます。

　あとがきにかえて　は、青山茜さん。
　最近ネコにはまっている、という話から始まり、ネコの祖先であるリビア・ヤマネコの話、そしてリビアの砂漠で勇猛に戦ったドイツの名将エルウィン・ロンメルと、その活躍を描いた松谷健二氏翻訳によるパウル・カレル著「砂漠のキツネ」の話。
　ひとくくりドイツの北アフリカにおける戦略を語ったあとに、再び松谷健二氏のこと。
　教師としての仕事を続けながら、一度も締切をしくじったこともなく、あれだけの翻訳を成し遂げたひと。

　「偉業」のひと言に尽きる。　（P269)

　まさに。　　（2013/08/18）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-445	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 445巻					出版社：早川書房
書名：クオストート防衛戦	ハヤカワ文庫SF1893　ウ1-445　早川文庫7147					ISBN978-4-15-011　 C0197

889 クオストート防衛戦		Der Kampf um Quostoht				クルト・マール			1978/9/5	翻訳：五十嵐洋
890 ハイパー空間につづく〝目〟		Auge zum Hyperraurn				エルンスト・ヴルチェク			1978/9/12

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/3/25		購入：2013/3/22	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　889 クオストート防衛戦
　＜1=デロン＞は、強者バルディオクの〝播種船〟すなわち＜パン=タウ=ラ＞の正面にいます。こことコンタクトが取れないものかと、サスコーン人ダネアことペリー・ローダンは考える。しかし、支配者ラルドの従者モルグデーンに強要してラルドとの面会をはたしたとき、驚くべきことがわかります。ラルドが数千年以上にわたってウィンガーの中から「招聘されしもの」を選抜し、探査の旅に送り出していた〝目〟のシュプールを、ダネアが発見したと報告したのに、まったく耳を貸さない。いったいこれはどうしたことなのか。
　クオストートに連れて行かれたダネアら、サスコーン人に偽装した＜1=デロン＞の乗組員約300名は、他のウィンガーたちと共に、“蒼白の境界”の向こう側の世界から来たマルゴン人たちの襲撃に対抗する事となります。“無敵の者”の使命を果たすために現れたというマルゴン人の意図は何か。“なみはずれた力の支配者”とも名乗るらしいその存在は、はたして敵か味方か。

　　890 ハイパー空間につづく〝目〟

　ルーワー（右図）の若者、ゴラン=ヴランは、瓦礫人として呼ばれる彼らが、支配者であるプラズマ生物デュアデにコントロールされる“通常意識”の下のあって、彼らルーワーの真の技術的遺産を隠している“深層意識”を意識できるまで成長しました。この深層意識への精神的な防壁を自分で制御できるようになれば、塔守にまでなれるのだという。
　長年の探索によって〝物質の泉〟のありかを知ったルーワーたちは、そこに至る〝鍵〟を手に入れる事ができるはずでした。しかしそれは失敗します。しかも、事情を察知したデュアデによるテレパシー性インパルスも強まり、状況は暗転します。〝鍵〟となるものは単に〝物体〟として知られていたのですが、それこそが新しい未来へ希望を繋ぐ〝目〟なのであり、〝泉のマスター〟の作戦が成功すれば、それを受けとることができるのだという。
　今まで反感を抱いてきた先輩の宙航士ファンツァン=プランに新たな展望をきかされ、唖然とするゴラン=ヴラン。

　いつまでたっても陰謀をやめず、その正体がいつまでたってもローダン陣営に突き止められない奇特なガイア・ミュータントであるボイト・マルゴルは、なぜ過去の謎に介入し、なんとこの〝目〟を奪ってしまう。再びマルゴルに捕まってしまったデブで知恵遅れの少年ニキの運命や如何に。
　なんと言ったらいいのか、この展開。

　ゴラン=ヴランのお話を見ていて、フォルツの回に現れたあのプロンドフェアをなぜか思い出しました。優れた能力を持っているようですが、クソ生意気で傍若無人で自分勝手な若者、という姿。何か教訓を感じるけど、考えすぎかな？(笑)

　あとがきにかえて　は、五十嵐洋さん。
　紙数に余裕があるからといって、千話、日本版で500巻までの原題と日本語仮題をずらりと。
　ローダンものらしいエッセイ風あとがきはなし。今思うと、いずれこのチームから去って行く五十嵐さん的には何か思うところがあったんじゃないか、などと勘ぐってしまう。あは。　　（2013/8/31）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-446	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 446巻					出版社：早川書房
書名：神々の贈り物	ハヤカワ文庫SF1895　ウ1-446　早川文庫7163					ISBN978-4-15-011　 C0197

891 神の贈り物		Geschenk der Götter				ハンス・クナイフェル			1978/9/19	翻訳：渡辺広佐
892 永遠の複眼		Facetlen der Ewigkeit				エルンスト・ヴルチェク			1978/9/26

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/4/15		購入：2013/4/12	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　891 神の贈り物
　なんだかわからないが〝目〟を手に入れてしまったボイト・マルゴル。自分のパラテンダーすなわち精神的奴隷を駆使してこの使用法を探ります。その結果わかってきたのは、この装置を使うと別な時間、別な世界を見ることができると言う事。音声も、むろん。
　そして彼の目の前に見えたのは、紀元前、ファラオ・クフ王の時代のエジプト王国。
　この宝物、マルゴルの持つ〝目〟が、どのようにしてエジプトの民の前にもたらされたのか。そしてそれは、ピラミッドの底にどうやって埋められたのか。ピラミッドの横に座すスフィンクスの秘密。
　そしてマルゴルはつぶやく。

　｢過去をさまよえばそれだけ、現在をコントロールしにくくなる｣　　（P73)

　これは何を意味するのか。神々の贈り物を、彼はどのようにしようというのか。

　さて、他の三人のガイア・ミュータント。マルゴルがピラミッドから謎の物体を運びだしたことを知り、それによってマルゴルがさらに恐るべき権力を手にするであろう事も知ります。そして彼らは、ティフラーらテラの首脳と完全に協力して、マルゴルに対抗する事も決めた。
　しかし、優柔不断で心やさしい彼らは、マルゴルが存在すればこれからも多くの人々の生命が失われるとわかっていますが、そして彼ら抜きではマルゴルを圧倒できないと知っていますが、彼を本気で殺すことに荷担できません。なんと人道的な人々。

　だから、マルゴルさんはこの後日本版の471巻まで御足労いただくことになります。おや、ま。

　　892 永遠の複眼
　テラに向かうルーワー一万八千隻の大艦隊。圧倒的な火力、圧倒的なテクノロジーで迫る彼ら。
　クフ王のピラミッドに隠されたものを回収に来たのだという。
　その目的を知った太陽系首席テラナーであるティフラーは、ロナルド・テケナー、ジェニファー・ティロンを含む使節団を派遣し、遺憾なことにそれはすでにボイト・マルゴルといういちテラナーによって盗まれた、と釈明する。
　それに対するルーワーの返答が、メンタリティの差を思い知らされるもの。

　「嘘はもう充分だ、ロナルド」ついにヘルゴ=ツォヴランが、「一個人がおのれの種族に害をおよぼすなどということを、大まじめでわたしに思いこませるおつもりか？そのようにとんでもないナンセンスを語るなど、わたしには非常に不快なこと。あいは、抑圧者の束縛のもとで絶望するあまり、テラナーは万策つきたのか？」　　（P206）

　むろんあまりにもメンタリティがことなる異種族ですが、互いのファーストネームを呼び合うのが礼儀であるという共通点を持ちます。これが銀河いったいの常識であることは、たいした問題ではない。
　しかもテラナーが、角と翼があるルーワーを堕天使として恐れるのは、人類全ての常識的な過去の記憶である、らしい。そこで、交渉の決裂が近づくにつれ、ルーワー帰れのデモがティフラーを悩ませます。
　このような政府首脳の意に反する行為を行うテラナーという種族を見ると、ルーワーの方も困惑するばかり。
　はたして、この先はどうなるのか。

　あとがきにかえて　は、渡辺広佐さん。
　　春霜を踏みて向かふは相模(さがみ)かな
　
　という句から始まる旅の話。富士山のふもとのいろいろ。宗我神社の鳥居わきの文学碑の話など、面白そうな話が並んでいるんですが、俳句から始まって、どうも鐵太郎の趣味とは違う世界かなぁ。うむう。　　（2013/9/7）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-447	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 447巻					出版社：早川書房
書名：ラルドの兵士	ハヤカワ文庫SF1896　ウ1-447　早川文庫7164					ISBN978-4-15-011　 C0197

893 エデンⅡとの離別		Abschied von Eden II				クラーク・ダールトン			1978/10/3	翻訳：嶋田洋一
894 ラルドの兵士		Soldaten des LARD				ウィリアム・フォルツ			1978/10/10

		価格：600Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/4/25		購入：2013/4/26	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　893 エデンⅡとの離別
　超科学技術によって半球型になってそのまま維持されている惑星エデンⅡ上の二重コンセプト、エルンスト・エラートとゴルスティ・アシュドン少年のお話。

　〝助けようとしたが、むだだった！　わたしは近づきすぎたのだ！　いま、わたしは落ち、消えつつある・・・〟　　（P12)

　という言葉を残して去って行った〝それ〟のことを考える彼ら。何かあったのなら、なんとかして助けなくてはならない。人類のみならず、この宇宙にとって〝それ〟の存在はあまりに貴重。
　エデンⅡのコミュニティを追われた彼らは、700キロほど離れたカントロフと言う集落に徒歩で向かいます。そこで彼らが見たものは。
　1500年前に一度肉体を失って精神だけで永遠の時空を放浪したエルンスト・エラートは、またしても故郷に別離を告げることになるのか。

　　894 ラルドの兵士
　こちらはクオストートに潜入した、サスコーン人に扮したローダンらの一行。播種船＜パン=タウ=ラ＞の13分の1を支配するラルドの裏をかく手段を画策中です。
　今回の本の表紙は、「マスクの男」ことアラスカ・シェーデレーア。ローダンの命令で探索を続けるうち、顔をおおうカピンの断片が異常な状態になったことに気づきます。なんと、この半生物が死につつあるらしい。かくして、orz のポーズでマスクを外して顔の激痛に耐えるアラスカの姿が表紙を飾ることに。顔のカピンが死滅すれば、アラスカの命も危ない。
　このカピンの断片を自分の顔に移せばいい、と言いだしたのは、アウグストゥス。もしそれができれば、K=2型ロボットであるアウグストゥスに生物であるカピンが取り憑いたとしても、なんの問題もない。はたして彼（？）の考えはうまくいくのか。
　もしそうなったとすると、アラスカ・シェーデレーアは「マスクの男」ではなくなり、彼を不死者の一人とした能力も何もないただの長いこと生きた男になってしまうんですが。(笑)

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　友人が二人、相次いで亡くなられたとのこと。

　三年前に亡くなった妻もそうだが、ここ数年、五十年代前半の友人たちが何人も鬼籍に入った。みんな昭和三十年代生まれで、「人工着色料とか人工甘味料がたっぷり入ったものを食べてた世代だから、ひ弱なんだよ」と冗談を言ってきたが、冗談になっていないかもしれないと思えるほどだ。　　（P255)

　ああ、なるほど。そうなのかもね。
　鐵太郎も、いつ逝ってもいい年なんだなぁ。ふう。　　　（2013/9/22）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-448	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 448巻					出版社：早川書房
書名：謎のフェーロトブラガー	ハヤカワ文庫SF1901　ウ1-448　早川文庫7179					ISBN978-4-15-011　 C0197

895 謎のフェーロトブラガー		Herren der PAN‐THAU‐RA				ウィリアム・フォルツ			1978/10/17	翻訳：嶋田洋一
896 反乱者		Die Meuterer				H・G・エーヴェルス			1978/10/24

		価格：600Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/5/15		購入：2013/5/10	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　895 謎のフェーロトブラガー
　フェーロトブラガー（Fährotbrager）とは、巨大な芋虫状の車両。全長22メートル、幅2.9メートル、高さ2.6メートル。出だしの場面は、これとともに＜パン=タウ=ラ＞の司令室に向かう、サスコーンに扮したローダンたちの御一行。疲労しきったコマンドをなおも進軍させる、細胞活性装置を持ったローダン。
　フェーロトブラガーにはラルドのいう論理エレメントが搭載されており、ラルドのロボットが警備しています。しかし本当に論理エレメントなるものが搭載されているのか。
　また、彼らに同行しているヴォーグヘ（Voghe）のオービター・ゾルグ（Orbiter Zorg）も謎。生き残った最後の騎士ヴェイルトのイグソリアン（Igsorian von Veylt）を探索しているという。この宇宙に正義と秩序をもたらす監視騎士団がいなくなれば星々は消滅する、などと言われても、信じろという方が無理ではないか。

　さて、強者ガネルクの登場とか、男たちが次々とデメテル惚れ込んじゃう秘密とか、いろいろな話が出てきますが、興味の先は「マスクの男」ことアラスカ・シェーデレーアのその後だったけど、なぜかあっさりと現状維持でスルーとなりました。
　そのせいで、女王が支配する昆虫的生態系というか、昆虫式の政治体制のお話もなんとなく軽い感じ。なんだろね。

　　896 反乱者
　語り手となるのは、いま何歳になったのか不明な「aクラス火星人」タッチャー・ア・ハイヌ。
　3388年生まれで「いま」は3586年なので、198歳らしい。ネットって便利。∠(,⌒-⌒)
　パートナーである半分サイノスのデブのチベット人、ダライモク・ロルヴィクと例によってトムとジェリーごっこをしていますが、ソラナーに襲撃されて気を失い、気づくとロルヴィクが偽物らしい。どうやら、外観だけ良く似たケベック・ガイデンバルがなりすましたらしい。すっとぼけてそのまま騙されたふり。なにしろ、ロルヴィクは何があっても死んだり、まして傷ついたりするシロモノではないし、あいつのイジメがやむならそのままでいい、と考えるタッチャー。
　はたしてこの＜バジス＞を襲う危機の中で、彼らの運命はどうなるのか。

　あとがきにかえて　は、また嶋田さん。開花が異様に早い春を迎え、3月24日というベストタイミングで花見の宴をしたのだそうな。場所は神奈川県中川温泉。信玄の隠し湯の一つだそうな。
　　年年歳歳花相似　歳歳年年人不同
　人の流れと時間の流れ。年を取るとはこう言うものか。　　（2013/10/13）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-449	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 449巻					出版社：早川書房
書名：＜ソル＞破壊工作	ハヤカワ文庫SF1902　ウ1-449　早川文庫7180					ISBN978-4-15-011　 C0197

897 魔法のいぶき		Ein Hauch von Magie				H・G・エーヴェルス			1978/10/31	翻訳：赤坂桃子
898 ＜ソル＞破壊工作		Der Saboteur				マリアンネ・シドウ			1978/11/7

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/5/25		購入：2013/5/24	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　897 魔法のいぶき
　ローダンら〝サスコーン〟の攻撃が昆虫生物の反撃により頓挫し、たちまち絶体絶命の危機に。
　奇跡でも起きなければ、全滅を免れない。さぁ、どうする。

　この陰で行われたタッチャー・ア・ハイヌの戦いが、今回のテーマ。
　彼が＜モントロン＞で＜ソル＞より衛星〝シャルルマーニュ〟に偵察に向かった小部隊と合流します。やたらげっぷをする、げっぷがイロコイ族インディアンの習慣なのだといい、自分はその子孫であると主張する青白い顔、赤毛、青い目のソラナー、カヴェル・タバコ・ブラックフットという愉快なキャラが出てくるのも、エーヴェルスらしさか。
　さて、今日ミュータントであるダライモク・ロルヴィクの能力は発揮されたものの、口外するわけには行かなくなりました。なぜか。

　「ということは、わたしはここにいないことになる！」ロルヴィクは驚愕して、「それじゃ、きみと話ができるのはなぜなんだ、お嬢さん？」　　（P118)

　かくして衛星シャルルマーニュは母星に突っ込み、昆虫族アンスク人の女王ブルイルダナは死を選び、新女王の座はドラニアのものとなる。この間、なにがあったのか。
　死を覚悟して戦っていたローダンらに奇跡をもたらしたもの、それは一体何だったのか。

　　898 ＜ソル＞破壊工作
　＜ソル＞からテラナーたちが去り、西残されたソラナーたちが行ったのは、備蓄の食料をがつがつと食べること。この飽食三昧シーンを苦々しく見つめるレジナルド・ブルらには、その訳が分からない。
　食料を無駄にすることは、彼らのメンタリティーが本来許さないもの。しかし船内施設で合成できない食料など、実は彼らは見たくもなかったのでした。そこでソラナーが行ったのは、それら「自然の材料による」食料をすべて食い尽くすこと。
　これが、ソラナーなりの決別の意思の表れなのでした。

　このさなか、＜ソル＞の船内で、奇妙な事件が頻発します。小規模な破壊工作で、何らかの意図によるもののようですが、その意図も方法もわからない。
　しかしこれが、テラナーの女性ミュータント、イルミナ・コチストワに会いたいと願うソラナーの少女スターファイアと関連があるとは、誰も思わなかったのでした。
　表紙絵はイルミナと、スターファイアの双子のきょうだい、少年フェザーゲーム。
　イルミナは、メタバイオ変換能力者です。その能力を利用して病気の患者の治療を行い、それを見ていたスターファイアに何らかの影響を与えたらしい。少女はフェザーゲームと別れる事は出来ない心理的葛藤がありながら、＜ソル＞をおりてテラに生きたいと願います。困惑しつつ、その裏に何があるのかとさぐるイルミナ。

　女性らしい、という表現は適切かどうかわかりませんが、作家はマリアンネ・シドウ。今回の少女の心の揺れは、ローダン世界では珍しい描写でした。

　あとがきにかえて　は、赤坂桃子さん。
　半年前にブレンダー（ミキサー）を買ったので、毎朝果物ジュースを飲んでいるとのこと。「朝の果物は金、昼は銀、夜は銅」と小さいころ母親にさんざん言われてきたことが、今になって効いてきたのでは？だとか。
　ほうほう。　　（2013/10/29）