ローダン 460-469

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PerryRhodanリスト

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　宇宙英雄ローダン　460～469　

巻数	書　名	作　家
460	殲滅の島	H・G・フランシス
461	シャルツォでのコンタクト	クラーク・ダールトン＆マリアンネ・シドウ
462	ハイパー空間パニック	エルンスト・ヴルチェク
463	謀略のサイコド	H・G・エーヴェルス
464	パラテンダーの円舞	ハンス・クナイフェル＆エルンスト・ヴルチェク
465	解体屋たち	ウィリアム・フォルツ
466	輝ける虜囚	クルト・マール
467	強者グッキー	H・G・フランシス
468	最後の宙賊	クラーク・ダールトン＆マリアンネ・シドウ
469	オービターの無敵艦隊	H・G・エーヴェルス

★このページはUnicodeです。★

		Ver. 3.01

管理番号：R400-460	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 460巻					出版社：早川書房
書名：殲滅の島	ハヤカワ文庫SF1925　ウ1-460　早川文庫7265					ISBN978-4-15-011925-6 C0197

919 ロボットとの決闘		Duell mit einem Roboter				H・G・フランシス			1979/4/3	翻訳：赤坂桃子
920 殲滅の島		Insel der Vernichtung							1979/4/10

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/11/15		購入：2013/11/10	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　919 ロボットとの決闘
　ガルト・クォールファートが、若いロボット専門家のヴェルナ・テランの計画にダメ出しをするシーンから始まります。

　「わたしにはすごく興味がある任務だけど．．．ライレは謎だらけだから、一生かかってもその秘密のすべてを解きあかすことはできないかもしれないわ」
　「それはきみが愚かだからさ」と、スープを飲み込みながらガルト。
　「あなたって、嫌な人！」
　「そうさ、あいにくね」と、かれは皿から目を上げ、「否定はしないさ」　　（P9）

　なにが問題かというと、ヴェルナとしてはライレにもっと注目すべきだと考えているのです。ただの勘かもしれないけれど、どうも気になる。
　ライレははるかな過去、彼の左目を奪った種族の末裔であるルーワーのパンカ＝スクリンを今もなお警戒し、憎んでいるのではないか、と考えたヴェルナは、その荒唐無稽なアイディアをなんとローダン、アトランの二人に伝えます。笑い飛ばされるかと思ったその行為が、何を暴き出したのか。
　ちなみにライレはその間に、通常の合金をはるかに強化した分子構造を持つ小さな「皿」をこっそり作っていました。
　で、これをなにに使ったのかというと．．．　絶句してしまう。
　こ、これって笑いどころなのか？

　ちなみに＜バジス＞は、直径1200メートルに及ぶテーベ級戦艦を16席も格納する超々巨大な船であるらしい。
　いったいどのくらいでっかいのかねぇ。

　　920 殲滅の島
　わざとらしくパンカ＝スクリンと和解して見せたライレですが、実はパンカ＝スクリンと一対一の決闘をする覚悟を固めています。このことは誰にも知られていないと思っていますが、周囲の目にはそんなことは見え見え。しかもライレは、左目を数十万年前に盗まれた事を警戒して、盗んだ種族のはるかな末裔であるパンカ＝スクリンにもうひとつも盗まれてはならんとばかり、小さな穴を無数に開けた超硬金属の皿を右目に貼り付けています。
　この奇妙な姿で、ライレは惑星テルツォウィーレの上陸班に志願します。パンカ＝スクリンも同様に志願。
　これを許可するローダンの意図が、船内で戦闘行為をされてはかなわない、という事であるのは公然の秘密。
　なぜか惑星に降下する二人だけは、まったくこれに気づかず、うまくテラナーらを騙したと信じています。
　かくして、惑星上の小さな島は地獄となり、島の住民に取っては大災厄となります。この決着はどうなるのか。

　もしかするとこの前後二編は、フランシスの壮大なギャグではないのか、というのが読後感。うーむ。

　あとがきにかえて　は、赤坂桃子さん。
　エーヴェルスが9月19日に他界したというニュースと、その経歴。ほう。
　ちなみに、ローダン作家ページというページを制作中です。まだまだ途中だけど。　（2014/4/13）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-461	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 461巻					出版社：早川書房
シャルツォでのコンタクト	ハヤカワ文庫SF1926　ウ1-461　早川文庫7266					ISBN978-4-15-011926-3　 C0197

921 シャルツォでのコンタクト		Kontakt auf Scharzo				クラーク・ダールトン			1979/4/17	翻訳：増田久美子
922 火の玉襲来		Invasion der Feuerkugeln				マリアンネ・シドウ			1979/4/24

		価格：600Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/11/25		購入：2013/11/23	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　921 シャルツォでのコンタクト
　なんと、910 テレパスの惑星 の続きです。まァ、続くのがあたりまえなのですが、メインの話が錯綜している中、しばらくわりこむ隙がなく、ダールトンさん一人でこの話を暖めていたらしい。おお。

　＜カルマ＞と名付けたセドアーの斥候船でガヌール銀河をあとにしたエルンスト・エラートとゴルスティ・アシュドンの二重コンセプトは、浮遊ロボットのアクロバスとともに、銀河系空間を光速の数千万倍の速度で疾駆しています。惑星セドから脱出し、絶対的な不死者である〝それ〟のかすかな手がかりを探索中です。
　しかし自分たちに自由にコースを選べるわけではないらしい。船は未知の銀河の惑星に着陸することになります。その惑星は、シャルツォといいました。
　人類とはまったく違う進化を遂げたシャルツォ人は、知的生命ですからむろんテラナーと同じ外観です。（笑っちゃダメ！）彼らは着陸した謎の未確認飛行物体、略称「ＦＦＧ」の謎を解明するために危機管理委員会が招集しました。しかし平和的なコンタクトを求めるグループとそれに反対する者たちの意見が錯綜して結論が出ないまま、混乱が続きます。彼らはそれでなくてもエネルギー不足、資源不足、環境汚染、人口過剰などの問題を抱えているらしい。
　彼らと会話したエラートの頭に、ある言葉が。

　ローマ・クラブ・・・・
　そう！　二十世紀なかば、そういう名の組織があった。専門家の集まりで、正確な計算をもとに人類の自滅を予測したもの。アルコン人の宇宙船が月に不時着しなかったら、その陰鬱な予言が実現していたかもしれない。　　　（P82）

　この当時、1979年頃、ローマ・クラブが評判になったのでしょうか。理想主義者のダールトンは、人類の行く末について絶望的に思うことがあったのかもしれない。突破口としてのローダン世界なのだとすると、なんだかなぁ　なのですが。

　で、人類とはまったく違う進化をしたシャルツォ人は、まるでパニックを起こした西欧の人々みたいな反応をして、エラートたちはそこを脱出することとなります。
　ま、これも幕間劇なのですが、　　・・・なんだかなぁ。

　ちなみに、最近気づいたのですが、日本版のマルペ文庫本の表紙絵が、ドイツ本家のローダン百科Perrypeiaに載っています。
　なんと！

　　922 火の玉襲来
　テラ上空に、謎の飛行物体が現れます。この飛行物体は、はるかな古代、20世紀ごろに注目された社会現象との共通点が指摘され、ＵＦＯと呼ばれます。いったいこれは何者なのか。
　ルーワーのせいではないか、という声が出てきます。何でもルーワーのせいにするのは危険と考える者もいる。
　過去のＵＦＯの記事を掘り起こしたジャーナリストのガイダー・バーストと、その助手をしていたローンサイト人のセルナが、これに巻き込まれます。さらにこのＵＦＯによる失踪事件も発生します。
　いったい何が起きたのか。

　いわゆるＵＦＯが注目されたのは1950年代後半あたりかららしい。これが書かれた1970年代後半、ドイツで何回目かのブームがあったのでしょうか。それにしても、超光速航行を1500年以上行ってきたテラナーの技術を持ってしても解明できない、大気圏内を視認できる速度で飛行する飛行物体って、いったいなんなのでしょうか。
　この謎はそのうち解明されるんでしょうかね？

　あとがきにかえて　は、増田久美子さん。
　いつもの発作が起きて、今年はドイツへのチケットが取れなくて、空席だったウィーン行きに乗ったそうな。
　そしてウィーンでのひととき。一週間の別世界。
　こんな息抜きって、面白いね。　　（2014/4/21）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-462	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 462巻					出版社：早川書房
書名：ハイパー空間パニック	ハヤカワ文庫SF1930　ウ1-462　早川文庫7284					ISBN978-4-15-011462-　 C0197

923 ハイパー空間パニック		Panik im Hyperraum				エルンスト・ヴルチェク			1979/5/1	翻訳：渡辺広佐
924 サイコドの呼び声		Lockruf der Psychode							1979/5/8

		価格：600Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/12/15		購入：2013/12/6	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　923 ハイパー空間パニック
　西暦3587年。久しぶりのホトレノル=タアクとプヨン・アルザチェナのデコボコ道中。どうやらしばらく別れていたらしいのですが、惑星オリンプで合流し、久闊を叙します。エレクトロン・ポジトロン装置のおもちゃを作るホビー=バザール社の社長となったプヨンですが、どうも事業のセンスはないらしい。
　ラール人ホトレノル=タアクは、SVE艦である＜ゴルセル＞を、暗黒星雲内のハイパーエネルギー流によってエネルギー充填できるようにして、なんとか飛べるようになったらしい。
　しかし、銀河系を航行中、エネルギー不足で立ち往生。
　このおマヌケな御一行に、バヤによって〝目〟を奪われてにっちもさっちもいかなくなったボイト・マルゴルとパラテンダー御一行が合流。〝目〟がないので空間を自由に移動できる能力はなくなったものの、マルゴルの持つアミュレットの威力は健在。
　あっという間にホトレノル=タアクとその御一行は、マルゴルの精神的なとりこになってしまいました。
　．．．とさ。ありゃま。

　　924 サイコドの呼び声
　首席テラナーであるジュリアン・ティフラーのもとに現れたルーワーの使節は、〝目〟がルーワーの元に戻ったと伝え、ティフラーを驚愕させます。その情報は、一辺が25センチほどのキューブに納められた少女バヤ・ゲレルの無邪気な報告によってもたらされます。

　「どうやったらボイトに悪いことをやめさせられるか、そればかり考えていたわ。わたしに対してはしないんだけど、ほかの人たちには平気で悪いことをするの。病気じゃないかと思うくらいよ。だけど、治せないこともないと思う。あの人を地球に連れていこうとした理由はそれなの。でも、・・・」　　（P143-144）

　大丈夫、ボイト・マルゴルは世界を征服して悪の帝王となることをめざす根っからの悪人ですから、そんな説得ごときには負けません。
　新しくパラテンダーになったラール人、ホトレノル=タアク御一行を連れて、かつてのガイアのあるプロヴコン・ファウストの暗黒星雲に、わざわざ真空案内人を仕立てて潜入します。
　彼の子を身籠もったという酔狂なおねーさんもいたりして、なんだか和やかな雰囲気ですが（おい）、この先どうなるのか。
　どうなるんでしょうね。まだしばらく悪の帝王をめざして悪いことをする予定のようです。ボイト・マルゴルくん。

　あとがきにかえて　は、渡辺広佐さん。
　一ページだけ。伊勢神宮のことと、立山黒部アルペンルートのこと。
　それと、一句。
　　　　　　新涼の真っ只中や星鴉
　ちなみにホシガラスとは、こんな姿（右写真）です。黒くないのね。　（2014/4/26）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-463	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 463巻					出版社：早川書房
書名：謀略のサイコド	ハヤカワ文庫SF1931　ウ1-463　早川文庫7285					ISBN978-4-15-011463-　 C0197

925 謀略のサイコド		Boten der Finstemis				H・G・エーヴェルス			1979/5/15	翻訳：青山茜
926 ラドニア・サイコド		Das Ladonnia-Psychod							1979/5/22

		価格：600Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2013/12/25		購入：2013/12/21	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　925 謀略のサイコド
　テラ暦3587年3月10日、ホトレノル＝タアクはガイアで先ツォッター（Prä-Zwottern）芸術の展覧会を開催します。この展示会の目的がなんにしても、人類に見捨てられた暗黒星雲プロヴコン・ファウストに注目が集まるのはいいことかも。
　とはいえ、これが宇宙を征服しようという野望に燃える悪の帝王、ボイト・マルゴルの肝いりとなると、なんともはや、なのですが。
　ツォッター人によって作られたサイコド（Psychod ）を手にしたことにより、かつて銀河の帝王であったホトレノル＝タアクだけでなくハルト人まで奴隷化できる見込みのボイト・マルゴルは意気揚々としていましたが、その権力の中枢たるラドニア・サイコドが誰かの手によって強奪されたことを知って驚愕します。その犯人たるヴィンクラン人を捕らえたものの、なぜこれが盗難にあったのか疑問は残る。
　しかも、ハルト人四名が現れたとき、この異星人たちと自分、無敵のボイト・マルゴルの間に“プシ親近感”が存在しないために彼らを支配できないことに気づき、愕然とすることに。
　とはいえ、“プシ親近感”がなくてもサイコドの放射によってハルト人を支配できるらしいとは、何といううまい設定。悪の帝王マルゴルは無敵です。

　ジュリアン・ティフラーは、ようやくルーワーの不審を解くことに成功します。それは、テラナーが結託して〝目〟をルーワーから奪ったというもの。これが、ボイト・マルゴルという一人の反逆者が首謀する組織により行われたものであることは、ルーワーの実現態思考では今までまったく理解できなかったため。この誤解をバヤ・ゲレルの仲介によってようやく解けた訳。

　　926 ラドニア・サイコド
　半有機脳とテングリ・レトスが搭乗する永遠の船に、ハルト人の黒い十六隻の球形船が襲いかかります。反撃して十六隻を殲滅するのは、知性体への暴力の行使という光の守護者テングリ・レトスみずからの法に反する。彼はラドニア・サイコドにはりつく悪しきものを分析する作業を続けるためにも、永遠の船で脱出することを選びます。
　サイコドから放射されるなにものかが知性体を操作する秘密を、一刻も早く解かねばならないとテングリ・レトスは考えています。ラドニア・サイコドは圧縮パラプラズマでできた、人の背丈ほどもある柱。白いヒューマノイドに似た彫像のように見えます。元々は害のないものだったはずですが、根底に悪しきものを持つ超心理性の再プログラミングによって歪められてしまったらしい。

　白い彫像を持ってジュリアン・ティフラーの元を訪問したラール人ロクティン＝パルたち。1メートル半の白い円柱で、魅惑的なヒューマノイドの女性像を自由テラナー連盟首席テラナーに手渡します。“ニンフと真実”というこの彫像に喜ぶティフラー。
　ホトレノル=タアクやプヨン・アルザチェナだけでなく、このラール人たちまでボイト・マルゴルのパラテンダーになってしまったことなど何も知らずに。

　それと、恒星ヘフデラド・アルファ第三惑星惑星ツァルテルテペでの一幕。
　マヌケなエルトルス人と、長年かくれていたシガ星人のトラブルのさなかにこの惑星に着陸したシガの宇宙船の騒動は、「3587年の銀河オリンピック」というとんでもないネタで解決してしまう。おお。
　しかもこのオリンピックのルールとは、どちらのチームが最大の笑いを取ったかで勝敗が決まるのだそうな。

　あとがきにかえて　は、青山茜さん。
　「笑いのオリンピック」ネタから、来年（これを読んでいる時点ではもう終わっていますが）開催されるソチ・オリンピックのこと。黒海にあるスターリンの別荘のこと。
　それから、松谷健二先生が翻訳した、スターリンが登場するパウル・カレル著の「バルバロッサ作戦」のこと。同じカレルの著作、松田日本訳の「砂漠のキツネ」こと。
　この歴史を思い返しつつ、黙々とこれらの戦史を翻訳していた松谷先生の業績に思いを馳せ、ソチに保存されているスターリンの別荘に足を運んでみたいな、とのこと。　　（2014/5/6）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-464	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 464巻					出版社：早川書房
書名：パラテンダーの円舞	ハヤカワ文庫SF1935　ウ1-464　早川文庫7300					ISBN978-4-15-011464-　 C0197

927 パラテンダーの円舞		Reigen der Paratender				ハンス・クナイフェル			1979/5/29	翻訳：嶋田洋一
928 UFO乗員と宇宙震		Solo für einen Androiden				エルンスト・ヴルチェク			1979/6/5

		価格：620Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/1/15		購入：2014/1/17	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　927 パラテンダーの円舞

　しばらく前にプヨン・“サボテン”・アルザチェナはこういったものだった。
　「惑星クロレオンのクロコックに手を出してはだめだぞ！　あの惑星に着陸するのは二種類の狂人…自殺志願者と、闇市場の最悪の屑どもだけだ。そうとも！　わたしはよく知っている！」
　アルザチェナは全面的に正しかった。　　（P9）

　という出だしで説明された、無気味な惑星クロコック。
　クナイフェルさんの大げさな形容に対していくつも茶々を入れたいところですが、面倒なので一つだけ。サボテンくんの大言壮語に関して、「正しい」とは辞書に問題ありか、と。(笑)
　それと、この惑星は、特に書いてはありませんがむろん、広大な宇宙の中で恐ろしく稀少なものであるはずの環境、つまり酸素が豊富でテラナーを含む酸素呼吸生物にはまったく問題ないもの。人類には住みにくい乾燥した世界だ、と書かれていますが、住むことができるだけ希少価値ではないか。
　この惑星がなにが変わっているかというと、古代の巨大生物の骨だらけなこと。惑星中それに取り巻かれている、という設定自体に違和感はあるけど、まぁそんなもんか。
　ここに、＜ジャンキー＞という商船で乗り付けたスクルグ・トマスとダラニエカイ・トマスという怪しげな夫婦が登場します。彼らは実はロナルド・テケナーとジェニファー・ティロンの夫婦なのですが、これは秘密。特殊任務に就いているのでした。
　任務とは、ここでムナルクォンという麻薬を売りさばき、ボイト・マルゴルの組織に潜入すること。この麻薬が、マルゴルが他の人類を奴隷化してパラテンダーとする現象とよく似た効果を示し、服用者を降伏にして他人に絶対服従させるため、マルゴルがこれに興味を示すと考えたから。
　無事にマルゴルの組織と接触できたのですが、さまざまな能力を持つスクルグことテケナーはマルゴルの影響を受けなかったのに、ダラニエカイことジェニファーはあっさりとマルゴルの精神奴隷と化す。
　そのくらいの事を考えなかったのか、と意外なテケナー夫妻のお馬鹿ぶりが際立ちますが、恥の上塗りのように、一時正気を取り戻したジェニファーは今度こそ根性で頑張ると宣言し、テケナーはそれを認める。はて、この先はどうなることやら。

　　928 UFO乗員と宇宙振
　西暦3587年2月、銀河各種族の混成部隊を乗せたGAVÖKの宇宙船＜ホルダナァル＞は、銀河系イーストサイド辺境のデレトレー星系第二惑星パンサルトの調査に向かうところ。スプリンガーが入植しているこの星で、奇妙な運動が行われているらしい。多数の住民がなにもかも捨ててプロヴコン・ファウストに移住しようとしているのだそうな。
　エプサル人のキント・ミングン船長指揮下で惑星に接近しようとした時、直径五百メートルの球形艦はびりびりと震動します。鍛え上げられた乗員がパニックに襲われるほどのこの震動は、GAVÖK本部でも銀河のあちこちから報告を受けていたらしく、〝宇宙震〟ととりあえず名付けられましたがその原因も詳しい状況もわかっていません。

　プレケエルはアルラスに派遣されたアンドロイドの一体です。

　「おまえはプレケエルと呼ばれる」あのとき、かれにとって絶対的な上官となる小柄な権力者はいったもの。「おまえはロボットではなく、思考する存在だ。だが、自分を過信するな。わたしの命令に従え。おまえは巨大で複雑なシステムの、とるにたらない単純な部品にすぎない。存在意義などないのだ。従順に命令に従っていれば、おまえの目的は達成される」　　（P140)

　と教えられてこの惑星に潜入したのですが、ここがテラと呼ばれる人類社会の中心惑星だとはわかっていない。しかし単なるなにも考えない機械の一部であるかのように言われてきた「彼」に、自意識と考えて行動する知性が生まれてきたために、奇妙な事になります。任務を果たすために人間社会に溶け込もうと考えるこのプレケエルのやることなすことが、騒動を引き起こしていくのでした。
　ついに彼は、テケナー夫妻がプロヴコン・ファウストで殺されたというニュースに愕然としていたジュリアン・ティフラーの目にとまることとなります。はたしてこの結末は、どうなるのか。
　宇宙震とこのアンドロイド、そしてプロヴコン・ファウストには、何らかの関わりがあるのか。

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　後半の話で出てくる町、ニュー・ウィンドボナ（Neu-Vindobona）について半ページだけ。
　ニューではないウィンドボナとはオーストリアの首都ウィーンの古名、ラテン語なのだそうな。
　でもって、ラテン語の「ｖ」は「ｕ」と等価（異字体の扱い）で直後に母音が来る時は「ワ行」表記とするのが一般的なので、ウィンドボナにしたらしい。ほう。　　（2014/6/10）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-465	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 465巻					出版社：早川書房
書名：解体屋たち	ハヤカワ文庫SF1936　ウ1-465　早川文庫7301					ISBN978-4-15-011465-　 C0197

929 解体屋たち		Die Demonteure				ウィリアム・フォルツ			1979/6/12	翻訳：嶋田洋一
930 宇宙の破れ穴		Das Loch im Universum							1979/6/19

		価格：620Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/1/25		購入：2014/1/26	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　929 解体屋たち　

　＜バジス＞乗員はだれひとり、パルトクの宇宙の城の座標が、これまでの目標であったエランテルノーレ銀河に関連している、などという都合のいいことは、考えもしなかった。レジナルド・ブルやジェフリー・アベル・ワリンジャーのような楽観主義者でさえ、宇宙の城がすぐに見つかるとは期待していなかった。なぜこれまで誰も、パルトクの城の位置を確定できなかったのか。　　（P23）

　なぜか見つからなかったのか、という疑問はともかく、なぜ見つかったのか、については簡単。そうしないと話が進まないから。（おいおい）
　ま、それはともかく、パルトクの城があるはずなのに見つからなかった宙域に、ローダン、アトラン、百万年前に失った〝目〟を追っているロボット、ライレ、そしてアラスカ・シェーデレーアの四人がスペース・ジェットで向かうと、あっさりとそこにパルトクの城は存在していました。七つの補完鍵を探索するローダンは、その一つがあるに違いない城に潜入します。
　そこで、まさか直径50メートルほどのブルーの円盤型宇宙船が発見されるとは。それを、テラで昔時々発見された空飛ぶ円盤、UFOだと考えたのはローダン。なんてこと。

　潜入したローダンとアトランの探索もあって、なんとかパルトクの遺骸と補完鍵が発見されます。しかしローダンらは行方不明に。
　この城の中で任務に就いているスカルルを指揮官とする「解体屋」たちは、なにかこれに関係があるのか。

　　930 宇宙の破れ穴
　流れの中を漂う「流される者」の謎めいた話から始まります。流される者とはなにか、流れとはなにか、流れる先に何があるのか、何もわかりません。

　ローダンとアトランは、正体不明のエネルギー乱流の中に落下し、互いに会話はできるものの一体自分たちがどこにいるのか、周囲がなになのか、まったくわかりません。何かの流れの中にいるらしいのですが、なんの流れなのかまったくわからない。
　しかししばらく時間が経ち、不意にローダンは周囲の者がなにを連想させるのか気づきます。

　「どうした？」アルコン人が心配そうに声をかける。「問題があるのか？」
　「この光景」ローダンは小声で答えた。「まるで泡箱の映像を見ているようです。無数の素粒子がとびかっているようで。光子、ニュートリノ、電子、ミュー粒子、パイ中間子、Ｋ中間子、陽子．．．」
　「やめろ！」アトランが叫んだ。「ばかげている！　あの大きさがわからないのか？」
　「わかっています」と、ローダン。
　「偶然、似ているだけだ。きみが正しいとしたら、素粒子を巨大化させる効果が存在することになる」
　「その効果ですが、逆ではないかと思います」

　つまり、自分たちは素粒子レベルに縮小したのではないか、と。

　パルトクの遺骸がある宇宙城のラボを中心に、＜バジス＞乗組員たちによるローダンらの捜索が続きますが、なんの手がかりもありません。あせるダントンらと共に疲労でくたくたになっていたグッキーは、壁にある小さなスイッチボックスからかすかなローダンのテレパシー・インパルスを感じ、悲鳴をあげます。しかしそのボックスは小さいし、感じたインパルスもわずかなもの。いったい何が起きているのか。

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　年末がが押し迫り、2013年に鬼籍に入った友人たちの事を思う嶋田さん。

　2014年は友人が誰も死なないといいなあ．．．　と、かなり本気で思っている。　　（P255）

　年が明けて6月になったけど、鐵太郎もかなり本気でそう思う。　　（2014/6/18）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-466	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 466巻					出版社：早川書房
書名：輝ける虜囚	ハヤカワ文庫SF1941　ウ1-466　早川文庫7318					ISBN978-4-15-011466-　 C0197

931 輝ける虜囚		Das strahlende Gefängnis				クルト・マール			1979/6/26	翻訳：青山茜
932 〝力〟の彫像		Statue der Macht							1979/7/3

		価格：620Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/2/15		購入：2014/2/20	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　931 輝ける虜囚
　光り輝くオーラをまとったローダンとアトランは、かつての強者バルトクの城の表面を歩いています。表面の重力フィールドが消失したため、とりあえず歩きやすくなったのがありがたいところ。
　というもの、ローダンもアトランも、彼らを包むこの光のオーラは彼らがしばし拘束されていた微少宇宙の残骸なので、この宇宙の物質と接触すると焦熱地獄を巻き起こすのでした。そのため、彼らは一歩一歩進むたびに足もとの金属が沸騰し、壁も床もたちまちのうちに溶け落ちてしまう。彼らは足を止めることができないのです。
　＜バジス＞のペイン・ハミラーらは、この二人を隔離するフィールドやコミュニケーションを取る方法を必死で試しますが、どうもうまくいかない。必殺のミュータント部隊もお手上げ。グッキーがへとへとになりながらメモブロックを送り届けるくらいが関の山。
　直径十五万キロメートル、表面温度三万五千度、太陽の質量の百五十倍という化け物の恒星モフラの周辺で、呻吟する二人。
　さあ、どうする。

　そういえばマールは、ローダンをペリーと呼ぶのがお好みです。アトランにファーストネームがあったらそっちで呼ぶのかな？

　　932 〝力〟の彫像
　恒星モフラの名は、＜バジス＞のハイパー物理学者エンネア・ゲエトがつけたもの。彼女の乳母の名前を取って、勝手につけたらしい。ペイン・ハミラーの部下で女性で優秀な科学者ですが、むろんマルペに登場する優秀な女性ですので美人で魅力的で傍若無人と相場は決まってます。なにしろハミラーの同僚が、

　「彼女が物理に精通しているとは思わない。それには美人すぎるから！」　　（P140)

　などと、女性と物理学者の知識と才覚を頭から侮辱するセリフを吐いたほど。（爆）
　どうやら、美女デメテルに首ったけだったお馬鹿トリオの一角が崩れそうな気配です。（くすくす）

　危機的状態にあるローダンとアトランを救うべく、軽巡洋艦から改装された空飛ぶ実験室＜トランス＝Ｘ＞が＜バジス＞を発進します。時に、西暦3587年3月8日13時35分。
　指揮を執るのは、ペイン・ハミラー。かつて「宇宙の大車輪」の教義の元に独裁者として君臨してきた隻眼のロボット・ライレも同行します。ローダンらに同行しながら協力を拒んだライレは、いったい何を考えているのか。
　ローダンとアトランの運命はいかに。

　ちなみに、ローダンとアトランの宇宙服には、食糧と水分のリサイクル装置が装備されているが、長期にわたる宇宙空間の放浪でその機能が衰え始めている、という記載があります。
　水はね、まァ納得してもいい。体から排泄される水分を回収するのだとして。
　で、食糧は、いったいどうやって「食べ物」にしているの？　「どこから出たものを」とは言わないけどさ。
　で、そのリサイクル装置がへたってくると、何が出来てくるのだろう？
　考えると、なんか微妙。（うーむ）

　あとがきにかえて　は、青山茜さん。
　半ページのみ。2月23日に行われる（過去の事ですが未来形で）「第30回国技館五千人の第九コンサート」のこと。
　ここに「美声自慢の翻訳女子グループ」の一員として二回目の合唱に参加することになった青山さん、前回では忙しくて暗譜しきれなかったけど、今度は頑張るぞ、とのこと。ほう。　　（2014/7/5）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-467	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 467巻					出版社：早川書房
書名：強者グッキー	ハヤカワ文庫SF1942　ウ1-467　早川文庫7319					ISBN978-4-15-011942-3　 C0197

933 アリオルクの遺言		Ariolcs Vermächtnis				H・G・フランシス			1979/7/10	翻訳：林啓子
934 強者グッキー		Gucky, der Mächtige							1979/7/17

		価格：620Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/2/25		購入：2014/2/28	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　933 アリオルクの遺言
　強者アリオルクの宇宙城に接近した＜バジス＞。

　城はスポーク12本を持つ車輪を彷彿（ほうふつ）させた。中央には不格好な円柱状のハブがある。ポジトロニクスの表示データによれば、ハブは高さ3233.42メートル、直径981.71メートル。
　ハブは全体を支えて安定させ、そのほぼ半分の高さ二スポーク12本が固定されている。ハブとの接続部分の太さは400メートルで、断面は円形。長さは全て400メートルほど。外側に向かって細くなり、金属製の外周部に接続するところでは直径200メートル。非常に奇妙な金属で、高性能遠距離探知機を持ってしても、その正体は分からない。車輪全体の直径は2780メートル以上になる。
　スポークの細い先端が外周部に接続するところでは、上下にあるそれぞれ半球状の構造部が目だつ。ペイン・ミラーはこれを指向性アンテナと特定したが、それ以上は不明だ。　　（P10-11）

　この巨大な「城」を見て、＜バジス＞遠征隊の首席科学者であるペイン・ハミラーは狂喜します。科学技術的に宝の山だから、ここにとどまって研究すべきと主張。コスモクラートがこの宇宙から城を撤去してしまう前に、宇宙を救うために他の宇宙城も含め、一刻も早く城を発見して「鍵」を手に入れなければならない、というローダンの指摘を、科学に背を向ける馬鹿な考えだと罵る。お馬鹿はどっちなのか。

　ところが困った事が判明。この城に潜入した＜バジス＞の要員たちは、次から次へと我こそはこの城の支配者であるアリオルクさまなのだ、と思いこんでしまうのです。なんてこった。
　とんでもない事態に頭を抱えるローダンに、ミュータント部隊の切り札であるグッキーが潜入してみたいと志願して来ます。

　「大丈夫だよ」ネズミ＝ビーバーが応じた。「アリオルクになる野心はまったくないから」
　「だといいのだが」
　「なんだって、ペリー。ぼくを信用しないわけ？」
　「信用できない理由があるのか？」
　「まったくないさ」　　　（P124）

　　934 強者グッキー

　「城内に足を踏み入れた者はだれでも、アリオルク症候群にやられてしまう」と、ペリー・ローダンが告げた。＜バジス＞司令室には遠征隊の主要メンバーが集まっている。ローダンの隣には、宇宙の城から＜バジス＞を訪れた解体コマンドの指揮官ジャグルが腰を下ろしていた。「ラス・ツバイ、アラスカ・シェーデレーア、レジナルド・ブル、ガルブレイス・デイトン、そしてグッキーに何が起きたのかはわかった。全員が超心理放射の影響をうけ、自分を強者アリオルクだと思いこんでいるわけだ」　　（P145）

　次々とミイラになっているミイラ盗りたち。
　この恥の上塗り現象は、466話「輝ける虜囚」の後半、「〝力〟の彫像」で一度やっていますが、パターンは繰り返すことに意義があるらしい。かくして表紙絵の、ハヤカワ編集部の女性陣を狂喜乱舞させた「強者グッキー」のイラストの誕生となりました。めでたい。
　なにしろ、ミュータント部隊最強のグッキーです。こいつが自分をアリオルクだと信じて周囲を支配すれば、かなう者など何もない。
　この事態を打開してくれそうなのは、どうやらあの7人コンセプト、ケルシュル・ヴァンネらしい。大丈夫なのか？

　あとがきにかえて　は、林啓子さん。
　依光隆さんのあとを継いで二代目イラストレーターとなった工藤稜氏の記念すべき百巻目が、この巻なのだそうな。それもあって、今回の表紙絵は編集部の注目の的だったらしい。
　それと、この巻が刊行された頃に開催されていたソチオリンピックのこと、そして林さんが関わった16年前の長野オリンピックの話。
　1964年の東京オリンピックで通訳アシスタントを務めた〝伝説のＳ様〟のこと。ほう。　　（2014/7/22）

i		Ver. 3.01

管理番号：R400-468	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 468巻					出版社：早川書房
書名：最後の宙賊	ハヤカワ文庫SF1947　ウ1-468　早川文庫7333					ISBN978-4-15-011921-8　 C0197

935 宇宙の神秘		Mysterium des Weltalls				クラーク・ダールトン			1979/7/24	翻訳：青山茜
936 最後の宙賊		Die letzten Flibustier				マリアンネ・シドウ			1979/7/31

		価格：620Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/3/15		購入：2014/3/8	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　935 宇宙の神秘
　自動操縦で飛ぶ全長二百メートルのセドアーの弾丸型宇宙船＜カルマ＞に乗っている二重コンセプト、エルンスト・エラート氏とゴルスティ・アシュドンくんのお話です。エデンⅡから出発した彼らは、ガヌール銀河をあとにしてかなり経ちますが、いまだに終点は見えない。というより、いつになったらどの終点につくのかも分からないのです。なにしろこの宇宙船、遷移もしなければリニア航行もしないのに、光速をあっさり越えて飛行しています。そのメカニズムは謎だらけ。
　同行する浮遊するロボット、アクロバスとの間も緊張状態が続いています。

　唯一の惑星ヴォルケーノをしたがえた恒星フィックスには、ヴォルカン人というヒューマノイドが住んでいます。極めて知性が高い彼らは、むろん人類と同じように発展し同じようなメンタリティをもっています。住民はむろんワインをたしなみ、スクリーン付きのインターカムで会話する。有能な女は常に美人。（この不変の事実に疑問を感じた方はこの本を読むべからず！ｗ）
　この愛すべきヴォルカン人たちが宇宙を漂う謎の船を発見したとき、彼らはむろん一攫千金を狙って宇宙船で次々と探索に出発します。
　彼らとのコンタクトは、平和裏に進むのか。そこに、お久しぶりのハルノまで参加します。
　のどかなダールトン世界、というべきか。

　　936 最後の宙賊
　フィリバスターと名乗る宙賊たちのお話。＜ジャック・ロンドン＞という船で宇宙を駆ける誇り高い貧乏な宙賊たち。
　女首領はカイナ・シャッテン。元はといえば社会のはみ出し者で犯罪者ではなかった彼らですが、今や強奪以外に生きるすべをもたなくなった彼らは、それでも多少の矜持は残っています。
　すくなくとも三つの惑星でおたずね者になっている、という者でなければフィリバスターの仲間になれない、という。
　3587年5月、残り少なくなったカイナ・シャッテン率いるフィリバスターたちは、金のにおいをかぎつけて惑星クシルデルにむかいます。GAVÖKに追われつつ、彼らが向かった先で、彼らは謎の異星人に捕らえられたのでした。
　そこで彼らが見たものは。

　あとがきにかえて　は、青山茜さん。
　船の名前にもなった「ジャック・ロンドン」についてのあれこれ。青山さんは、かなり熱心なロンドンのファンらしい。　　（2014/8/29）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-469	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 469巻					出版社：早川書房
書名：オービターの無敵艦隊	ハヤカワ文庫SF1948　ウ1-469　早川文庫7334					ISBN978-4-15-011948-5　 C0197

937 ドッペルゲンガーの惑星		Planet der Ebenbilder				H・G・エーヴェルス			1979/8/7	翻訳：赤坂桃子
938 オービターの無敵艦隊		Armada der Orbiter							1979/8/14

		価格：620Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2014/3/25		購入：2014/3/29	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　937 ドッペルゲンガーの惑星
　楔（くさび）形宇宙船で移送される生き残りの宙賊、フィリバスター7人から始まります。むろん、虜囚として。どうやら、銀河中枢部を周回しているらしい。
　謎の惑星に着陸したのち奇妙な施設に移され、尋問されることに。その尋問の相手に、フィリバスターたちは愕然とします。彼ら七人とまったく同じ外観の「生物」が現れ、お前たちはガルベシュ人（Garbeschianer)だと決めつけるのです。そんな言葉は聞いたことがないし、そもそも我々はテラナーの末裔だと主張しますが、相手はまったく耳を貸さない。
　こいつらはいったい何者なのか。
　やがて驚くべきことがわかります。このフィリバスター7人の複製、ドッペルゲンガーが、何十万、いやそれ以上この惑星にいるらしい。それぞれ服装や外観は少しずつ違うのですが、明らかに彼ら7人の複製。なんのために。

　宇宙震とプロヴコン・ファウストで行方不明になったロナルド・テケナーのことで頭がいっぱいのジュリアン・ティフラーは、フィリバスターの数名が発見され、捕らえられたというニュースを聞きます。しかしそのあと、おなじ姿の宙賊が別な植民地惑星で拘束されたという報告を聞いて、飛び上がります。一体やつらは何人いるというのか。

　　938 オービターの無敵艦隊
　フィリバスターたちを捕らえているのは、今や彼らのコピィたち。宙賊たちをガルベシュ人だと決めつけているのは相変わらずですが、自分たちのことをオービターだと説明します。
　どこかを周回しているのか、とジョーク混じりに聞き返されても、返事をしない。どうやら、彼らの固有の名前らしい。遙かな昔、どこかの種族によって作り出された人造生物らしいのですが、今のところ謎。

　ジュリアン・ティフラーは、突然現れた7人の宙賊たちのドッペルゲンガーたちの出現に怒り心頭ですが、そいつらが本物ではないことまでは突き止めています。背後にいるのはボイト・マルゴルではなさそうですが、だとするとなおさら謎。
　しかしホーマー・G・アダムスの命令によってこいつらを調査した過去センサーの能力を持つブラン・ホワツァーの能力を持ってしても、なにも手がかりはつかめない。

　最優秀な、とジュリアン・ティフラー自身がお墨付きを与えた偵察員、セルン・ジョストが登場するのはこの巻。女好きだけでなくいろいろと問題を抱えているようですが、この先何をしてくれるのか。

　あとがきにかえて　は、赤坂桃子さん。
　松谷健二先生の翻訳に対するリスペクトと、あとがき（にかえて）を書くときの苦労。それから震災を経験した人々への思い。
　そして、都会で聞くウグイスの声。
　なにか、いいな。こういうの。　　（2014/9/27）