ローダン 500-509

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　宇宙英雄ローダン　500～509　

巻数	書　名	作　家
500	テラナー	H・G・フランシス＆ウィリアム・フォルツ
501	白い船の異人	マリアンネ・シドウ
502	第八艦隊ネスト	ペーター・テリド＆クルト・マール
503	惑星クラトカンの罠	クルト・マール＆クラーク・ダールトン
504	宇宙ハンザ	ウィリアム・フォルツ＆エルンスト・ヴルチェク
505	マルディグラの工作員	エルンスト・ヴルチェク＆ペーター・グリーゼ
506	第五使者の誕生	ペーター・グリーゼ＆H・G・フランシス
507	災厄のスプーディ	H・G・エーヴェルス
508	賢人の使者	マリアンネ・シドウ＆クラーク・ダールトン
509	ベッチデ人とハンター	クルト・マール

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		Ver. 3.01

管理番号：R400-500	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 500巻					出版社：早川書房
書名：テラナー	ハヤカワ文庫SF2016　ウ1-500　早川文庫7505					ISBN978-4-15-012016-0 C0197

999 帰郷		Heimkehr				H・G・フランシス			1980/10/14	翻訳：嶋田洋一
1000 テラナー		Der Terraner				ウィリアム・フォルツ			1980/10/21

		価格：640Yen	ページ数：304P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/7/15		購入：2015/7/10	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　999 帰郷
　大団円。ガルベシュ軍団司令官アムトラニクはジェン・サリクによって倒され、惑星マルタッポンのオービターたちは未来への不安をすこし解消され、＜バジス＞は故郷銀河へ帰還する途中でマルタッポンに寄港します。
　サリクがオービターを配下にしてなにやら企むのではないか、という陰謀論というか謀反論があったのですが、ジェン・サリクとペリー・ローダンは会見し、互いの勝ちを認め合って意気投合し、まるく収まります。めでたい。
　ローダンには騎士のオーラがある、という事になったのですが、これは未来への布石か。

　かくして3587年12月29日、約一年半の遠征ののち、＜バジス＞はテラへ帰還したのでした。

　幕間劇的に、ネタで嘲笑されることが大嫌いな（しかし他人を嘲るジョークは大好きな）グッキーによるひと騒動があり、最後もその流れで終わります。めでたい　．．．んだろう、きっと。
　これでこの、第15サイクル『宇宙城』“Die Kosmischen Burgen”は無事に終わりです。
　途中ローダンがこの一年半の流れを説明してくれますので、まとめとしては充分かな。
　これで、第15サイクル『宇宙城』が終わり、次巻から、第16サイクル『宇宙ハンザ同盟』が始まります。

　　1000 テラナー
　何人かの人物像が描かれます。すべて、テラナー。農民、被迫害者、革命家、冒険者、商人、犯罪者。

　コスモクラートのティリクの代理人、カルフェシュがこの巻の重要なキャラクター。身長２メートルほどのヒューマノイド。
　〝それ〟と対面したカルフェシュは、将来深淵の騎士の地位を与えられるであろう二人の人物のことを語り、かつて〝それ〟に預けた二つの細胞活性装置をその人物用として調整するように願います。そのあといったん〝それ〟に統合されますが、そののちその二人を探索する長い長い旅に出ることに。
　最初に見つけた人物の名は、アトラン。そしてそれから一万年の年月を経て、次の人物が発見されます。ペリー・ローダン。
　そして「現在」に至る銀河の歴史が、ゆっくりと回想されます。若き日の、ヨーロッパの戦争が終結したニュースを叔父カールから聞くアメリカ人ペリーから始まり、1971年6月19日に月へ向かって打ち出される宇宙ロケット＜スターダスト＞、そして運命の邂逅。
　今までの歴史をなぞるとともに、新しい解釈でその流れを整理しています。ほう、そういう意味になったのか、あの冒険は、あの歴史は。

　現代のローダンは、奇妙な客を迎えます。身長２メートルのその異人は、〝目〟つまりライレの目を持って〝それ〟の元へ来るように伝えます。あの、エデンⅡへ。
　不安と期待を抱いてエデンⅡについたローダンに、〝それ〟は〝宇宙ハンザ〟を設立することを命じます。〝それ〟はいま、セト＝アポフィスと名乗る強大な敵と戦っておりそのために必要なのだという。人類は、七種族の公会議に匹敵する段階にまで進化したので、〝宇宙ハンザ〟によって次の超知性体になる過程に進む権利があるのだと。
　そして自分は人類の保護者の役目を終える、と。

　テラに戻ったローダンは、レジナルド・ブル、ジュリアン・ティフラーなどの主要メンバーを集め、宇宙ハンザの設立を宣言するとともに、こう言います。
　西暦3588年の今をもって新しい暦法がはじまる、と。

　「この瞬間、宇宙ハンザ元年がはじまったのだ」　　（Ｐ281）

　あとがきにかえて　は、嶋田洋一さん。
　ついに500巻になった感慨と、＜SFマガジン＞8月号に連載されたシリーズ500巻を記念しての座談会のこと。
　それから、今和装に凝っていること。いろいろ。
　嶋田さん、普段着で外出するとき、洋装であっても雪駄で歩くとけっこう楽ですよ、と言ってみたいのだけど、これは地方の車社会だから言えることかな。　　（2015/7/31）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-501	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 501巻					出版社：早川書房
書名：白い船の異人	ハヤカワ文庫SF2017　ウ1-501　早川文庫7592					ISBN978-4-15-012017-7　 C0197

1001 キルクールの狩人		Die Jäger von Chircool				マリアンネ・シドウ			1980/10/28	翻訳：増田久美子
1002 白い船の異人		Das weiße Schiff							1980/11/4

		価格：640Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/7/25		購入：2015/7/24	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1001 キルクールの狩人
　惑星キルクールに住むベッチデ人たちは、数百年の昔、巨大宇宙船＜ソル＞にいたのですが、反乱を起こしてその船からここに追放された存在。いずれ、宇宙での生活にふさわしいレベルにまで浄化されたら＜ソル＞が迎えに来てくれると信じ、小さな船の中で生活しています。
　その中で、伝統的に外界へ狩りに行って食料を確保する役割を負った“狩人”たちは、“船長”と称するリーダー、セント・ヴェインが言う「ここは船の中だ」という言葉が、真っ赤な嘘であると知っていました。ここは船ではない、キルクールという惑星であり、ちっぽけな小屋が集まった村がある洞窟にすぎない、と。このジャングル惑星で生き延びるための戦いは、常に狩人たちの手によって行われ、睨み合いになって共存している謎の生物キルクールスと戦うのも、狩人の仕事ですから。
　狩りで手に入れる“シカ”も“ブタ”も“ニワトリ”も、みな十本足の異生物であり、明らかに彼らベッチデ人とは違う。むろんキルクールスも。
　狩人と住民の尊敬を集める治療者が船長と対立し、それが頂点に達したとき、船長は物陰から金属製の道具を取り出し、彼らに向けます。しかし船長が発射スイッチを押しても、なにも起きません。

　そのかわりに声がした。
　「わたしはこの武器をおまえにわたした。それでこの村を大きな危険から守るためだ」その声は悲しげにいった。「それなのに、おまえはこの武器を仲間に向けている。しかたない、わたしからの贈りものをひきとろう」
　セント・ヴェインは雷に打たれたように立ちつくし、その武器を見つめていたが、怒りにまかせて振りまわし、結局、自分から投げとばした。
　「だましたんだ！」キルクールの青白い空にむかって叫んだ。「わたしをだましたんだな、山の老人。おまえもおまえの贈りものも呪ってやる！」　　（P103-104）

　山の老人とは、いったい何だったのか。

　やがて空から、大きくて真っ白なものが降下してきます。巨大な宇宙船なのか。

　「＜ソル＞だ！」と、叫んだ。「われわれを迎えにきたんだ！」　　（P140）

　はたして、本当にそうなのか

　　1002 白い船の異人
　下りてきた巨大な宇宙船を＜ソル＞と信じるベッチデ人たち。しかしその姿は奇妙です。

　とっさに帽子キノコを連想させるかたちだった。木の細い割れ目から生えるため、生育が妨げられて、押しつぶされたようになっているキノコだ。いずれにしても、キルクールの帽子キノコでこれほど巨大なものはないが。それに帽子キノコには黄色い文字も書かれていない。
　そこになんと書かれているか、スカウティにはわからなかった。まったく見たことがない文字だったからだ。
　それがさらなる疑いの理由となった。もし、これが＜ソル＞だったら、その黄色い文字はベッチデ人が今も使っている文字と、すくなからず類似点を持つはずではないか？　　（P151）

　白い船から下りてきた異人たちは、ベッチデ人になにやら怪しい「虫」のようなものを植え付けようとしているらしい。それはなんなのか。なんのためなのか。
　その寄生生物は、害にならないように見えます。しかし植え付けられたベッチデ人は、なにやら人格が変わっていくようです。取りだそうとすると、ひどい痛みに襲われるのでできません。
　白い異人とは、何ものなのか。

　ここでドウク・ラングルが現れるとは、予想もしなかったなぁ。このジャングル惑星の話しは、まだまだ続きそうです。

　あとがきにかえて　は、増田久美子さん。１ページのみ。
　“峡谷”のイメージをとらえるためにwebサイトを探索し、

　動画共有サービスのサイトでヨーロッパアルプスが舞台のアニメに行きついた。主人公といっしょに谷底を覗き込んだ気分になると、“峡谷”のイメージが無理なく入ってきた。　　（P271)

　だそうですが、youtubeでハイジを見つけて、と書いちゃなぜいけないんだろう？　と考えちゃった。
　違うかもしれませんけどね。(笑)　　（2015/8/10

		Ver. 3.01

管理番号：R400-502	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 502巻					出版社：早川書房
書名：第八艦隊ネスト	ハヤカワ文庫SF2022　ウ1-502　早川文庫7610					ISBN978-4-15-012022-1　 C0197

1003 第八艦隊ネスト		Neulinge an Bord				ペーター・テリド			1980/11/11	翻訳：若松宣子
1004 理解レベルの段階		Die Stufen der Erkenntnis				クルト・マール			1980/11/18

		価格：640Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/8/15		購入：2015/8/11	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1003 第八艦隊ネスト
　ジャングル惑星キルクールから舞台を移し、拉致されたベッチデ人たちのお話。
　前回の予想がはずれましたが謝罪も賠償もしません。ええ、しませんとも。(笑)

　狩人だったサーフォ・マラガンとブレザー・ファドン、そしてスカウティは白い船＜アルサロム＞の中で、艦内コンビネーションを渡され困惑しています。（そういえば、マルペで通常の服とか船内作業着とか制服とかは、ほとんどがコンビネーションです。なにか取り決めがあるのかな。それとも当時のドイツの流行りか）
　この船の中で見たのは、たくさんの惑星からきたらしい多種多様の異星人。彼らが支配者なのかと思ったら、どうも様子がおかしい。かといって奴隷かなにかのような様子でもない。
　いきなり謎の宙賊に攻撃された船内で、ほんの思いつきで始まった三人の活躍が意外な展開を招きます。テラナーの末裔ここにあり、というところか。
　最後に、なんと艦隊の中の裏切り者を発見してしまう、というおまけ付きです。ほう。

　　1004 理解レベルの段階
　ベッチデ人狩人がいるのは、クランドホル公国第八艦隊のネスト。巨大な艦隊基地です。
　どうやら彼らは、星間戦争のなかに巻き込まれたらしい。相手は宙域調査船＜従順の力＞なのか宙賊なのか。
　この三人の元狩人が、＜サントンマール＞の第一艦長クルミツァーらにその能力を認められつつあります。さらなる試験を受けてもっと上級の地位に上がれるらしい。いったい何のために彼らを引き立てるのか。

　おめでとう。諸君は理解レベルの第七段階が諸君を待っている。
　しるしにしたがい、宇宙の栄光を見よ！　　（P243）

　いったいどういう意味なのか。

　あとがきにかえて　は、若松宣子さん。
　この巻で、三人の若者が幻覚を見る場面で、レイ・ブラッドベリの「火星年代記」を思いだしたのだそうな。
　旧版では作品の時代背景は1999年から2005年、そして2026年だったのが、1997年にブラッドベリは時代設定を31年ずらした改訂版を出したのだそうな。いまハヤカワ文庫で［新刊］となっているのはその版だそうです。知らなかったな。
　ちなみに鐵太郎はむろんこの「火星年代記」は読みましたが、あまり記憶にありません。波長が合わなかったのかもしれない。
　よくあることなんですけどね。(笑)　　（2015/8/21）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-503	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 503巻					出版社：早川書房
書名：惑星クラトカンの罠	ハヤカワ文庫SF2023　ウ1-503　早川文庫7611					ISBN978-4-15-012023-8　 C0197

1005 フェロイ星系への決死隊		Todesfahrt nach Felloy				クルト・マール			1980/11/25	翻訳：小津薫
1006 惑星クラトカンの罠		Die Falle von Cratcan				クラーク・ダールトン			1980/12/2

		価格：640Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/8/25		購入：2015/8/23	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1005 フェロイ星系への決死隊
　クランドホル公国艦隊に所属することとなった三人のベッチデ人狩人、サーフォ・マラガン、ブレザー・ファドン、スカウティは、アイチャルタンの宙賊に捕らえられています。尋問のさなか、頭に仕込まれていた小さな虫、スプーディが脱落します。どうやらこの虫、秘密を守るために装着された人間が拷問などをされると自殺するようにプログラムされているらしい。
　この虫によって飛躍的に知能が高まっていた三人にとって、これはゆゆしき事態でした。
　クラン艦＜サントンマール＞の第二艦長ダボヌツァーに救い出されたとはいえ、その＜サントンマール＞も宙賊によって大破されてしまう。
　ここでダボヌツァーを含めた三人による脱出行が行われます。しかしこのダボヌツァーはなにか企んでいるよう。搭載艇である＜ヴァッコム＞で脱出した中で、知能がどんどん落ちていく三人とダボヌツァーとの息詰まる駈け引き。さあその顛末は。

　　1006 惑星クラトカンの罠

　クラン人という種族は、わずか千二百五十年前に宇宙航行種族となったのに、すでにクランドホル公国という強大な星間帝国を作り上げています。支配するのは三人の公爵。謎の“クランドホルの賢人”という助言者がいるらしい。狼とライオンを合わせたような外見で、知性を持ち、人類と同じような気質を持つ誇り高い種族。
　辺境惑星クラトカン基地の指揮官は、研究者としての生涯を過ごすはずだったチェルタイトリン。彼は自分の地位に不満を抱き、脱走を考えている不穏な存在。
　このチェルタイトリンが、搭載艇＜ヴァッコム＞で到着した三人の異人のことを報告され、疑心暗鬼に駆られます。まさか、公爵たちが何か疑いを抱いてスパイとして送りこんだのではあるまいか。
　病院に見舞いに行くと、そこにいたのは見たこともない異人。クランの惑星には始めてで、脱出を導いてくれたダボヌツァーは死んだと報告する彼らですが、どうしても信用できない。失われたスプーディのことも疑いの元なのですが、とりあえず新しいそれを彼らの頭にまた設置させてから、砂漠への調査の任務を与えることに。むろん、忠実な部下を参加させ、すきを見て殺すようにと命令してのこと。

　さあ、困ったときにジャングル惑星とともに時々舞台として現れる砂漠世界の冒険です。チェルタイトリンの部下ロルドスと三人のベッチデ人の駈け引きは、どんな顛末を迎えるのか。

　あとがきにかえて　は、新しく翻訳チームに加わった（らしい）小津薫さん。一ページ。
　ローダンについてのコメントはなく、翻訳者としての簡単なプロフィールのみです。

		Ver. 3.01

管理番号：R400-504	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 504巻					出版社：早川書房
書名：宇宙ハンザ	ハヤカワ文庫SF2026　ウ1-504　早川文庫7630					ISBN978-4-15-012026-9　 C0197

1007 宇宙ハンザ		Die Kosmische Hanse				ウィリアム・フォルツ			1980/12/9	翻訳：渡辺広佐
1008 コンピュータ、発狂す		Ein Computer spielt verrückt				エルンスト・ヴルチェク			1980/12/16

		価格：640Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/9/15		購入：2015/9/11	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1007 宇宙ハンザ
　宇宙ハンザ424年、新銀河暦NGZ　Neue Galaktische Zeitrechnung　で424年、8月。
　このNGZとは、かつてテラで使われていた西暦にすると3588年1月を起点として、そこを0年とした新しい暦です。
　あたらしい歴史に入って400年以上も経っているのだから、人間のメンタリティも変わる、という設定が面白い。なんと、犯罪などと言う無粋なものはこの世界から消えてしまったのだそうな。そんな因子が仮にあったとしても、子供の時代に治療されてしまうらしい。
　しかしこんな世界にも異端児はいるのです。ロバート・W・G・エールズという男は、デリンジャーと名乗り、強盗を生業としています。

　かつて銀河系宇宙に覇を唱え、公会議によって征服されたのちは平和主義で銀河系に勢力を確保していたテラナーを中心とする人類社会は、いまや宇宙ハンザという商業帝国を築いています。
　司令部をかつてインペリウム＝アルファがあったテラニア・シティの中心に置き、ハイパー・インポトロニクスのネーサンがあるルナ、惑星オリンプ、そしてかつての強者の播種船六隻を拠点としています。播種船はそれぞれ＜ハンブルク＞、＜ノヴゴロド＞、＜ダンツィヒ＞、＜ベルゲン＞、＜リューベク＞、＜ロストック＞と呼ばれ、巨大転送機で結ばれています。
　この通称・商業帝国である宇宙ハンザは、424年の長きにわたり交易機構によって銀河系各種族に繁栄と平和をもたらします。
　しかし、これを率いるローダンの思惑は、実はそれが目的ではない。〝それ〟が依頼した、敵対する超越知性体セト＝アポフィスとの戦いが、この宇宙ハンザ設立の目的だったのです。

　コグ船＜キルト＞が、ヴェガ星系に接近する謎の物体を発見したのはこのとき。発見した物体に接近しようとすると精神的ななにかによってはじかれます。原因不明。
　報告を受けたローダンは、同じように接近する試みをくり返したあげく結論を出します。この物体は特殊なメンタル・バリアに覆われており、反社会的な人間、犯罪者でなければ接近できないのだと。
　しかし、犯罪というものが全くなくなってしまったこの世界に、そんな人間がいるのか。

　　1008 コンピュータ、発狂す
　恒星ソルから23,480光年離れた惑星マルディグラには、知性を持った原住民がいました。テラのペンギンのような姿のディルト人と呼ばれた彼らは、人類とはコミュニケーションが取れず、その知性には疑問が持たれています。
　ミミと呼ばれたディルト人の本名はベリーブルー　Beerblau。彼女がチョンナックと呼ぶ色がない異人は、彼女に話しかけようとしているらしい。しかしこの色なしの色を、彼女は読み取れない。彼らが「ヒュプノ学習装置」と呼ぶものを彼女に使い始めるにつれ、互いにコミュニケーション手段の違いがわかってきます。ディルト人が視覚で会話し、人類は言語で会話することを。そしてそれから。

　惑星マルディグラに商館が設立されたのは十年前のこと。このマルディグラ商館を統括するコンピュータ、アルバートが正常ではないことは、わかっていました。しかしそれが単なるミスの連鎖から宇宙船の着陸で重大な事故を起こすようになると、単なるエラーではすまされない。NGZ424年8月8日のことでした。
　商館のチーフ、アルジャ・シメンスはアルバートをシステムから切り離そうとしますが、うまくいきません。

　アルバートはいっさいを責任転嫁した。
　「わたしは百パーセント正常です」と、主張する。「自己チェックしても、ミスはいっさいありません」
　「だけど、すべての出来ごとの原因がポジトロニクスにあることは納得するしかないでしょう」アルジャは反論した。
　「あなたがたはそう思うでしょうが」と、アルバート。「わたしが間違いを犯すはずはないのです。わたしのなかで実行されているのは、作動開始時点を同じプロセスなのですから。こちらの責任を問うのはかまいませんが、証拠はありますか？　エラーの原因をしめせるなら、わたしが間違っていると認めましょう。ですが、そうでないことはあなたにもわかるはず。わたしは間違うことなどできないのです」　　（P181-182）

　明らかな間違いを犯しても、アルバートは頑としてミスを認めません。
　いつでも自分のシステムを点検してください、と言いつつ自分の回路にはだれにも近寄らせません。
　なぜ、なんのために。何が起きているのか。

　この星の原住民である臆病なディルト人は、なにか関わりがあるのか。

　あとがきにかえて　は、渡辺広佐さん。
　朝ドラの話から始まります。いま放映している「まれ」で、主人公が来ているTシャツに書かれていた文字　Drück mich とは、おそらく「ハグして」という意図で作られたのだろうけれど、「私を押して」とも取れるのだそうな。
　そんなこんなで、ドイツ語の書かれたTシャツのこと。そして一句。
　　　　Tシャツの文字の羅列や雨あがり　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2015/10/1）

		Ver. 3.01

管理番号：R400-505	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 505巻					出版社：早川書房
書名：マルディグラの工作員	ハヤカワ文庫SF2027　ウ1-505　早川文庫7631					ISBN978-4-15-012027-6　 C0197

1009 マルディグラの工作員		Angenten auf Mardi‐Gras				エルンスト・ヴルチェク			1980/12/23	翻訳：赤根洋子
1010 コンピュータ人間		Der Computermensch				ペーター・グリーゼ			1980/12/30

		価格：640Yen	ページ数：288P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/9/25		購入：2015/9/19	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1009 マルディグラの工作員
　ローダンがソルから登場。マルディグラまでの23,480光年の移動方法は、〝目〟を使った〝無間隔移動〟によるもの。同行者はロバート・W・G・エールツ。大混乱の商館の中は、ローダンその人が現れてもそれどころではありません。あらゆる電子機器、コンピュータにアルバートが取り付き、とんでもない状態となっています。生命の危機すらある状態。アルバートに取り込まれ、
　このアルバートの異常、暴走の原因はなにか。
　八方ふさがりのローダンの元を訪れたミミことディルト人のベリーブルーは、自分がアルバートに取り込まれそうになったが、他のテラナーと違って自分の意志を持っていることを告げます。
　ミミの協力などでやがてわかってきた事実。この世界は、超越知性体セト＝アポフィスの進行に晒されていること。その工作員となりうるのは、あらゆる銀河系諸種族であること。彼らは工作員となってしまっても、その間の記憶が消えればいままでの人に戻ってしまい、その間の記憶もなく、その責任を問えない状態となること。
　この攻撃から人類を守ることを目的に、宇宙ハンザは作られたのだ、というのが少数だけが知る秘密。その目的が、ついに発動することに。

　　1010 コンピュータ人間
　NGZ424年9月3日、テラの年齢で22歳のアデレーアは、故郷惑星を離れてテラニア・シティに移り住んでいます。
　目的は、デルタコム開発研究所のマルセル・ボウルメースター所長のもとで研究員として働くこと。そのため休暇で金星を旅行していたモーティマー・スカンドを頼ってテラニア・シティにやって来たのでした。スカンドの目的は、むろんこの美人とお近づきに、できれば伴侶になることですが、これはまァローダン・シリーズのお約束。
　で、研究員として有能で熱心なとことを見せて採用されたアデレーアは、むろんお約束通り仕事熱心で行動力のあるボウルメースターに夢中になる。スカンドとしては面白くない。
　このボウルメースターは、ローダンがマルディグラから持ってきた「コンピュータ悪性セル」の研究をしています。マルディグラの商館を壊滅させたと思われる謎のウィルスです。これを研究することによってセト＝アポフィスの陰謀への対抗策を講じたいということ。
　しかしこの謎のウィルスに、ボウルメースターが「感染」してしまう。
　夜中に遠吠えをするという変わった性質を持つ宇宙の孤児、キウープ Quiupu は、はたしてどんな関わりを持つことになるのか。

　あとがきにかえて　は、新たに翻訳チームに加わった赤根洋子さん。
　翻訳者は黒子に徹すべきもの、その作品が翻訳であることを読者に忘れさせるほど〝気配〟を消すことができれば最高の出来、という言葉に大いにうなずきました。とはいえ、ローダン・シリーズは独特の色があります。それにあわせるのも翻訳者の手腕。
　わかっていますね。頑張ってください。そのとおり、出版界のサグラダファミリアです、ここは。　　（2015/10/14）

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管理番号：R400-506	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 506巻					出版社：早川書房
書名：第五使者の誕生	ハヤカワ文庫SF2031　ウ1-506　早川文庫7649					ISBN978-4-15-012031-3　 C0197

1011 第五使者の誕生		Angriff der Brutzellen				ペーター・グリーゼ			1981/1/6	翻訳：星谷馨
1012 プログラミングされた男		Der programmierte Mann				H・G・フランシス			1981/1/13

		価格：640Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/10/15		購入：2015/10/8	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1011 第五使者の誕生
　コンピュータ悪性セルに支配されたマルセル･ボウルメースターによって心臓のそばにその悪性セルを埋め込まれたアデレーアは、思考内容まで支配されて抵抗すら出来ない状態になってしまいました。どうすればいいのか。
　対するマルセル･ボウルメースターは、たまに自分の意志で動けるときもあるものの、体内に巣くう悪性セルの支配領域が広がるにつれ、人間の外見をしたロボットに変質しつつあります。わずかに残ったボウルメースターの精神が必至で抵抗を続けていますが、望み薄。しかし、人類史上最大の月にあるインポトロニクス、ネーサンのもとに行けば自分を解放してくれるかも知れない考えました。その判断が、実はネーサンに悪性セルを感染させようという陰謀だとは気づいていない。
　そのほかの重要人物としては、キウープ。謎の放浪者、記憶をなくした研究者、ヴィールス･インペリウム再建の謎を解明する任務を負った〝宇宙の捨て子〟。
　そしてアデレーアに思いを寄せるモーティマー・スカンド。宇宙ステーション“アウトポスト4271”で孤独な勤務を行うデイニンジャー。

　セト＝アポフィスのエージェントたる第五使者とは誰か。“H”と“Ｏ”を示すモールス符号に気づいたツナミ・スペシャリストは何者。
　ツナミ･スペシャリストとは、古代テラ史に記録される「津波」からローダンが命名したもの。従来タイプの宇宙船ではセト＝アポフィスとの銀河ゲリラ戦を戦えないと考え、小型で機動力に富み、高度に特殊化された船をにより編成された特務艦隊ツナミ(Spezialflotte TSUNAMI)()に乗る特殊な要員たちのこと。
　さて、彼らの活躍や如何に。第五使者はどうなったのか。

　　1012 プログラミングされた男
　セト＝アポフィスの工作員によるコンピュータ悪性セルの攻撃ののち、判明したことがあります。彼ら工作員は、自分の意志あるいは脅迫によってそうなったのではない、ということ。そして彼らは自分が工作員として行動していた記憶が全くないこと、そしてセト＝アポフィスに活性化されるまではごく普通の市民であり、活性化されればいつでも工作員となってしまうと言うこと。
　何の自覚もなしに。
　これは恐ろしいことです。彼ら工作員となったことのある市民が社会の敵かというと、必ずしもそうではないのです。工作員でないときはその罪を問うことが出来ないから。
　彼ら潜在的工作員を発見し監視するという非常に困難な任務を与えられたのは、ツナミ・スペシャリストたち。

　堅物の輸入管理官ブルーク･トーセンの運命、謎が多いスポーツ･マネージャーであったグルウデ・ヴェルンの正体、そして尽くす女アンビー・テルンの行く末はいかに。

　あとがきにかえて　は、星谷馨さん。
　五百巻達成の祝いと、悪性セルの描写のおぞましさ、前半のアデレーアと後半のアンビー・テルンの二人の女性のサイドストーリーの対比、そして後半を執筆したH・G・フランシスがドイツ版の2012年2月13日刊行の2656巻 “Das Feynman-Kommando” （作者Wim Vandemaan）の表紙を飾ったこと。
　そのほか、ドイツ版525巻の表紙はなぜかジョン・レノンだったそうな。不思議ですが面白い。　　（2015/10/22）　

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管理番号：R400-507	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 507巻					出版社：早川書房
書名：災厄のスプーディ	ハヤカワ文庫SF2032　ウ1-507　早川文庫7650					ISBN978-4-15-012032-0　 C0197

1013 災厄のスプーディ		Die Spoodie‐Seuche				H・G・エーヴェルス			1981/1/20	翻訳：若松宣子
1014 すべては＜ソル＞のために		Alles für die SOL							1981/1/27

		価格：640Yen	ページ数：256P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/10/25		購入：2015/10/23	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1013 災厄のスプーディ
　クラン人の宇宙艦＜ブロッドム＞の第一艦長ダクシエルは、600隻の艦船を擁しているクランドホル公国第17ネストに接近します。艦内にいる三人のベッチデ人の出過ぎた振る舞いにいらつきながら。
　しかしそのネストがどうもおかしい。信号に応答しないし、そもそも通信が何も検知できない。
　二つの問題をまとめて処理しようと考えたダクシエルは、ベッチデ人三人組に第17ネストに潜入して状況を確認するように命じます。ある意味、厄介払い。

　潜入した三人組、サーフォ・マラガン、ブレザー・ファドン、スカウティは、驚くべき光景を目にします。いきなり攻撃してくる生物たち、狂気に陥ったような士官たち。どうもスプーディが異常な疾病に罹患しているらしい。
　そして彼ら三人も、不意に誰かの意志に支配されてしまう。ようやく振り切ってこの原因を探るうちにたどり着いた惑星で、クラン人を主に支配しているようなのでスカウティが＜クラン人トラップ＞と名付けますが、＜ソル＞が漂着しているらしいという情報が。おお。

　　1014 すべては＜ソル＞のために
　〝クラン人トラップ〟と名付けられた惑星で伝説の故郷である宇宙船＜ソル＞を探索するベッチデ人三人組。この〝準・ジャングル惑星〟で何を見つけるのか。
　この惑星には、奇妙な現象が見られます。何かが人々を引きつけるのです、殺人的に。周囲を航行する宇宙船さえ操られ、気づくと致命的な速度で惑星に激突するコースを進んでいたり。何が原因なのか。
　マイヤーと名付けた奇妙なロボットを加え、経験を積んでますます抜け目なくなるベッチデ人三人の活躍は、何にぶち当たるのか。

　あとがきにかえて　は、若松宣子さん。一ページのみ。
　和歌山で生まれた女の子の双子のパンダの名付け親になった話。応募した一万通程度の中で、若松さんは桜浜(おうひん)()と桃浜(とうひん)()という名を応募した200人ほどの中にいたのだそうです。
　めでたいし心温まる話ですが、中国のから高いレンタル料で借りたパンダの子供で、いずれ中国に返さなくちゃいけないんだよね。
　ちょっと複雑です　なう。　　（2015/11/7）

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管理番号：R400-508	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 508巻					出版社：早川書房
書名：賢人の使者	ハヤカワ文庫SF2035　ウ1-508　早川文庫7666					ISBN978-4-15-011921-8　 C0197

1015 祖先の船		Das Schiff der Ahnen				マリアンネ・シドウ			1981/2/3	翻訳：増田久美子
1016 賢人の使者		Zwjschenspiel auf Karselpun				クラーク・ダールトン			1981/2/10

		価格：640Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/11/15		購入：2015/11/7	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1015 祖先の船
　表紙絵は何だろね。ズボンだけはいた二人の男と、下帯というかフンドシだけ身につけた女。むろんベッチデ人三人組ですが、絵的にはおじさんと言うより厨二病的な妄想というべきか。(笑)
　ともかく、その三人の物語で始まります。
　惑星上にある赤い難破船が、結局＜ソル＞ではないとわかって、憮然とする三人。では次はどこを探せばいいのか。
　しかし級形のその船を探索しているうちに、奇妙なものに出会ったのでした。何百という人骨の破片が。そして広大な指令室らしき区画の向こうで、奇妙なものを発見したのでした。スイッチを入れると映像が浮き上がる装置。
　何ごとか話している一団の人々の中で、すらりと背の高い銀髪で赤い目の男が何か語っています。唖然と見つめる三人の前で、不意に音声が流れます。奇妙なイントネーションですが、なぜか理解できる言葉で。
　ベッチデ人の言葉の原形に当たるものらしい言葉。

　「・・・・あらたな備蓄を船内に入れよう」銀髪の男がいった。「妥協するのだ。きみたちは外界との接触なしには、生きのびることはできない」
　べつの男がスクリーンのすみにあらわれて、銀髪の男のところにきた。明るい褐色の肌、赤褐色の髪だ。
　銀髪の男は相手をしげしげと見つめて、
　「すべて順調か？　それとも、この計画の技術面に何か懸念でもあるのか？」
　「いいえ、アトラン」赤褐色の髪をした男はほほえんだ。「＜ソル＞は問題ありません。飛行は続けられます」　　（P124-125)

　そこで録画は切れます。いったいこれは何か。アトランとは何者か。＜ソル＞だって？

　　1016 賢人の使者
　惑星クラン人トラップで見つかった巨大難破船は、ダンベル船＜ソル＞の級形セルのひとつでした。ベッチデ人の三人組はまだそれを知りません。
　クラン人と共にこの難破船にいた三人は、搭載艇で第17艦隊ネストに運ばれます。指揮官のケロスは、この異人三人を迎え、賢人の使者ジョンスが会いたがっていると伝えたのでした。
　そのジョンス、なにやらこの三人が気になるらしい。そして、賢人と会ったことがあるのか、と聞きます。
　もしかしてこの賢人の使者と名乗る男、賢人に会ったことも賢人がどういう者かも知らないのではないか。三人はいったい何に巻き込まれるのか。
　ますますややこしくなるこの世界の冒険、どう決着がつくのでしょうか。わからんなぁ。

　あとがきにかえて　は、増田久美子さん。
　町で通勤途上で見かけた少女との言葉に出さない徒競走の話。あはは。　　（2015/12/13）

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管理番号：R400-509	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 509巻					出版社：早川書房
書名：ベッチデ人とハンター	ハヤカワ文庫SF2036　ウ1-509　早川文庫7667					ISBN978-4-15-012036-8　 C0197

1017 兄弟団を探して		Auf den Spuren der Bruderschaft				クルト・マール			1981/2/17	翻訳：小津薫
1018 ベッチデ人とハンター		Die Betschiden und der Jäger							1981/2/24

		価格：640Yen	ページ数：272P				本のサイズ：文庫
初版発行：2015/11/25		購入：2015/11/21	表紙イラスト：工藤稜くどうりょう)

　　1017 兄弟団を探して
　補給艦＜トリストム＞にに乗り組んだベッチデ人三人組は、どうも浮いています。なにしろ、第一艦長ケーリガンに直接指示を出すくらいに偉そうなのだから。
　しかしこの三人につきまとうクラン人がいます。捕らえて、話を聞こうとしたサーフォ・マラガンは、この男から奇妙な言葉を聞きます。兄弟団 Bruderschaft という秘密組織があるらしい。どうやら、二匹のスプーディを頭に入れた人々のための組織のようなのですが、どうも謎めいています。二重保持者はどうも分が悪い、取締の対象になっているらしいことを考えると、この兄弟団はサーフォにとって救いかもしれない。
　他の二人は一匹ずつしか装着していませんが、それでもこの情報は魅力的。
　＜トリストム＞から脱走し、禿げたプロドハイマー＝フェンケンである彫刻師ネリドゥウルの作ったマスクで変装し、兄弟団と合流しようとする三人。はたしてこの先どうするのか。

　　1018 ベッチデ人とハンター
　フォルガンⅥにすむアイ人の中に存在するアイ人突然変異体に仮想した三人組は、ブレアー・ファドンとスカウティが先行し、サーフォ・マラガンがそのあとを追うというかたちで逃亡を続けます。恒星スムジャルクをめぐる惑星ケリヤンの一日は32時間。楽ではない。しかも、彼ら三人には、情報だけで一万タリという賞金までかかっています。
　彼らを狙うハンターたちまでも現れる中で、ようやく兄弟団に合流できた三人。しかしこの兄弟団が何か怪しい。
　しかしハンターの一人、バルクハーデンとの出会いが、彼らの運命をまた変えることに。

　あとがきにかえて　は、小津薫さん。
　研究者だった夫との長いドイツ生活で、という書き出しなので女性なのだとわかりますが、今回も一ページのみなのでそれ以上のことは不明。
　ドイツで自動車事故に遭った話。道からはずれて崖下に転落した話。うむ、20年前くらいに冬の峠でやらかしたことがあったっけ。
　あれは怖いよね。　　（2015/12/22）

　宇宙英雄ローダン　500～509　