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 ローダンNEO 017～024  Epoche 3 銀河の謎編 Das galaktische Rätsel
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-017 | 10RN ローダンNEO 017巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：テラニア執政官 | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012240-9 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Der Administrator（2012/5/11） | 作家：フランク・ボルシュ | 翻訳者：柴田さとみ | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2240 ロ10-17 早川文庫8373 | 価格：740Yen | ページ数：304P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/7/25 | 購入：2019/7/21 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 ヴェガ星系、2036年9月13日のペリー・ローダンが出だしの話。第3部の開幕ですが、例によって視点があちこちに飛ぶ群像劇として進行します。 正伝のローダンものと異なり、今の時点で人類が旗艦としたのは、ヴェガ星系の戦いでトプシダーから奪取した旧アルコン戦艦ではなく（あっちは破壊してしまいましたので、）テラの大西洋に一万年前から潜んでいた旧アルコン戦艦のフネ＜トソマ＞。どちらも直径800メートルの巨艦ですが、＜トソマ＞の方が遙かに整備状態や金属疲労、老朽化が気になるところなんですが、どうなんでしょうね。 この世界でのローダンは、人類を率いるリーダーという自覚はあまり持っていません。リーダーはリーダーでも、どちらかというと最前線指揮官といったところ。 ＜トソマ＞指揮官のレスリー・パウンダーの制止を振り切ったローダンが今行っているのは、フェロンの小型輸送艇＜パネルク＞による三人で行う探索行。同乗するのは相棒のレジナルド・ブルとフェロン人のカクトール。行き先は、ヴェガの第14惑星ゴル。直径約20万キロ、表面重力はほぼ20G。 ここには亡霊が住む、というのがフェロン人の間に伝わる伝説。これは事実なのか。 彼らはそこでトプシダーの戦闘艦を発見します。そこに幽霊は潜んでいたのか。 ＜ネスビット＝ブレック＞とはトプシダーの言葉で〝きらめく星〟という意味らしい。多少の損傷ヵ所はあるものの、まだ使えそう。乗組員はすべて退艦していますがその経緯は謎。とはいえ無事に奪取できたのだから良しとすべきか。 しかしその過程でローダンがヴィジョンとして見たものは、巨大な、半球だけの惑星。それは何を意味するのか。 大西洋海底のドームは、人類の調査団がその謎を解こうとしています。遙かな古代のアルコン人が、なぜここに子のように巨大な基地を作ったのかをはじめ、多くの謎はいまだに解けていません。 アルコン人クレスト・ダ・ツォルトラルは、このドームを管轄するポジトロニクスと奇妙な会話をします。 このドームに残された古代のアルコン人たちのDNAのこと。
なぜこのポジトロニクスは、クレストの疑問に正面切って回答しないのか。クレストが望む不死の伝説の開明に、答えはあるのか。 ドームでは、ヴェガ星系から戻った日本人ウリウ・セングと、一見軽薄なティーンエイジャーのアリアン・コラスという共通点など何もなさそうな二人のミュータントの物語も語られます。 福島で放射脳を浴びた過去を持つウリウと、心に自分への嫌悪感を持ち、かつてクリフォード・モンタニーの元に集められた孤児の一人であるアリアン。透視能力者のウリウと、精神の力であらゆる香りを生み出せるアリアン。この二人が発見したのは、今まで誰も気付かなかった海底ドームの奥底の部屋。そこで見つけたものは、想像を絶する新たな施設。 一万年前、現在の人類の直系の祖先が一千万人かその半分程度しかいなかった新石器時代に、古代のアルコン人はいったいここで何をしていたのか。そしてそこにあった世界各地の、そしてさまざまな年代の遺跡。 クレストは月で出会った医師エリック・マノリに告げられます。彼の体の中で起きた事を。 これが、トプシダーの賢者トルケル＝ホンと共に旅に出るきっかけとなります。どこへ、何をしに。 地球に帰還した＜トソマ＞は、＜ネスビット＝ブレック＞とフェロン人の感謝のしるしであるさまざまな車両、航空機を披瀝します。これは、まさに凱旋。指揮官であるローダンは、今後行われるテラニア執政官の選挙に打って出ることを期待されていることは間違いない。それは、新たな人類の未来なのか。 そして最後の瞬間、ローダンはなにを決断し、なにを語ったのか。 そうか、もしかしたらNEO世界はローダンを単純な人類の指導者とは見ないのかもしれない。その方が、新たな「大宇宙を継ぐ者」としてリアルなのかもしれません。 次巻はどんな世界を見せてくれるのかな。 （2019/8/20） 巻末は、まず＜ローダンNEO＞第3シーズン刊行リスト。17巻から24巻まで。 またあとがきとして、NEO200巻までの軌跡 と題するこれからのあらすじのようなもの。年間8巻ずつ刊行されるとすれば、20年以上先にならないと読めません。 その時まで生きていたいもの。(笑) 読書メーターの記録より 読了：2019/7/24 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-018 | 10RN ローダンNEO 018巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ヴェガ暗黒時代 | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012244-7 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Der erste Thort（2012/5/25） | 作家：ミシェル・シュテルン | 翻訳者：長谷川圭 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2244 ロ10-18 早川文庫8386 | 価格：740Yen | ページ数：288P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/8/25 | 購入：2019/8/23 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 本の扉に、こんな言葉が掲示されています。
トプシダーの哨戒艇＜ネスビット・ブレック＞でヴェガ星系第13惑星グロルの第2衛星ザルディクに接近するローダンらのグループ。メンバーは、ペリー・ローダン、レジナルド・ブル、アルコン人のトーラ、ミュータントのラス・ツバイ、スー・ミラフィオーレ、そしてフェロン人のカクトールとロソシェル。2036年9月15日のこと。 彼らの、特にトーラの目的は、去っていったクレストの捜索。 永遠の生命を探るために地球に来たクレストは、手がかりを追って転送機でとこともしれないところに去っていったのですが、その転送機は転送直後に壊れてしまいます。クレストとフェロン人の賢者トルケル＝ホンは、いったいどこに行ってしまったのか。このむこうのどこかにいるのか。無事なのか。 しかし探しあてた次の転送機をくぐると、そこは全然別な世界。兵士が現れ、あっという間に彼らは拘束されます。しかも、そのまま徴用され、砲弾の的になれと言われる。いったいここはどこなのか。いや、それどころではない。 ここは何時なのか。 そしてロソシェルが発見した、一人の粗暴な兵士の額にある第三の目。
もう一つのパートは、ジュリアン・ティフラーとミルドレッド・オーソンズ。彼らは行方不明になっているティフラーの父を探そうとしています。弁護士ウィリアム・ティフラーとジュリアンは、「お前は私に似て優秀なのだから弁護士になれ」式の父と必ずしも折り合いは良くなかったのですが、この父は、アメリカ政府がクレストを合法的な法廷リンチにかけたとき、唯一その弁護に立った硬骨漢。生きているならなんとかして救い出したい。 出会ったのは自称〝大宇宙を救う者〟グッキー。皮肉屋で気分屋でいたずら好きの身長1メートルのネズミ=ビーバー。テレパシー、テレキネシス。テレポーターをこなすミュータント。三人で捜索を開始しますが、前途多難。 モンカダスというアンチミュータント、他の能力者たちの能力をブロックする男に捕らえられたグッキーに話しかけたのは、ベティ・タウフリーという少女。彼女にあたえられたニンジンというなんとも美味い植物と共に、グッキーは新しい友人を手に入れたらしい。 彼らは、どうやって脱出するのか。父ティフラーは救い出せるのか。 ところで、古代フェロン人の頭目がトーラの美貌に興味を抱き、まるで1920～50年代のお馬鹿SFのように、この女をものにしようと情欲むき出しになる場面があります。 生物学的に異なる種族で、外観もメタボリズムも違う異星人とどうやってセックスしようと考えるのか疑問。体臭一つ考えても、「こちら側の美女」に「あちら側の絶倫男」が魅力を感じ情欲を刺激されるとは考えにくいのですが。 昔のSFの「お約束」をおちょくったのかな？(笑) （2019/9/28） 読書メーターの記録より 読了：2019/9/1 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-019 | 10RN ローダンNEO 019巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：トルト戴冠 | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012244-7 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Unter zwei Monden（2012/6/8） | 作家：マーク・A・ヘーレン | 翻訳者：鵜田良江 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2249 ロ10-19 早川文庫8400 | 価格：740Yen | ページ数：288P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/9/25 | 購入：2019/9/21 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 プロローグは、一人の男の苦悩。彼、イワン・ゴラチンは兵士でした。特殊な能力、カルシウム原子を核爆発させる超能力を持ち、中東の戦場でサリバン兵に「ツァナヴァー」狂戦士と呼ばれた兵士。その殺戮の記憶は、今もなお彼を苦しめていたのでした。また、彼の双子の弟であるイワノヴィッチの犯した人類への罪も、彼を苦しめています。 本文の最初の章は、タチアナ・ミハロヴナの物語。 2036年9月14日、見知らぬ世界で と題された章。 彼女とクレスト、そしてトプシダーの賢者トルケル＝ホンが転送機をくぐって現れたのは、アルコン製の戦闘スーツが重力を補正してくれなければ立っていられなかったような異世界でした。表示は、1.4G。重病人のクレストにとって、かなりきついもの。 ここはいったいどこなのか、との疑問はすぐ解けます。気象や生物の様相からして、太陽はヴェガであり、ここは惑星フェロルに違いない。しかし空に見えるのは、トプシダーが侵攻作戦の時に破壊したはずの第2衛星バイトン、あるいはそれらしきもの。どういうことなのか。 並行世界のヴェガに飛ばされたのか、と取りあえず解釈されます。だとすると、クレストの目的である不死の謎へは近づいたのか、どうなのか。しかしさまざまな状況により、彼らは理解します、これは数千年前のフェロルだ、と。 彼らはのちの時代でフェロル人の精神的支柱となるトルトがいるというトルタに向かおうとします。そのために、自分たちの超能力を利用してサーカス団に入りこんで旅をしようと考えたのです。 はたしてこれは、上手く行くのか。 そして、トルタにあえた彼らはどうなるのか。 読者にとって知りたいのは、これがローダンらが去ってからどのくらいたったのか、ということ。それにより、この世界の歴史が変わるかもしれない。この答えはどうなったのか。 そしてシド・ゴンザレス。2036年9月26日からの物語。 ベティ・タウフリーと共に救い出した異星人ミュータントのグッキーの回復を見届けたのち、テラニアの街であるものを見ます。
過去に押し潰されて後悔にさいなまれているイワンを追い、彼を破滅させて復讐しようとするシド。 『レザーストッキング物語』とはジェイムズ・フェニモア・クーパーが書いたアメリカ開拓記の五作の物語。第二作の「モヒカン族の最後」が有名ですが、日本ではあまり知られていないかも。 しかしシドには別な不満もありました。それまでの活躍にもかかわらず、超能力者による実戦部隊、ミュータント部隊の一員として認められないこと。シドの精神的な幼さが理由なのか。 一人前に扱って欲しいと願うようになったシドにとって、これは屈辱的なこと。 自分の忌まわしい能力を捨てたいと願うイワン・ゴラチンとは対照的に。 無茶をしてひとり歩きしたシドの見たもの、それはファンタン星人の生き残りを監禁している組織。シドは何を考えたのか。少年の単独行を聞いてジョン・マーシャルはどうしたのか。 自分の超能力を捨てたイワン・ゴラチンは何を思ったのか。 ところで
トルトの、ペリー・ローダンと出会ったという言葉は一堂を喜ばせます。しかしその後の言葉は彼らを落胆させます。ローダンらは数年前にトルトを救い、転送機で去っていったという。どこへ。 という訳で、今回はローダンは出演せず。残念。（2019/11/16） 読書メーターの記録より 読了：2019/10/10 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-020 | 10RN ローダンNEO 020巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：水の惑星レヤン | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012244-7 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Die schwimmende Stadt（2012/6/22） | 作家：ヘルマン・リッター | 翻訳者：安原実津 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2255 ロ10-20 早川文庫8416 | 価格：740Yen | ページ数：304P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/10/25 | 購入：2019/10/19 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 この巻で語られる物語の一つの舞台は、水におおわれた惑星レヤン。ここの海に住む部族＜魚＞のテルガーを主人公とした物語が、最初に描かれたもの。海で漁をする＜魚＞たちと、わずかな島に住む＜泥這い＞たちの葛藤、争いが、とりあえずのテーマ。 次の舞台は、転送機によってどことも知れない世界に現れたペリー・ローダンたち一行。どこ、だけでなくいつなのかもわからない。とりあえず、ロフスではないので、危険は薄れたと思っていいのか。 しかしここで出会った諜報者と名乗る相手は、新たな謎。異星人なのかロボットなのか。 ラス・ツバイとスー・ミラフィオーレのテレポート能力で脱出すると、ローダン、レジナルド・ブル、トーラ、そしてフェロン人のカクトールとロソシェルは、ヴェガ星系第7惑星レヤン上空である事がわかります。 窮地を救ったのはレヤン人──というよりフェロン人の子孫。この水の惑星で漁師として海の民＜魚＞になった人々は、レヤン人と自称しており、母星からの要求である収奪を担当する島の住民と対立しています。状況は爆発寸前で、現状を変えるためには、今すぐなにかをしなければならない。 それに手を貸すことは、ここが明らかに彼らにとって過去に当たる時代である事を考えると、次官に対する干渉になるのではないか、ともローダンは思う。しかし彼らにそんな余裕があるのか。彼らの急務は、次の転送機を見つけて元の世界、元の時代に戻ることだというのに。 第三の舞台は、西暦2036年10月4日、地球の海底ドーム、と説明されます。地球に残ったエリック・マノリを中心にした展開で、海底ドームに収納された驚くべき過去の遺物が示されます。旧作を読んでいる読者にとっては、アトランが早く現れないかやきもきするところですが、とりあえずこの巻ではまだそこまでは行きません。 この海底ドームにも、どこにつながっているのかまったく不明ながら転送機がある、というのがNEOの新展開。 ジュリアン・ティフラーが過去に発見したシュプール、アルコン船＜イギタ＞の痕跡を追って、歴史学者のエクスナーと謎のネズミ＝ビーバー・グッキーを連れて土星の衛星タイタンに向かったエリック・マノリ。しかし彼らの宇宙船は遭難してしまう。破壊された宇宙戦を脱出してようやく＜イギタ＞を発見した彼らは、そこで転送機を発見します。なぜこれがこんなところにあるのか。これは使用可能なのか。 あちらもこちらも中途半端で、この巻は終わります。幕間劇的なものなのでしょうか。レヤン自体が旧ローダンの物語にないことを考えると、いろいろ考えさせられるもの。 さて、間が開いた次のローダンNEOを読むとしましょうか。（2020/02/09） 読書メーターの記録より 読了：2019/11/21 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-021 | 10RN ローダンNEO 021巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ワールドスプリッター | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012259-1 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Der Weltenspalter（2012/7/6） | 作家：アレクサンダー・フィスケス | 翻訳者：長谷川圭 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2259 ロ10-21 早川文庫8432 | 価格：780Yen | ページ数：288P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/11/25 | 購入：2019/11/21 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 転送機で見知らぬ場所に現れたアルコン人クレスト、地球人タチアナ・ミハロヴナ、そしてトプシダーであるトルケル＝ホンの三人。危ういところで過去のフェロルから脱出した彼らですので、「今」がいつであるかも疑う必要があります。転送機とそれを取り巻くアルコン製らしい基地から「外」に出ると、そこは異星人の惑星。テレパシー能力を持つタチアナがその町を探ってみると、この異星人はアルコン人ではない。やがて現れたのは、昆虫種族の〝オルグ〟。この惑星ケドハッサンを支配する知的生物らしい。 とっさにタチアナは、自分たちはアルコンの視察団であると名乗って高圧的に彼らに対峙します。この惑星を視察に来たといい、頭越しに自分たちの待遇について命令を下します。あわててかしこまるオルグをどれだけ欺せるのか。 その中で、彼らの思考を探っていたタチアナは、彼らがアルコンから研究プロジェクトを命ぜられていたことを知ります。そのコードネームは だがアルコン人クレストにその記憶はない。なにかわからないだけに気になる。 今そのプロジェクトが遅れ気味であることを彼らは気にしているようです。どのようなものかはわからないながら、彼らはそれをある特定の種族に対して使うよう命令されているらしい。 相手は「メタンズ」ではないか、とクレストは言う。 メタン・水素・アンモニアの惑星に居住する彼らは、クレストらにとっての現代より一万年から一万一千年ほど昔、アルコン帝国に襲いかかり、恐るべき損害を与えた種族。もしも当時、画期的で決定的な兵器があったなら、メタンズに対して使う事は当然考えられます。 しかし今がその開発時だとしても、一万年後のアルコン帝国のアカデミーでそれなりの地位にあり、歴史にも詳しいクレストがこの「ワールドスプリッター」の名をまったく知らないのはどういう事なのか。 その正体、というか試作品の映像を間近に見ることになり、さらに疑問は増します。惑星を一気に切断するようなエネルギー兵器が、その正体でした。これが完成しつつあるものなら、これほど敵に対して効果があるものをアルコンが捨て去るはずがない。 そしてもう一つ、この惑星には秘密がありました。イルト、一万年未来に現れたグッキーと同じ種族らしいネズミ＝ビーバーのイルトがこの惑星におり、オルグたちは彼らを忌むべき下位種族として抹殺しようとしているらしい。 このイルトの正体は。彼らにどれだけの知性があるのか。彼らがオルグたちを敵視するにはどんな歴史があるのか。 クレストの急な病気の発作が、彼らを理解する助けになったのか。 謎はどこまで解明できたのか。 もう一つの視点は、クレストのあとを追って旅立ったローダンの留守を守るテラ連合執政官ホーマー・G・アダムスと側近・仲間たち。テラニア市長パイ・ジュン、ドクター・ハガード、弁護士ウィリアム・ティフラーと息子のジュリアン、彼の油人のミルドレッド・オーソンズ、マイケル・オット、ジョン・マーシャルなど。 彼らはファンタン星人が地球を去った後、あきらかにファンタン星人の影響と思われる疾病めいたものの正体を探ろうとしています。 この、地球を去ったはずのファンタン星人の一部が、同じように去ったはずのたくさんの惑星を持つヴェガ星系にいまだにベスンを集めようとしています──これがテラナーたちの懸案と関係があるのか。 いまだ、謎が広がり風呂敷がたたまれる様子はありません。この第三部はどのように終息するのでしょう。 で、NEOローダンはｋの第三部で翻訳が終わりというニュースが入ってきました。人気がないのかな。 ま、24巻まで追いつくのが先かな、今は。（2020/05/31） 読書メーターの記録より 読了：2019/2/14 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-022 | 10RN ローダンNEO 022巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：時間の貯水槽 | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012259-1 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Zisternen der Zeit（2012/7/20） | 作家：ヴィム・ファンデマーン | 翻訳者：柴田さとみ | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2263 ロ10-22 早川文庫8446 | 価格：780Yen | ページ数：308P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/12/25 | 購入：2019/12/23 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 去って行ったクレストを追うローダンらが、転送機から登場します。ローダン、ブル、アルコン人トーラ、ラス・ツバイ、スー・ミラフィオーレ、そしてフェロン人カクトールの6人。現れた先がどこなのか、彼らにはわからない。しかも、転送機はそれ以上動作しません。出た先が出口のない洞窟の中でしたが、ラス・ツバイの能力によりローダンは外に出ます。外が息苦しく、極端に酸素濃度が薄いことがわかって愕然とします。今いる場所は、巨大なカルデラの外輪のてっぺんらしい。一刻も早く低地に降りないと、呼吸困難になりかねない。 彼らは息も絶え絶えに下山を始めます。カルデラの下の方に緑が見え、人家があるようなので、そこまで降りればなんとかなるのではないか。 この惑星から見える恒星は、ヴェガらしい。しかしこのような大気、重力の惑星はフェロン人のカクトールの記憶でもない。第七惑星レヤン、第八惑星フェロルよりヴェガが小さく見えます。第九惑星ロフスでもない。もしかしたら、「現在」には存在しない、第九と第十の間にあったといわれる幻のヴェガ・テンではないか。だとすると、重力の小さい異様な重力も納得できるのですが、そうであれば「いま」は今までと同じはるかな過去という事になります。 まだまだ帰還はできそうにない。 しかし問題は、この惑星の、というか今いる場所の気圧が低いこと。相当な高山に上がったような気圧のため、山道を降りる道筋で次々と倒れていきます。ローダンは、自分がひとりで先行すると宣言して歩き出し、半死半生のところで住民に救われます。 ローダンらを救ってくれた共同体は、ローダンらに代価として何を要求したのか、というとはなはだ旧時代的なものでした。遺伝子プールという名は出てきますが、世界のあちこちでわりとあった習慣ではないかな。種族のタブーという対立条件もありましたが、旅人の子を宿す行為はよく聞きます。 しかし相手が地球人やアルコン人では、そうはいかないはず。 また別な問題も発生します。かつてファンタン星人につかまってベズンとされていた二人、ブルとスーが重体になります。症状の解析も治療もわからないまま、どんどん悪化しています。ファンタン星人がなにかを彼らの体に仕込んだらしい、とわかっても、だからどうすればいいのか。このまま死を待つだけでいいのか。 ローダンの決断は、二人を救えたのか。 別なパートは、惑星アンブルの総督ガレアンと、彼の忠実な秘書シムの物語。 惑星アンブルとは、未来の世界には存在しない幻の第十惑星。全周23,000km、重力は0.89G。大気が希薄なため生息可能ソーンは高度600m程度と、住みにくい。この惑星を「フェロルフォーミング」して住民が居住できる環境とするための計画は着々と進んでいたのですが、ガレアンは全能のトルトの命令を受けて愕然とします。 この惑星をフェロル化することは諦め、住民を二週間以内にすべて惑星外に移動させよ、という。 全能のトルトが、誰かに操られているらしいことに気づいてしまった ガレアンは、どうするのか。 話が収束しないまま、次巻につづく。うーむ、時間の貯水槽ってなんだったんだよ！ （2020/06/13） 読書メーターの記録より 読了：2019/6/9 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-023 | 10RN ローダンNEO 023巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：アトランティス滅亡 | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012267-6 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Zuflucht Atlantis（2012/8/3） | 作家：クリスチャン・モンティロン | 翻訳者：鵜田良江 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2267 ロ10-23 早川文庫8459 | 価格：780Yen | ページ数：256P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2020/1/25 | 購入：2020/1/25 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 今回の視点は、主としてクレスト様御一行。アルコン人クレスト・ダ・ツォルトラル、トプシダーの賢者トルケル＝ホン、地球人のテレパス、タチアナ・ミハロヴナの三人。彼ら三人は、搭載艇＜ペスカーXXV＞で惑星トランプを脱出したのですが、この搭載艇が自壊します。死を覚悟した彼らですが、そこに限りない偶然でなんとアルコンの巡洋戦艦＜エクテム＞により救助されたのでした。しかもこの巡洋戦艦は、数隻の重巡、軽巡を率いて補給船団を護衛しており、この船団はなんとアルコンの小さな植民星、ラルサフⅢに向かうのだという。 ラルサフⅢとは、のちにそこで発達した知的生命により地球と名づけられた星。こんな偶然があるのだろうか、と驚愕するクレスト。 その他の視点としては、まずラルサフⅢにあるアルコンの植民地、この星系に派遣された皇帝の息子アトランにちなんでアトランティスと名づけられた基地の周辺に住む原住民の一人、予知者のディーラ。彼女はなぜ禁じられたアトランティスへ行くことを望んだのか。 ディーラの命を救った謎の異邦人、フェルティフ。実はアルコン人、フェルティフ・デ・ケムロル。彼は植民地アトランティスの執政官でありながら、基地を離れて原住民と交流することを好む人。メタンの侵攻がせまる中、執政官としての地位を捨てた彼は、いったい何を考えていたのか。 メタンズとの戦いのさなか、緊急の輸送船団は眇たる救難信号などに耳を傾けてはならないという厳命に反した＜エクテム＞館長デマイラ・オン・タノス。彼女はなぜクレストたちを救助したのか。アトランティスのアルコン人たちを、彼女の護衛する船団はどれだけ救えたのか。＜エクテム＞については、巡洋戦艦と戦艦の記述が混在していますが、PerrypediaによるとEKTEMは「Schlachtkreuzer」なのだそうな。微妙な話ですな。(笑) ラルサフ星系に駐在するささやかなアルコン艦隊の司令官、戦艦＜トソマ＞に座乗するタルツ・デ・テロマー。この星系のアルコン人を守り、規律を維持し、アトランの帰りを待つ堅実な軍人。メタンズの侵攻があれば身を盾にして住民の脱出を守る気概でいますが、そのときがいつ来るのか不安を抱えています。 命令違反を犯したデマイラをどうするか。彼女が拾ってきた奇妙な三人組が語る、未来からの旅行者というふれこみをどう解釈すればいいのか。一万年後に、アトランと生意気な部下クノル・テル・ペルガンが生きていたという知らせば、信じるに値するのか。そしてデマイラのもたらした帝国皇帝よりの、ただちにアトラン・ダ・ゴノツァルを呼び戻せとの命令にどう答えればいいのか。 彼の苦悩は増すばかり。 そしてアトラン。現アルコン皇帝の息子にして極秘作戦のための遠征艦隊司令長官。この本の終盤でようやく姿を見せます。一人で、搭載艇＜トマソⅨ＞を操縦して帰還した彼は、彼に不死を与えてくれる不思議な装置を与えられ、アルコン帝国がメタンズに対して優位に立てる超兵器、いわゆるコンヴァーター砲の設計図を手に入れて最高司令部に送り出したところ。 壊滅していくアトランティス植民地の姿に、彼は何を見たのか。 最後に現れたのは、かつてアトランを秘密の旅に送り出した者。アルコン人ではない彼はリコと名乗り、アトランと海岸に横たわる重傷を負った男、クノル・テル・ペルガンを潜水艦に収納して、海に去ります。 物語の終幕を描くために、なのか。 このエピソードは次の第24巻で締めくくられ、日本版ローダンNEOの刊行はそこで終わります。 ドイツ版は、はるか200巻以上まで行っているんじゃないのかな。 さて、じゃあ24巻を読むか。（2020/10/30） 読書メーターの記録より 読了：2020/10/28 |
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Ver. 3.03 |
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| 管理番号：R500-024 | 10RN ローダンNEO 024巻 | 出版社：早川書房 | |||||||
| 書名：ワールドスプリッター | Epoche 3 銀河の謎編 | ISBN978-4-15-012271-3 C0197 | ||||||||||||||
| 原題：Der Weltenspalter（2012/7/6） | 作家：アレクサンダー・フィスケス | 翻訳者：長谷川圭 | ||||||||||||||
| ハヤカワ文庫SF2259 ロ10-21 早川文庫8432 | 価格：780Yen | ページ数：288P | 本のサイズ：文庫 | ||||||||||||
| 初版発行：2019/11/25 | 購入：2019/11/21 | Cover Illustration：toi8 Cover Design：岩郷重力+S.I |
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 さて、そしてEpisode3の終幕です。まずは、クレスト・ダ・ツォルトラルとトルケル＝ホンとタチアナ・ミハロヴナの三人組、プラス、＜アエトロン＞の元乗組員でありアルコン人と何者かの混血であるクイニウ・ソプトール。転送機で現れた先は、楽園、のように見えます。
〝それ〟とは何だ、と訊ねても、〝それ〟は〝それ〟だと答えるばかり。 ホムンクにとってはその絶対性は自明の理なのですが、知らない者にはわからない。 で、久しぶりにローダン御一行。ペリー・ローダン、レジナルド・ブル、トーラ・ダ・ツォルトラル、スー・ミラフィオーレ、ラス・ツバイ、そしてフェロン人のカクトール。互いに旅を続けているうちに、最初は会わない間柄もありましたがなんとか折衷できるようになりつつあるところ。冗談や辛辣なコメントで重圧を解消しようとするブルと、感情を排して論理的に問題に向かおうとするトーラのいがみ合いが、いつの間にかいざとなると互いに補い合えるようになっていたりしています。なにかあれば口論し合うのは変わらないのですが。 しかし彼らが乗船（密航？）していた宇宙船が光速以下となり、とある「星」の近傍に達したとき、彼らに衝撃が走ります。目的地がとある惑星らしいのですが、その星系の太陽はなんとその惑星の周囲を廻っているのです。その逆ではなく。しかも驚く彼らの前に、人間──のような生物が現れます。 カルフェシュとアルコン語で名乗ったそれは、かつて惑星レヤンでラス・ツバイに救われたことがありました。 「彼」はローダンらに人数分、マルチデフレクターと呼ぶ探知機から個人を守る装置（体に貼り付けるシート状のもの）を与え、自分を信じてこの惑星のある地点に向かうように言います。彼らを敵視するホムンクという存在と敵対しているのだ、とも言うのです。 真っ向から反論したブルを押さえ、ローダンはこのカルフェシュを信じると決めます。 この二つのグループがようやく邂逅し、そしてそこに〝それ〟が現れたとき、何が起きたのか。 永遠の生命を与えられた唯一の存在であるローダンはどうしたのか。 旧ローダン・シリーズでは、数々の試練をくぐり抜けたローダンたちが〝それ〟と出会った時、永遠の生命はそれを求めて数千光年の旅をしてきたアルコン人クレストには与えられず、ローダンと彼が許すテラナーにのみ与えられました。真の勝者に与えられるトロフィーのように。 しかしNEO世界のペリー・ローダンは、違った。試練と称して、さまざまな人々、種族、世界に苦悩を与え続けた〝それ〟への怒りをぶつけます。
かつて人々は、絶対神を崇拝する信徒たちは、といってもいいかもしれない人々は、絶対者である存在の「試練」は甘んじて受けて苦悩し、その上で絶対者を讃えることを教えられたもの。しかし現代の人類は、その理不尽さに抗議する事を覚えた──そう考えるのがいいのかな。 かくしてNEO世界のローダンは、不死を与えられてこう言います。
この「There ain't no such thing as a free lunch.」という言葉は、むろん「TANSTAAFL（タンスターフル）」と略称されてハインラインのSF作品で有名になったフレーズ。代償のないものは信用するな、という言葉が、ここで唱えられます。 永遠の生命をこの言葉で拒否したNEO世界のローダンは、この先どこへ行くのか。 残念ながら、ここで日本版NEOローダンはいったん終了しました。うーん。 読書メーターの記録より 読了：2020/11/4 |
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ローダンNEO 018～024