ローダン 380-389

トップへ戻る

　

宇宙英雄ローダン　380～389
巻数	書　名	作　家
380	拠点惑星への使節	クルト・マール＆エルンスト・ヴルチェク
381	サイボーグの夢	ハンス・クナイフェル＆H・G・エーヴェルス
382	大宇宙の地獄	H・G・エーヴェルス＆クラーク・ダールトン
383	世界支配者	ウィリアム・フォルツ＆クルト・マール
384	テラ・パトロール	クルト・マール＆ウィリアム・フォルツ
387	永遠の子供たち	H・G・フランシス＆エルンスト・ヴルチェク
386	＜ソル＞還る	H・G・フランシス＆クラーク・ダールトン
387	幸福都市	H・G・エーヴェルス＆ハンス・クナイフェル
388	衛星シュ=ドントの基地	ペーター・テリド＆クルト・マール
389	黒い異人の謎	ウィリアム・フォルツ

	★このページはUnicodeです。★	Ver. 2.23

管理番号：R400-380	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 380巻					出版社：早川書房
書名：拠点惑星への使節	ハヤカワ文庫SF1763　ウ1-380　早川文庫6710					ISBN978-4-15-011763-4 C0197

759 氷原アラスカ		Eiswüste Alaska				クルト・マール			1976年3月	翻訳：渡辺広佐
760 拠点惑星への使節		Kampf der Diplomaten				エルンスト・ヴルチェク			1976年3月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：268P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/7/15		購入：2010/7/10	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　759 氷原アラスカ　
　アラスカ、という題なのだから、主人公はアラスカ・シェーデレーアかと思ったら違いました。
　人類が消えてしまった地球ですが、なぜか数少ないながらわずかな人々が存在しました。このエピソードはアラスカ・シェーデレーアのグループ以外で生きのびた人々の物語です。
　紡績会社の営業マンだったワリク・カウクが目をさましたとき、クロノグラフの表示は3582年1月12日。記憶による最後の日付は、3581年9月2日。この4ヶ月の中で何が起きたのか。彼は手元のラダカム通信機を改造して自動呼び出しに設定し、誰か生存者が応答しないか待ち続けます。
　コンタクトできた相手は、アラスカで地球重力の異常を計測していた技師ボールドウィン・ティングマー。彼はなんとかしてベーリング海を渡り、かつてのゴビ砂漠にあるテラニアに行くべきだと言います。
　学生ブラフ・ポラードが目覚めたとき、あたりにいたのは野犬の群れ。純粋理論の崇拝者にとってペットなどという存在はあり得なかったのですが、人間に戻った彼はその一頭にカドリーと呼びかけ、仲閒とすることができます。
　この三人と、カウクが出会ったK=2ロボット、かつての監視ロボットですが、管理センターが亡くなって以後は奇妙な論理でカウクの「従者」となりアウグストゥスと名付けられたロボットを加えた4人は、1月29日におんぼろホバークラフトでユーラシア大陸に到達したのでした。

　　760 拠点惑星への使節
　NEIの工作員グループの中で唯一ガイアの位置を知るチロは、保安処置として“貯水槽弁”を持っています。何らかの身体的重圧に晒されると極秘情報もろとも本人の脳を一瞬で冒してしまう装置です。それが作動したらしい。痴呆状態となっています。
　チロから情報を引き出そうとしたものがいるのか。犯人はGAVÖK（銀河尊厳連合）なのか。

　ＮＥＩ、GAVÖKを築いて、800年かけて反撃しようというアトランの大がかりな計画は、ケロスカーの本拠をつぶしたので80年でラール人を駆逐できるというローダンの計画と、まったく説得も歩み寄りも折衷もできないままで互いにつぶし合いを始めています。ラール人と銀河第一ヘトランマイルパンサーを頂点とする超重族は、これをどう利用するのか。
　老いたイホ・トロトの奇妙な行動、アトランの配下にあってＮＥＩに賛同していながらローダンと戦いたがらない旧ミュータント、人さまざま。
　この絡まった人間模様の糸はほどけるのか。
　次に道具となるのはアトランの手にあるムサイ、マルティ・サイボーグのようです。

　あとがきにかえて　は渡辺広佐さん。
　俳句ネタですな。高校の同期が花見の余興に歌会をして、渡辺さんが歌会の審査をしたＴ氏と共にその歌の大賞を決めたのだそうな。
　いや、単に俳句って奥が深ね、という話。
　スランプなのだそうな。そのせいかどうかは知らないけれど、この巻は何というか、読んでいて面白さの感じられない一作でした。
　そんなこともあるよね、きっと。　　（10/8/13）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-381	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 381巻					出版社：早川書房
書名：サイボーグの夢	ハヤカワ文庫SF1766　ウ1-381　早川文庫6711					ISBN978-4-15-011766-5 C0197

761 サイボーグの夢		Traum eines Cyborgs				ハンス・クナイフェル			1976年3月	翻訳：林啓子
762 サイボーグの叛乱		Aufstand der Cyborgs				H・G・エーヴェルス			1976年3月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：271P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/7/25		購入：2010/7/24	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　761 サイボーグの夢
　サイボーグとは、マルティ・サイボーグ（Multi-Cyborgs）のこと。ムサイ（Mucys）とは、その略称。
　レトルト生物と呼ばれる、機械と有機体とで作り上げられた疑似生命体。
　NEI─新アインシュタイン帝国─によって無数に製造された彼らは、現在銀河系のあちこちに点在して特殊な工作員としての任務に就いています。特に重要なのは、いくつかの惑星でＮＥＩの拠点惑星を仮装すること。ラール人がもしここを探り当てたときは、そこを真の拠点だと思わせて全滅することも任務のうち。
　その彼らが、自分たちは人間であると自覚し始めました。自覚したとたん、命令に従うよりも自由に生きたいと願うようになる。

　3581年12月、ローダンらの性急な80年計画に対抗するため、アトランらのＮＥＩグループはムサイに指令を発します。あらゆる弁証能力を駆使し、スタトゥス・クォ・・・現状維持政策の支持層を拡大するようにと。

　我々は人類と平等である。ゆえに人類の無為な命令に従う義務はない。
　真の信念と正しい自由に目覚めたムサイは、まだ数が少ないが、これからその信念を伝えていけば、追従者は当然増えるはず。
　彼らの一人は、危険を冒してローダンに接触し、真の人間たる目覚めたムサイの一員として、ムサイを救ってもらいたいと望みます。
　虐げられたムサイの正当な代表たるヘルター・スモルクの正しい信念は、ローダンに伝わるのか。

　　762 サイボーグの叛乱
　人間のしもべとして作られたムサイの不穏な動きが報告される中で、惑星タアトロンで造反が起こります。
　かつてクローン技術を応用して作られた「レトルト人間」は、ポスビの細胞プラズマを修正して作られたこと、生殖能力を持たないこと以外は人類にそっくりです。であれば、人間であると宣言して名にはばかることがあるのか、というのが彼らの論。生殖できないという人類との差異でさえ、遺伝物質の操作によっておこなわれたもの。
　マルティ・サイボーグは初期の生体プラズマと機械部品の複合体から、人類に酷似した有機体でのみ形成されたため、もはやサイボーグと言うよりアンドロイドと呼ぶべきものになっている、と言ったのは惑星ガイアのムサイ研究・生産施設の首席サイバネティカー、スカルロン・トーラブ。彼はアトランに、このままではムサイは人間としての意識を持ってしまい、人類のために進んで危険な任務に就くという役割を拒否するかもしれない、と言う。
　タッチャー・ア・ハイヌとダライモク・ロルヴィクの掛け合いなどもありますが、このエピソードではムサイの一部で発生した自由への葛藤が、ついにラール人に対して自分たちの権利を認めてもらって独立しようと考える一派を生み、事態はとんでもない方向へ向かっていきます。
　自分たちは虐げられた奴隷であるが人類と同じ人間だ、と言う主張は意味がわからなくもない。
　だから、人類のために決死の任務に就く義務はないし、人類の任務より自分たちの権利の方が正しいという理屈は面白い。
　公会議に支配され、隷属している歴史を知っているはずなのに、目覚めた自分たちの信念は正しく権利は正当であるという発想は、何かのカリカチュアなのでしょうか。

　あとがきにかえて　は林啓子さん。意識的にかどうなのか、エピソード内のテーマについてのコメントなし。
　ただし、「～の夢」のエピソードの中に“恒星光発電パネル”という言葉が出てきて、これは太陽光発電システムのことかな？だとするとこのヘフトが出版された1976年3月に、これはすでにあったのだろうか、という話を書いています。そして太陽電池の歴史(1958年に始めて実用化）から、家をオール電化にして「テラを救うのはソルだ」と太陽電池で発電した電気を売っている話など。
　そういえば、太陽光を使って発電するシステムがSFに出たのは、鐵太郎が知る限り1940/5に発表された「光あれ」（R・A・ハインライン）からじゃなかろうか。SFってすごいね。　　（10/8/21）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-382	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 382巻					出版社：早川書房
書名：大宇宙の地獄	ハヤカワ文庫SF1770　ウ1-382　早川文庫6729					ISBN978-4-15-011770-2 C0197

763 地獄宇宙		Inferno Kosmos				H・G・エーヴェルス			1976年4月	翻訳：五十嵐洋
764 世界の壁		Der Wall um die Welt				クラーク・ダールトン			1976年4月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：284P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/8/15		購入：2010/8/6	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　763 地獄宇宙
　テニソン・インプスという名のマルティ・サイボーグに宿ってその体を利用するつもりだった旧ミュータントのベティ・タウフリーは、思わぬムサイの反撃にあい、その体の中に閉じ込められたまま制御がまったくできない状態です。もともと彼女を含む旧ミュータントは体を失い、精神だけがPEW金属の中だけで生きられる状態であり、他人の体を使う際にもPEWインジェクションをほどこされた「搬送体」としてでなければ何もできない。そのPEW処理がなぜか効果を発揮せず、だんだんと精神の力さえも弱っていきます。
　ホトレノル＝タアクと同盟を結んで、これで自由と独立を得たと信じるムサイたちですが、彼ら以外の誰の目にもラール人が人類ですらないムサイとの協定を守るはずがないことは自明の理。ベティは自由を奪われたまま、その状況を見ているしかない。ムサイは今や、ＮＥＩ本部に偽装されたヨルショル霧状星雲を明け渡そうとしています。
　ローダンの側では、ヨルショル銀河に潜入した秘密コマンドの中で、ペットであるサーベルタイガーが偽物だと気づかないロルヴィクに、タッチャーは自分のいたずらを告白すべきか悩んでいるところ。
　この騒乱の中で、かつては互いに助け合うパートナーであり親友であったローダンとアトランの確執は、さらに悪化していきます。

　　764 世界の壁
　この回は、ハルト人、イホ・トロトの物語です。
　老いたイホ・トロトと、彼の友である若いハルト人ルトラン・ペルラトが、直径120メートルのハルト宇宙船で着陸した惑星は、ある地球の老人に教えられた座標のものでした。
　この老人は、かつてトロトが、異銀河に飛んでしまったテラ・・・地球の荒野をさまよっていたときに出会ったそうな。年齢は200歳ほど。150年ほどエクスプローラー船に勤務し、地球がメールストロームに飛ばされたのち退役して人里離れた土地に住んでいたとか。
　この老人が事故にあったときトロトに、故郷銀河に4個だけ残された細胞活性化装置の一つのありかを話したのでした。
　その座標にむかった彼らは、あまり期待していなかったのに、その座標近辺を探すうちに、ある惑星を見つけます。
　ワーゲルと名付けられたその星は、直径6873キロメートル。自転周期は公転周期と同一で、常に太陽に同じ面を向けています。しかもその昼夜を分ける明暗境界線に、幅100メートル、高さ300メートルほどの“防壁”があり、ぐるっと惑星を一周しているのだそうな。明らかに、人工物。しかし誰が作ったのか。
　この防壁から2000メートルほどの所に、直径800メートルの球形船が発見されました。遭難して、もはや動けないようです。
　乗り組んでみたハルト人は、この船が＜ドレッドフル＞である事を知ります。かつての宙賊ティーパ・リオルダンの旗艦。老いてかくしゃくとしていた老嬢で、細胞活性化装置をもっていたはず。
　やがて調査していくと、彼女は細胞活性装置の情報を追ってこの惑星にたどり着き、3480年12月に死んだらしい事がわかります。今から150年以上昔の事。その後、1200人の乗員はここに住み着き、ヘルティゴ・アデンというティーパの細胞活性装置を奪った男の支配下に入っています。
　むろん、ローダン・シリーズの伝統に従い、このアデンという男は仮借なき独裁者です。当然のことですが住民に圧政を敷き、当然のことですがゲリラ化した反対勢力の陰謀に手を焼いていますが、当然のことですがこの独裁者に取って代わろうとする手下の陰謀を押さえつけて、その権力は今のところ揺るがない。むろん当然ながら悪い独裁権力は悪い人たちなので、いずれ正義の反政府組織に退治されるはず。
　このパターンにはうんざりなのですが、この後も永遠に続くんでしょう、きっと。
　さて、ハルト人はこれにどう介入するのか。トロトとしてはティーパの細胞活性装置が欲しいのですが、悪い独裁者や正義の反政府組織から譲渡してもらうことができるのか。

　あとがきにかえて　は五十嵐洋さん。ティーパ・リオルダンへの弔意と、「Inkarnation」という単語をどう訳すかの話。一時「化身」としてしまったこともあるけれど、「具象」という訳語に落ち着いたのだそうな。
　そういえば五十嵐さんの回なのだから、386巻以降のローダンのエピソードの仮題が出るのかと思ったけどまだでしたな。　　（10/8/25）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-383	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 383巻					出版社：早川書房
書名：世界支配者	ハヤカワ文庫SF1772　ウ1-383　早川文庫6731					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

765 権力闘争		Fehde der Mächtigen				ウィリアム・フォルツ			1976年4月	翻訳：増田久美子
766 世界支配者		Der Herr der Welt				クルト・マール			1976年4月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：271P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/8/25		購入：2010/8/26	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　765 権力闘争
　3582年、ローダンとアトランの抗争は激化していきます。エピソード題名はこれを、突き詰めると権力闘争であると喝破したことによるのでしょうか。惑星ガイアに向かうこととなった＜ソル＞内部は、緊迫した空気に包まれます。なにしろ、ＮＥＩの大型戦闘艦180隻を背景にしたアトランの恫喝により、ローダンは逮捕されるためになったのですから。
　しかしここで、二人の偉大な指導者をもてあまし始めた人々の暗躍があります。
　ガイアで自分の立場を思い知らされたローダン、1500年以上にわたって人類を始動してきたという自負もあり、ガイアの市民に直接自分の考えを伝える作戦に出ます。自分が誠意を込めて正しい考えを主張すれば、人々は当然自分に従ってくれるに違いないと確信して。
　それが、あのような結果を招くとは、ローダンのみならず、アトランでさえまったく予想もしませんでした。

　この回で、超能力を持つ猫男ブジョ・ブレイスコルと彼の潜在的な能力を隠してきたその母、ラレエナ・ブレイスコルの物語がはさまれます。息子は3582年の1月31日にミュータント部隊に加わるのですが、ここでいうミュータントというものは、ブジョのような肉体的な突然変異ではなく、

超能力を持っていないとその名に値しないのは、このシリーズでのお約束ですね。

　それにしても故郷を亡くし、ローダンと人類のために生きつづけ、ローダン不在のあとは人類を守るために命がけで働いて大組織を作ったアトラン、その目的は自分のよりどころを作るためなんだと喝破されて追い出されるとは。人生とはままならぬもの。
　古い指導者などいらないとばかりに追い出されたという点で、ローダンも同じでした。

　　766 世界支配者
　3582年2月3日、テラ。
　ガソリン・エンジンで走るホヴァークラフトの燃料を捜しながら、ベーリング海から南下するワリク・カウク、ブラフ・ポラード、ボールドウィン・ティングマーの三人、プラス、K=2ロボットのアウグストゥス。
　途中で出会ったのがキャラ・シャノヴォと言う男。何やら怪しい。
　人類を支配する世界征服者となるのが自分の運命であると思っているらしい。
　彼と、彼が「所有」している「おもちゃ」ザジヌが、三人プラス一体の旅にどう絡んでくるのか。

　あとがきにかえて　は増田久美子さん。前半のエピソードに出てくる17歳の猫男ブジョ・ブレイスコルと、過保護な母親ラレエナの話から、ピアノの才能のあった子供の映画の話、そして子供の頃ピアノを一生懸命練習した思い出。　　（10/9/9）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-384	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 384巻					出版社：早川書房
書名：テラ・パトロール	ハヤカワ文庫SF1773　ウ1-384　早川文庫6747					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

767 パラトカの監視者		Der Wächter von Palatka				クルト・マール			1976年5月	翻訳：嶋田洋一
768 テラ・パトロール		Terra-Patrouille				ウィリアム・フォルツ			1976年5月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：254P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/9/15		購入：2010/9/10	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　767 パラトカの監視者
　ワリク・カウク、ブラフ・ポラード、ボールドウィン・ティングマーの三人に致死性の毒薬を注射して、解毒剤をちらつかせて言うことを聞かせようという生物学者キャラ・シャマノヴォ。彼の目的は、独裁者としてすべてを支配すること。
　パラトカの制御ステーションになんとかたどり付きますが、中央制御システムである月のネーサンが機能を停止している今では、この施設が使えるのかどうか、まだわからない。だめかもしれない。
　このステーションに40年勤務していた謎のクリアク・ジョンは、この侵入者たちをじっと見守っています。彼らは彼にとって敵なのか、味方なのか。

　　768 テラ・パトロール
　狂気の科学者シャマノヴォの死後、ようやくテラニアに到着した元会社重役のワリク・カウク、元学生ブラフ・ボラード、技師のボールドウィン・ティングマーとK-2アウグストゥスらは、アラスカ・シェーデレーア、発明家サンテ・カヌベ、マーラ・ボオテスことマルボオ、そしてボクサーのジャン・シュペイデック、元の記憶が定かでない宇宙船＜ヒュプファー＞の異星人ドウク・ラングルらと合流します。
　このままではいけないと考えたアラスカは、この7人の人間、プラス異星人、プラスロボットで、“テラ・パトロール”を組織しようと提案します。
　綱領としてアラスカが提示したのは、これ。

　テラ・パトロール
　テラ・パトロールは以下の目的を有する。
1.　テラのポジションを確定する
2.　消えた人類を発見する
3.　地上の生存者を捜索し、テレ・パトロールに編入する
4.　ネーサンを復旧する
　付則　以上の四点にかんがみ、状況に応じて適切に任務を遂行する。
　テラ・パトロール隊員は、右記の目的達成のために全力をつくす義務を負う。　　　　　・・・テラニア・シティにて　3572年3月4日

　なんともはや、ドイツ人。なんでもシステマチックに進めようとしますな。
　しかし、カウクとボラード、そしてロボットのK-2はこれに参加することを拒否します。この人数で、すでに内部分裂とは。
　地球軌道上を救助カプセルで漂っていた、かつての独裁者トレヴォル・カサルの副官ジェント・カンタルまで合流し、トラブルの種はさらに増える。しかもこのカンタル、人の上に立つ能力があると自覚しており、当然のこととしてこのグループの指揮を執ると宣言。
　ますます話はややこしいことに。

　あとがきにかえて　は嶋田洋一さん。奥方が闘病の末に亡くなられたそうで、その様子を淡々と書いています。
　愛妻を亡くされるまでの日々の様子に、心が痛みます。52歳の誕生日まであとひと月を一期とされたとか。
　こんな、いってみれば全くの翻訳者の私事を書ける「あとがきにかえて」という場を作った松谷さんという人に、ちょっと思いを馳せました。
　（10/9/21）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-385	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 385巻					出版社：早川書房
書名：永遠の子供たち	ハヤカワ文庫SF1775　ウ1-385　早川文庫6749					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

769 永遠の子供たち		Kinder der Unendlichkeit				H・G・フランシス			1976年5月	翻訳：嶋田洋一
770 人類捜索		Sie suchen Menschen				エルンスト・ヴルチェク			1976年5月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：271P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/9/25		購入：2010/9/24	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　769 永遠の子供たち
　3582年3月。銀河から飛び立った＜ソル＞。仲直り（？）したアトランとローダンの話ではなく、まず最初は女たらしのガルト・クォールファートから始まります。
　ポスビの研究者ですが、ポスビとマット・ウィリーにすっかり気に入られており、彼らはガルトの「不完全」な体を一刻も早く「完全な」機械の体にしてやろうという親切心から追いかけ回します。すでに頭に奇妙なアンテナをつけられてしまった。

　ところでアトランが言うように、＜ソル＞には三つの集団がいます。第一は、細胞活性装置保持者と非テラナーからなる高齢集団。第二は地球がメールストロームにあった時代に生まれた者たち。第三は＜ソル＞で生まれたソラナーと自称する者たち。このすべて対して、ローダンは自分への忠誠心は揺るがないと確信しています。はたしてその通りなのか。ローダンが疑わない、すべての者が故郷である地球への憧憬を持ち、帰還したいとかたく願ってはずという確信は、本当にその通りなのか。
　それを指摘するアトランに、ローダンは言い放つ。その三つの集団の間にある緊張を刺激すれば、あなたはすべてを敵に回すだろうと。この脅迫めいた言葉に困惑するアトラン。

　赤い恒星ラスターズトップの第三惑星に到着した＜ソル＞は、三つに分離して着陸します。連結した状態ではテレスコープ脚が役に立たないのだそうな。着陸後に、奇妙なことが起きます。上陸班が次々と謎の死を遂げ、船内にいる妊婦のうち7ヶ月以上経過した女性たち7人が、いきなり出産するという現象が起きます。
　この新生児、なにやら超能力を持っているらしい。自己防衛能力があるようです。
　この惑星になにか知性体が存在し、それが影響しているのか。＜ソル＞にいるロボット、ロミオとジュリエットもなにか関係しているらしいが、いったい何が起きているのか。「永遠の子どもたち」と名付けられたこの赤ん坊の正体はなにか。

　　770 人類捜索
　3582年4月。この巻は、ガルト・クォールファートの一人称です。不完全な体を「完全」なものにしてやる、というポズビとマット・ウィリーの親切心からのがれているうちに、＜ソル＞の中が謎の勢力に浸食されていくことに気づきます。いったいこれは何者なのか。ロボットはこれを“意識のオアシス”と呼んでいるらしい。アトランは、ドブラクとケロスカーはこれを「セネカ=セタンマルクト複合体の“七次元の怒り”」だとも言っていると腹立たしく言う。なにがなんだかわからない。
　さらにジョスカン・ヘルムートに率いられたソラナーが蜂起し、＜ソル＞の支配権を奪ってしまう。叛乱などではない、これは革命であるという。要求はまず、テラに行かないこと。彼らはローダンが何を言おうと、テラ（地球）も恒星ソルのある銀河系も、故郷とは思っていない。
　ローダンらの小グループは、星のメールストロームの中で軽巡洋艦、コルヴェット、スペース=ジェットなどに分乗して、＜ソル＞のニューガス燃料も持ち出ししてテラのポジションを目指す事としました。しかしそのポジションにテラはない。
　世界はどうなったのか。謎は深まるばかり。

　あとがきにかえて　は続けて嶋田洋一さん。
　前半のエピソードに出てきた妊娠期間のこと。九ヶ月を臨月としているのですが、欧米では日本とちょっと数え方が違うんだよ、という話。
　まぁ、日本の10ヶ月という数え方は昔の俗説「十月十日」から来ているそうだし、現実には妊娠期間は週単位で数えるのですけどね。
　説明されるとよくわかる、いろいろ面白い文化の違いですね。　　（10/10/7）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-386	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 386巻					出版社：早川書房
書名：＜ソル＞還る	ハヤカワ文庫SF1778　ウ1-386　早川文庫6764					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

771＜ソル＞還る		Rückkehr der SOL				H・G・フランシス			1976年5月	翻訳：五十嵐洋
770 人類捜索		Das Gespenst von Vrinos				クラーク・ダールトン			1976年6月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：276P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/10/15		購入：2010/10/9	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　771＜ソル＞還る
　3582年4月、オヴァロンの惑星から始まります。
　男の絶対数が少ないため、男を殺してしまった女は即座に処刑されるなど、殺伐とした世界ですな。
　この惑星の執政官メイク・テルナは、相変わらずレジナルド・ブルの頑固さにいらいらしています。ブルの部下の男たちを惑星に降ろして女たちの夫になってくれれば、女ばかりのこの世界も少しはすごしやすくなるはず。こんな簡単なことをなぜ拒むのか。
　レジナルド・ブルとしては、ローダンに知らせるための「メールストロームの烽火」を発振して以後、ローダンが帰還次第それを止めないと悪意のある異星人がいつ現れるかわからない。そのためには、全乗組員を24時間＜ファラオ＞とレムール艦隊に貼り付けて、いつでも緊急発進できるようにしておかなければならない。また、＜ソル＞の帰還に備えて、ニューガス生産設備を大至急整えなくればならない。こんな当たり前の事がなぜ理解できないのか。
　このジレンマの中で、＜ソル＞とローダンがシグナルに導かれて帰還します。
　帰還した早々、惑星上で奇妙な疾病が蔓延します。ラスターズトップ・ヘルペスと名付けられたこの病気は、＜ソル＞上にあった無害なバクテリアとオヴァロンの惑星上の無害なバクテリアが交雑し、そして高い伝染性と致死性のバクテリアに変質してしまったらしい。
　二転三転したトラブルは、どう決着するのか。

　　772 ヴリノスの亡霊
　3582年8月、オヴァロンの惑星上に着陸した＜ソル＞。
　フェン・サンダーズという管理部の男と結婚契約しようとしているタロ・ヒギンズと、彼女に横恋慕するティム・ワーレンという地質学者の話から始まります。このワーレンという男、エゴイスチックなストーカーなのですがなぜか好意的に描写されてますな。
　さてレジナルド・ブルは、ローダンと共にジェフリー・ワリンジャーから驚くべき事を聞きます。ブルが共に古代レムール人の艦隊を回収したポスビ船に、なんとニューガスの製造装置が搭載されており、しかもネーサンがそれをはるか以前に手配してあったのだというのです。ネーサンはかつて＜ソル＞を建造していた頃に、すでにこの事態を予測していたのか。もしや、テラ＝ルナ系が喪失することまで予測していたのでは。
　そこへ、七次元計算脳を持つケロスカーのドブラクが、奇妙なことを言いだします。高次の宇宙に存在する超越知性体というものが存在し、その“意思”によってすべての宇宙の歴史が作られるのだそうな。その超越知性体のひとつが惑星ワンダラーの“それ”らしい。
　また、テラは宇宙から消滅した訳ではないが、＜ソル＞で“喉”を抜けることはできないとも言います。いったいこれはなにを意味するのか。
　グッキーが異人によるすさまじいテレパシー・インパルスを受けたのはその頃。ハルノでも、エルンスト・エラートでもない。“それ”なのか、と聞いても答えない。ただ、不思議な言葉を残します。

　3582年8月3日、＜ソル＞はオヴァロンの惑星を発進します。この女ばかりの惑星のごたごたから離れられるのはありがたいことなのか。
　艦内に現れる不思議な現象、謎の漂流惑星ヴリノス、いろいろ奇妙な事件が起きます。グッキーはティム・ワーレンらと共にこの惑星に乗り込み、何を発見したのか。
　グッキーがようやく思い出した謎の言葉が最後のシメになります。「バルディオク」と。これはいったい何を意味するのか。

　あとがきにかえて　は五十嵐洋さん。
　日本版で386巻から400巻までのドイツ版原題と仮タイトルと、新しいライター、ペーター・テリドの紹介。
　もう一人、マリアンネ・シドウという女性作家が初登場ですが、この紹介は次回にとのこと。　　（10/10/25）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-387	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 387巻					出版社：早川書房
書名：幸福都市	ハヤカワ文庫SF1780　ウ1-387　早川文庫6766					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

773 混沌を呼ぶ者		Der Chaosmacher				H・G・エーヴェルス			1976年6月	翻訳：赤坂桃子
774 幸福都市		Die Stadt des Glücks				ハンス・クナイフェル			1976年6月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：255P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/10/25		購入：2010/10/22	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　773 混沌を呼ぶ者
　今回のメインはタッチャーア・ハイヌでしょうか。「a」クラス火星人の誇り高いこの男、例によって上司である半サイノスのダライモク・ロルヴィクと共にボケをカマしてくれます。まだ3582年のこと。
　宇宙に出たダンベル船＜ソル＞は、異星人の、細長い棒状の宇宙船群に包囲されています。＜ソル＞が火力を用いれば、一瞬で自由になれるでしょうが、そうもいかない。誘導されたのはある赤色恒星の第二惑星クマント（Xumanth）。この星系はミタルトンと呼ばれているらしい。
　ロルヴィクとタッチャーを探索に送り出した後、ローダン、イホ・トロト、グッキー、リバルト・コレッロが正式な使節として惑星に降下し、トバールグという知的生物の代表アブラードたちと接触します。彼らはローダンらを、“具象”ヴェルノクのスパイと決めつけますが、ローダンらにはなんのことだかわからない。
　誤解を解くにも手間がかかったのですが、謎の信号が“モジュール”から発信されていることとか、この惑星の衛星シュ=ドントのことなど、謎はふくらむばかり。
　＜ソル＞船内に新旧の宗教共同体が存在する、という説明が興味深い。イスラムの寺院のようなという言葉の説明としてでできたようなのですが、今さら宗教がどうのという説明はない方が良いと思うのですが。まぁ、カトリックの神父を出してしまった以上、過去の宗教を無視もできないのかも。1500年も未来の宗教事情については、何を書いてもうさんくさく思えるのですが。(笑)

　　774 幸福都市
　＜ソル＞に搭載されている巡洋艦の乗組員である若いジュスカ・ジャティンとスポルク・タイチチの二人は、惑星クマントの幸福都市と翻訳される楽園を訪問します。
　けがれなき美、手つかずの自然、比類なき建築物、目に見えないエネルギー・通信施設。まさに作られた楽園そのもの。
　若い男女は、禁じられているとも知らず迷い込みます。
　その先で彼らが見たものは。これが宇宙で出会ったまったく異なる二種族の関係に、何をもたらしたのか。

　あとがきにかえて　は赤坂桃子さん。
　運悪く、ページ数の関係で前回と同じく「あとがきにかえて」が1ページしか取れなかったのだとか。
　今もなお、本の印刷に使う紙の枚数は、16とか32とかの倍数なんでしょうか。ちょっと面白い。　　（10/11/1）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-388	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 388巻					出版社：早川書房
書名：衛星シュ=ドントの基地	ハヤカワ文庫SF1783　ウ1-388　早川文庫6778					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

775 衛星シュ=ドントの基地		Die Herren von Sh'donth				ペーター・テリド			1976年6月	翻訳：渡辺広佐
776 黒い宇宙船		Das schwarze Raumschiff				クルト・マール			1976年7月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：266P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/11/15		購入：2010/11/13	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　775 衛星シュ=ドントの基地
　SZ=1を欠いたままの＜ソル＞は、惑星クマントにいます。アトランが指揮するSZ=1との交信はトバールグに禁じられたまま。
　新しい女性に夢中なガルト・クォールファートは、ポスビに追われて不意にエネルギー・フィールドにとらわれたと思うと、衛星シュ=ドントに飛ばされます。ポスビ一体とマット・ウィリー一体も一緒に。原因不明。
　ここで体験したことは、ローダンらの未来に何かをもたらしてくれることになりそう。
　フェイヤーダル人コルダールとホマーソルトは、具象ヴェルノクと戦う「テルムの女帝」の全権代行であると宣言します。これはなにを意味するのか。
　新人ピーター・テリドの初執筆です。

　　776 黒い宇宙船
　地球にいるテラ・パトロールのお話。
　他の人の姿の絶えた地球で生きる人々は、だんだんと反目を捨てています。とはいえ、異星人とロボットと男たちの中に、若い女性がひとりという状況はストレスの元だし、長い目で見てトラブルが起きそう。
　ノルウェー中部のナムセン川河口付近で、暴風雨の中で無風の地域があることが発見されます。
　ようやくテラ・パトロールに賛同したワリク・カウクが指揮をとり、数人とロボット、アウグストゥスを連れてここの探査に向かいました。そこで発見したのは老いた漁師スカン・マヴレエスと、小さな都市ナムソスを中心にして正確に直径数百キロの範囲が無風地帯になっていること。それは黒い宇宙船を使う異星人らしい。
　現れた具象クレルマクは何を求めているのか。

　あとがきにかえて　は渡辺広佐さん。
　徳島県鳴門市にある大塚国際美術館にあるシスティーナ礼拝堂のフレスコ画のレプリカのこと、この夏の猛暑のこと、終わってしまったNHKの朝ドラ、「ゲゲゲの女房」のこと。
　平和な話題ですなぁ、(笑)　　　（10/12/11）

		Ver. 2.23

管理番号：R400-389	10R 宇宙英雄ペリー・ローダン 389巻					出版社：早川書房
書名：黒い異人の謎	ハヤカワ文庫SF1786　ウ1-389　早川文庫6779					ISBN978-4-15-011772-6 C0197

777 黒い異人の謎		Kampf den Invasoren				ウィリアム・フォルツ			1976年7月	翻訳：林啓子
778 地球外生物たちの決闘		Duell der Außerirdischen				ウィリアム・フォルツ			1976年7月

発行　1975年		価格：580Yen	ページ数：271P				本のサイズ：文庫
初版発行：2010/11/25		購入：2010/11/27	表紙イラスト：工藤稜（くどう・りょう）

　　777 黒い異人の謎
　テルムの女帝に仕える研究者の一人、ドウク・ラングルが＜ヒュプファー＞と共に失踪した事を聞いて驚愕するs=タルヴィアから始まります。70人の研究者の一人であるドウク・ラングルは最重要人物ではないにしても、彼がバルディオクかその具象の手に落ちることはあってはならない。抹殺しなければならない。
　テラ・パトロールの面々は、ノルウェーの謎の地帯に現れた宇宙船の黒い異人の調査を進めています。建造された謎の建物になにかを運びだしているらしい。その“瓶”を奪おうと試みますが失敗します。
　アラスカ・シェーデレーアの顔に張り付いたカピンの断片が何かに反応して、マスクの横から光が見えるのはなにを意味するのか。
　やがてセクション・リーダーであるs=タルヴィアがドウク・ラングルを抹殺しに来ます。ラングルは黙って受け入れるのか、反撃するのか。そもそもラングルは、生物なのかロボットなのか、自分でもよく分からないままです。
　女医と三人の男からなる別なグループも、地球に生存していることがわかります。彼らもやがてテラ・パトロールに加わるのですが、それまでにいろいろ変遷・内紛があります。困ったもんだな。

　　778 地球外生物たちの決闘
　コッカマスというと、アイリッシュ海に面したイギリス中部の町でしょうか。ここにはかつて、“世界の良心”と呼ばれる建物があったそうな。
　ここに移動してきた女医サイルトリト・マルトリング、宇宙動力学者ゲイリー・スミス、修理工スティーヴン・スキルパン、ポジトロニクス技師ガス・グスタフスンの4人は、上空を飛ぶ異人の宇宙船の轟音の中で、この先どうすればいいのか迷っています。
　その彼らを発見したのは、＜ヒュプファー＞に乗ったドウク・ラングル。s=タルヴィアに狙われる中でラングルは、心ならず敵となった元上官と戦うこととなります。
　テラ・パトロールの中では、青年ブラフ・ポラードが勝手な行動を取って異星人に心を乗っ取られ、元技師のボールドウィン・ティングマーが最後に残っていた小型グライダーで無謀な行動を取ってグライダーを破壊してしまいます。なんたること。
　三つに分かれた彼らは、集まることが出来るのか。
　このとき数千光年の彼方で、テルムの女帝のモジュールが破損したのでした。この事件が、カタストロフィの始まりとなる、　かもしれない。

　あとがきにかえて　は林啓子さん。
　ノーベル化学賞の発表（10/6）のニュースを聞きながら、ローダンなら平和賞がもらえるだろうか、ワリンジャーは物理学賞かなどと考えて、ペリーペディアを読んでいると、エルンスティング氏という人物がノーベル賞を取ったことが書いてあったとか。
　ドイツ人のユーモアって、面白いね、というお話でした。　　（10/12/24）